調整局面、ドルのじり安続く可能性も(4/19夕)

19日の東京市場はドルが小安い。一時108.40円台と、先週末安値を早くも下回る局面も観測されていた。

調整局面、ドルのじり安続く可能性も(4/19夕)

調整局面、ドルのじり安続く可能性も

〇ドル円、日中高値108.80-85を示現後、夕方にかけて下げ幅を拡大し108.45-50まで下落
〇16日の日米首脳会談後の共同声明にて台湾やウイグルについて言及された事が中国の強い反発を呼ぶ
〇イランの高濃縮ウランの製造についてIAEAが実際に確認したと発表
〇バイデン大統領が核合意違反とするもイランの間接協議継続方針については歓迎とどっちつかずの印象
〇本日は新規要因に乏しいが新型コロナのワクチン接種や副反応などに関するニュースに要注意か
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ108.00-108.90

<< 東京市場の動き >>

19日の東京市場はドルが小安い。一時108.40円台と、先週末安値を早くも下回る局面も観測されていた。

先週末には対面式の日米首脳会談が実施され、終了後に発表された共同声明をめぐり、中国とまたもや一悶着。一方、IAEAは「イランが60%の高濃縮ウランの製造を開始した」と発表、それに対しバイデン米大統領からは「核合意違反」とのコメントが聞かれていた。
そうした状況下、ドル/円は108.75円前後で寄り付いたのち、日中高値である108.80-85円を示現。しかし、高値を示現後は緩やかな右肩下がりとなり、とくに夕方にかけては下げ幅を拡大させている。先週安値108.61円を下回り、108.45-50円まで下落していた。16時現在でも、そのままドルは日中安値圏をキープし、欧米市場を迎えている。
なお、週末に一時15%、価格にして1万ドルを超える下落を演じた暗号資産(仮想通貨)ビットコインだったが、東京時間は56000ドル台を中心に底堅い。

一方、材料的に注視されていたものは、「日米首脳会談絡み」と「イラン情勢」について。
前者は、先週末16日に開催された日米首脳会談で、様々な話題が話し合われたものの、終了後発表された共同声明に台湾やウイグルについての言及がなされたことが中国の強い反発をよんだ。在米中国大使館が「内政干渉」とした談話を発表したことに続き、中国外務省も重ねて非難。こうしたことはあまり例にない。また、その後も、人民日報系の中国紙である環球時報は社説で、「日本が米国に加担したことで、対中関係は改善の勢いを失った」などと論じていたという。

対して後者は、以前にイランの原子力庁長官から聞かれていた「60%の高濃縮ウランの製造」について、IAEAが「製造開始を実際に確認した」と発表。物議を醸している。それについて、バイデン米大統領からは「核合意違反」とのコメントが聞かれた反面、イランが間接協議の継続方針を示していることを歓迎もしており、どっちつかずの印象も。なお、それとは別に、英紙FTによると、2016年に断交したイランとサウジアラビアの高官が9日に「直接協議を行った」可能性があるという。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は本日東京で、高値110.97円を示現後の安値を更新。調整局面入りしていることを改めて示したが、相変わらず値は走らない。週報などでもレポートしたように107円台入りの可能性も否定できないが、108円台でいまだモタモタしている印象だ。今年3月半ばなどに強く下支えした108.30-40円にもまだ届いておらず、調整局面といっても、それほど弱気に傾斜しすぎるのは危険な気もしている。
材料的には、週間を通してそれなりのイベントなどが予定されているものの、本日に限ればやや新規要因に乏しい。動きにくそうな気配もうかがえるが、発表される米企業決算ならびに新型コロナに関する話題、とくにワクチン接種や副反応などに関するニュースに要注意か。また前者については、先週末決算を発表したモルガン・スタンレーが「アルケゴス関連で9.1億ドルの損失計上」と発表し、ネガティブサプライズに。改めて関心を呼んでいることは間違いない。

テクニカルに見た場合、ドル/円はじりじりと下値を切り下げる展開をたどると、本日東京では108.45-50円へ。次のサポートは108.30-40円だが、年初来安値102.60円を起点とした上昇に対するフィボナッチでは107.75-80円と、まだまだ大きな下げ余地も取り沙汰されている。
それに対する抵抗は、まず109円前後となろうが、超えても移動平均の21日線が位置する109円半ばでは上値も重そうだ。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、とくに目立った米経済指標の発表や地区連銀総裁による講演なども予定されておらず、手掛かり要因難か。決まり事としての材料は乏しいが、中国や北朝鮮、ロシア、イランなどをめぐる国際情勢は依然として波乱含み。関連した電話などによる会談や要人発言には一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.00-108.90円。短期的にドルの上値を阻んでいる感のある109円、あるいは109.10円レベルをめぐる攻防注視。超えてくれば109円半ばがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の108.45-50円が最初のサポート。下回れば108.30-40円を目指し、それも割り込めば108円前後が視界内に捉えられる。

調整局面、ドルのじり安続く可能性も

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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