ドル円 為替は株価や金利の動きに右往左往か(週報3月第1週)

先週のドル/円相場は、ドルが一段高。週末には106.69円まで値を上げ、年初来高値を大きく更新する局面も観測されていた。

ドル円 為替は株価や金利の動きに右往左往か(週報3月第1週)

為替は株価や金利の動きに右往左往か

〇ドル円、週間高値106.69でテクニカルポイントを突破し一段高の展開を辿り106.55-60で越週
〇中国海警局の船が尖閣諸島沖で領海侵入や中国軍機11機が台湾防空識別圏に侵入などの動きを観測
〇金融市場2月末にかけて全般荒れ模様、ビットコインは1週間足らずで1万ドル以上の暴落
〇NYダウ週末2日間で1000ドル以上下落するなど日米を中心に株価が大きな下げに
〇今週発表の米2月ISM製造業景況指数や同雇用統計に注視
〇今週のドル/円予想レンジ105.50-108.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが一段高。週末には106.69円まで値を上げ、年初来高値を大きく更新する局面も観測されていた。

前週末も、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの騰勢止まらず。ついに58300ドルと、6万ドルを意識するレベルまで上昇。また、核関連施設の査察をめぐるイラン情勢は二転三転しながら、最終的にはIAEA事務局長とのあいだで「最大3ヵ月の査察受け入れで合意」したことが明らかになっている。
ドル/円は週明けを105.35円レベルで寄り付いたのち、当初はドル売り先行。105円を割り込み104.93円まで一時ドル安が進行した。しかし、ドル売りは続かず。むしろ目先安値を示現したのちは急反発に転じると、週間高値の106.69円へ。テクニカルポイントなどを次々突破し、ドルは一段高の展開をたどっている。週末NYでもドルはそのまま高値圏をキープ、106.55-60円で越週に。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「中国情勢」と「ほかの金融市場の動き」について。
前者について、「中国海警局の船が日本の尖閣諸島沖でたびたび領海侵入」。また「中国軍機11機、台湾防空識別圏に侵入」、「中国、高性能戦車をインド国境に投入」−−など傍若無人、中国によるやりたい放題の動きがそこここで観測されていた。そうしたなか、日豪首脳が電話会談を実施したうえで、「香港や新疆ウイグル自治区での人権状況について、ともに深刻な懸念を示した」ことを明らかにしたうえ、米国ではバイデン大統領が米通商代表部(USTR)代表に指名したタイ氏が承認公聴会に臨み、「中国は第1段階貿易合意の約束履行」を迫っていたようだ。

対して後者は、2月21日に58300ドル台という史上最高値を示現した暗号資産(仮想通貨)ビットコインが週末26日に44200ドルと、わずか1週間足らずで1万ドル以上の「暴落」。また、日米株価なども冴えず、たとえば日経平均株価も同じ週末26日、終値ベースで1202円もの大幅安をたどっていた。ちなみに、株価やビットコインが下落した要因のひとつとして、米投資会社バークシャー・ハザウェイの副会長で著名投資家バフェット氏の長年の右腕であるマンガー氏が、米株とビットコイン投資にともに警鐘を鳴らしたことなどが取り沙汰されていたという。

<< 今週の見通し >>

先でも取り上げたように、2月末にかけて金融市場は全般荒れ模様。1週間足らずで1万ドル以上の「暴落」をたどったビットコインが典型だが、NYダウも週末の2日間で1000ドル以上下落するなど、日米を中心とした株価も大きな下げに見舞われている。まだ調整の範囲内に過ぎないが、ともかく、今週もそんな調整の動きが継続するのか、それとも名実ともに3月相場入りすることもあって流れが変わるのか、まずは米株そして金利の動きにまずは注意を払いたい。

一方、材料的に今週は注目要因が少なくないようだ。そのひとつは2月の雇用統計をはじめ、週間を通して連日重要な米経済指標が発表されることで、なかでも雇用関係のデータに対する関心が高まっている感を否めない。指標内容が株価や金利動きに影響を及ぼし、延いては為替市場の波乱要因となる可能性もある。なお、先週の為替市場はおおむね円が全面安。つまりドル/円以外、クロスも軒並み上値を試す展開となったが、その流れが続くか否かにも注目だ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は2月17日に示現した高値106.22円をなかなか超えられなかったが、先週末にかけて上抜けると、106.69円まで上値を伸ばしている。これを素直に解釈すれば、リスクはドル高方向で間違いなく、次のターゲットは107円前後か。ちなみに、昨年6月高値109.85円を起点としたフィボナッチでは半値戻し(106.22円)を超えてきたことから、次の上値メドは61.8%戻しの107.05-10円となりそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、2月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった米経済指標が発表される予定となっている。米指標はまだら模様で決して悪いものばかりというわけではないが、雇用関係の指標はいまひとつ冴えない。とくに雇用統計(非農業部門雇用者数)は、マイナスの数値となった昨年12月分に続き前回発表された1月分も予想値を下回っており、今回の数字への警戒感も強く取り沙汰されていた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、105.50-108.00円。ドル高・円安については、先週高値106.69円が取り敢えずは意識されそうだが、抜ければ107円前後がターゲット。また、それらを超えれば一気に1円程度、レベルが変わる可能性もある。
対するドル安・円高方向は、短期的には105.80円前後がサポートとして意識されており、下回っても移動平均の200日線が位置する105円半ばなどでは下げ止まりそうだ。

為替は株価や金利の動きに右往左往か

ドル円日足


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