ドル円見通し 110円突破、昨年3月24日高値111.71円以来の水準(21/3/31)

ドル円は3月30日朝に26日夜高値109.84円を超え、午後には110円を突破、夜に110.42円まで高値を切り上げた。

ドル円見通し 110円突破、昨年3月24日高値111.71円以来の水準(21/3/31)

110円突破、昨年3月24日高値111.71円以来の水準

〇ドル円30日午後に110円を突破、夜に110.42まで上がり一度下げ、再び上昇し高値更新を伺う展開に
〇バイデン政権の1.9兆ドル経済対策やインフラ投資を踏まえれば大量国債発行による利回り上昇は継続か
〇米長期金利上昇によるドル円を押し上げも続きやすい状況
〇110円以上での推移か割り込んでも切り返すうちは上昇余地あり、110.50超えから111円を目指すとみる
〇109.90割れから109.70前後への下落を想定、109.70割れの状況が続く場合弱気転換注意

【概況】

ドル円は3月30日朝に26日夜高値109.84円を超え、午後には110円を突破、夜に110.42円まで高値を切り上げた。深夜の小反落で110.17円まで下げたところから再び上昇して高値更新を伺う展開となっている。
日足では昨年6月5日高値109.84円を超えて2月20日天井112.21円とのダブルトップとなった3月24日高値111.71円以来の水準に達した。3月15日に109.36円まで上昇したところから3月23日安値108.39円まで1円弱の調整を入れたが、既に一段高に入ったことで1月6日安値102.57円からの上昇基調はさらに継続的となり、昨年2月及び3月高値を試す勢いとなってきている。

米コンファレンス・ボードが発表した3月の消費者信頼感指数は109.7、2月の90.4から上昇して市場予想の96.9を上回った。現況指数も前月の89.6から110.0へ上昇、期待指数も前月の90.9から109.6へ上昇した。
米連邦住宅金融局(FHFA)の1月住宅価格指数は前年比12.0%上昇、前月比は1.0%の上昇。
米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの1月S&Pケース・シラー住宅価格指数(全米主要20都市)は前年比11.1%上昇で市場予想の11.0%上昇をわずかに上回り、12月の10.2%上昇から加速。

【米10年債利回りは昨年3月来最高水準を超える】

ドル円の上昇は米長期債利回り上昇によって押し上げられてきた。米10年債利回りは30日に一時1.78%に迫るところまで上昇して3月18日の米FOMC後の再上昇時に付けた1.75%超えて昨年3月来の最高水準を更新、1年2か月振りの高水準に達した。その後は利回り確保の債券買い戻しから低下に転じて前日比変わらずの1.71%で終了しているが、長期債利回りの長期的な上昇基調の継続感は一段と強まった。
30日のNYダウは前日比104.41ドル安、ナスダック総合指数は同14.25ポイント安と下落したが、長期債利回り上昇への警戒感と共に31日のバイデン大統領演説や週末の米雇用統計へ向けての重要指標発表前で利益確定売りが優先された印象だ。
バイデン大統領は31日に巨額のインフラ投資計画等(3〜4兆ドル規模)を表明する演説が予定されている。
米国ではNY州が29日にワクチン接種対象を30歳以上に拡大し、4月6日以降は16歳以上の全ての成人が接種可能になると表明しており、先行きへの楽観も拡大している。

4月2日には米雇用統計の発表があるが、非農業部門雇用者数が65万人増、失業率は6.0%に改善すると予想されている。米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は30日の講演で「現在のトレンドが維持されれば米国の雇用は今夏に大きく拡大する」「夏の間は毎月100万人の雇用が標準となり得る」と述べた。米連銀首脳は現状の長期債利回り上昇を景気回復を反映したものとして歴史的水準と比較すればまだ低いとして長短金利操作や量的緩和縮小により長期債利回りを抑えようとする姿勢は見られない。今後のバイデン政権による既定の1.9兆ドル経済対策、今後のインフラ投資などによる巨額財政出動計画を踏まえれば、大量国債発行による利回り上昇基調はまだ継続し、ドル円を押し上げてゆく展開も続きやすい。

先週末からはポンドや豪ドルなどがいったん持ち直し、新興国通貨もトルコリラの暴落があったものの南アランドやメキシコペソが比較的堅調な展開となるなどややまちまちの動きもみられるが、1月6日を起点としてドル円の上昇およびユーロドルの下落という主要2通貨の下落基調は継続し、ドル指数も1月6日からの上昇基調を維持しているので、今後も全般的なドル高基調は継続してゆくと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月26日夜高値から29日午後安値へいったん反落してから買い戻されて30日朝には26日夜高値を上抜いたため、3月30日朝時点では3月29日午後安値を押し目底として新たな強気サイクルに入ったとし、高値形成期を31日から4月2日夜にかけての間と想定したが、2日の米雇用統計反応次第では週明けへ延びる可能性もあるとした。31日朝も一段高状態を維持しているので引き続きトップ形成中とし、弱気転換は110円割れから大きく崩れるような下げ発生からとする。

60分足の一目均衡表では29日午後安値からの反騰と一段高により遅行スパンは好転、先行スパンを上抜いた状況も継続している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。高値更新が滞ると遅行スパンは悪化してくる可能性があるが、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜いた状況を維持するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は30日夜の一段高時には80ポイントを超えているので高値警戒感を持ちつつもまだ上昇余地ありとみる。50ポイント割れの場合は弱気転換注意とするが、50ポイントを一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇継続とし、弱気転換は45ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.00円を下値支持線、110.50円を上値抵抗線とする。
(2)110円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、110.50円超えからは111円を目指すとみる。111円到達では売られやすいと注意するが、110円以上での推移なら1日も高値試しへ向かいやすいとみる。また先行きは昨年3月24日高値111.71円や昨年2月20日高値112.21円を目指すとみる。
(3)109.90円割れからは109.70円前後への下落を想定するが、そこは押し目買いされやすいとみる。109.70円割れの状況が続く場合は弱気転換注意として3月29日午後安値試しへ向かう可能性が出てくると注意する。

【当面の主な予定】

3/31(水)
09:30 (豪) 2月 住宅建設許可件数 前月比 (1月 -19.4%、予想 5.0%)
10:00 (中) 3月 国家統計局製造業PMI (2月 50.6、予想 51.0)
14:00 (日) 2月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (1月 -3.1%、予想 -4.9%)
15:00 (英) 10-12月期 GDP改定値 前期比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
15:00 (英) 10-12月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 -7.8%、予想 -7.8%)
15:00 (英) 10-12月期 経常収支 (7−9月 -157億ポンド、予想 -340億ポンド)
15:00 (英) 3月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (2月 0.7%、予想 0.4%)
16:55 (独) 3月 失業者数 前月比 (2月 0.90万人、予想 -0.30万人)
16:55 (独) 3月 失業率 (2月 6.0%、予想 6.0%)

18:00 (欧) 3月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (2月 0.9%、予想 1.3%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (2月 1.1%、予想 1.1%)
21:15 (米) 3月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (2月 11.7万人、予想 55.0万人)
21:30 (加) 1月 月次GDP 前月比 (12月 0.1%、予想 0.5%)
21:30 (加) 1月 月次GDP 前年同月比 (12月 -3.0%、予想 -2.5%)
22:45 (米) 3月 シカゴ購買部協会景況指数 (2月 59.5、予想 60.7)
23:00 (米) 2月 住宅販売保留指数 前月比 (1月 -2.8%、予想 -2.9%)
23:00 (米) 2月 住宅販売保留指数 前年同月比 (1月 8.2%、予想 6.5%)
23:30 (米) 週間 EIA石油在庫統計

4/1(木)
休場(聖木曜日)メキシコ
06:30 (豪) 3月 AiG製造業PMI (2月 58.8、予想 58.0)
08:50 (日) 1-3月 日銀短観・大企業製造業業況判断 (10-12月 -10、予想 -1)
08:50 (日) 1-3月 日銀短観・大企業製造業先行 (10−12月 -8、予想 4)
08:50 (日) 1-3月 日銀短観・大企業非製造業業況判断 (10−12月 -5、予想 -5)
08:50 (日) 1-3月 日銀短観・大企業非製造業先行 (10−12月 -6、予想 -1)
08:50 (日) 1-3月 日銀短観・大企業設備投資 前年度比 (10−12月 -1.2%、予想 -1.4%)
09:30 (豪) 2月 貿易収支 (1月 101.42億豪ドル、予想 95.00億豪ドル)

10:45 (中) 3月 財新製造業PMI (2月 50.9)
15:00 (独) 2月 小売売上高指数 前月比 (1月 -4.5%、予想 2.0%)
15:00 (独) 2月 小売売上高指数 前年同月比 (1月 -8.7%、予想 -5.0%)
16:50 (仏) 3月 製造業PMI改定値 (速報 58.8、予想 58.8)
16:55 (独) 3月 製造業PMI改定値 (速報 66.6、予想 66.6)
17:00 (欧) 3月 製造業PMI改定値 (速報 62.4、予想 62.4)
17:30 (英) 3月 製造業PMI改定値 (速報 57.9、予想 57.9)

21:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 68.4万件、予想 68.0万件)
21:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 387.0万人)
22:45 (米) 3月 製造業PMI改定値 (速報 59.0、予想 59.0)
23:00 (米) 3月 ISM製造業景況指数 (2月 60.8、予想 61.0)
23:00 (米) 2月 建設支出 前月比 (1月 1.7%、予想 -1.0%)
26:00 (米) フィラデルフィア連銀総裁、講演

注:ポイント要約は編集部

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