トルコリラ円見通し 13円割れからは下げ渋りだが、トルコ中銀利上げの買い一巡で下げ再開の様相(20/11/26)

26日早朝には13.18円までもう一度戻したものの25日夕刻高値には届かずに再びジリ安の推移となっている。

トルコリラ円見通し 13円割れからは下げ渋りだが、トルコ中銀利上げの買い一巡で下げ再開の様相(20/11/26)

13円割れからは下げ渋りだが、トルコ中銀利上げの買い一巡で下げ再開の様相

〇トルコリラ円、26日早朝に13.18まで戻すが25日夕刻高値には届かずジリ安の推移
〇ワクチン開発進展、バイデンラリーで為替市場もリスク選好強まるも、トルコリラは流れに乗れず
〇11/19の大幅利上げだけでなくリラ防衛への積極姿勢を示さない限りは催促的なリラ安を続けやすい
〇13.19以下で推移中は一段安余地あり、12.92割れから12.70前後への下落を想定
〇13.19超えから13.30前後への上昇、その後の反落を想定

【概況】

トルコリラ円は11月24日夕刻安値で12.92円を付けて11月23日深夜安値13.00円を割り込み11月11日以来の安値水準となったが、24日の13円割れは早々に買い戻され、その後は下げ渋り状態が続いている。
25日夕刻には13.19円まで戻してから夜安値で13.02円まで下げたが、ここも13円割れは回避し、26日早朝には13.18円までもう一度戻したものの25日夕刻高値には届かずに再びジリ安の推移となっている。
13円割れに対する突っ込み警戒感はあるようだが、11月19日の中銀利上げによる上昇分を吐き出して利上げ前水準を割り込んでからは24日夕高値、25日夕高値と戻り高値は切り下がりであり、下げ渋りの横ばい程度の推移にとどまっているようだと24日夕安値12.92円を割り込む一段安へ向かいやすい状況と思われる。

【新興国通貨高の流れから外れる】

対ドルでのトルコリラは25日未明に8.02リラへ急落した後は新たな安値更新を回避しているも7.90リラ前後を上値抵抗線として安値圏に留まっている。
11月23日夜にドルがメジャー通貨や新興国通貨に対していったん上昇する場面があったものの勢いは続かず、25日はユーロドルが11月4日以降の高値を更新、NZドル米ドルも3月暴落以降の最高値を更新、豪ドル米ドルも11月2日以降の高値を更新するなどドル安感が強まった。南アランドやメキシコペソもコロナショック安による4月安値以降の高値を更新している。
11月9日の米ファイザー社ワクチン報道から16日の米モデルナ社、23日の英アストラゼネカ社とワクチン治験での高い有効性が報じられて早期承認期待が強まっている。またトランプ政権がバイデン政権への移行手続きを容認したことでバイデン政権発足後の景気対策への期待も強まり、4年前のトランプ・ラリーの様に株式市場はバイデン・ラリーの様相となり、為替市場もリスク選好感が強まっている印象だ。

しかしトルコリラはその流れに乗れずにいる。対ドルでのトルコリラは11月6日に8.57リラの史上最安値まで暴落した後は、トルコ中銀総裁や財務相更迭による金融政策改革への期待や大幅利上げ観測で買い戻しの動きが強まって大幅反騰してきたが、19日の利上げ当日の急騰は続かず、24日には利上げ前水準を割り込む一段安に入っている。11月19日の大幅利上げにより消費者物価上昇率を政策金利が下回る実質マイナス金利状態は解消したが、正味の外貨準備高の枯渇、経常収支悪化、観光客収入の激減長期化、地政学的リスクの継続等を踏まえ、市場は今回の利上げにとどまらずにさらにリラ防衛への積極姿勢を示さない限りは催促的なリラ安を続けやすいといえるだろう。

【感染拡大と国産ワクチン】

エルドアン大統領も自信の公正発展党(AKP)トルコ大国民議会グループ会議での演説で、国産の新型コロナウイルス・ワクチンについて言及して「我々自身が開発したワクチンを遅くとも4月に接種可能なレベルにする」と述べた。また12月末までには中国産のワクチンも接種が可能になることを期待していると述べた。
トルコの新型コロナウイルス感染者累計は46.7万人を超え、25日も6814人増となり、1日の死者も168人と感染拡大の第二波が深刻化している。欧米のワクチン開発関連では治験情報等も多く示されているが、中国産、ロシア産、トルコ産については不明なところも多い。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月24日に13円割れしたところからは下げ渋りに入っているため、中銀利上げ当日の19日夕安値から3日目となる24日夕安値で直近のサイクルボトムを付けたと思われる。高値形成期は19日夜高値を基準として24日夜から26日夜にかけての間と想定されるので既に25日夕高値で戻り一巡となっている可能性がある。24日安値割れ回避のうちは上昇余地が残るが、24日安値割れからは新たな下落期入りとして27日午後から12月1日夕刻にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では24日夕安値からの下げ渋りで遅行スパンは好転しているものの再び悪化しやすい位置にある。上昇再開感が強まるには先行スパンを上抜き返す必要があり、突破できないうちは遅行スパン悪化からの下げ再開を警戒する。

60分足の相対力指数は25日夕高値と26日早朝高値に対して指数のピークがほぼフラットであり上値が重い印象だ。65ポイント超えへ進めないうちは一段安警戒とし、40ポイント割れからは30ポイント以下を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月24日夕安値12.92円を下値支持線、25日夕高値13.19円を上値抵抗線とする。
(2)13.19円以下での推移中は一段安余地ありとし、12.92円割れからは12.70円前後への下落を想定する。12.75円以下は反騰注意とするが、13.10円以下での推移が続く場合は27日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.19円超えからは13.30円前後への上昇とその後の反落を想定するが、13.10円以上での推移が続く場合は27日に高値を試す可能性も残るとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

11月26日
 20:00 トルコ中銀MPC議事要旨公開
 20:30 週次外貨準備高 11/20 (11/3 403.7億ドル)
11月27日
 16:00 11月経済信頼感指数 (10月 92.8)
 16:30 トルコ中銀財務安定性レポート
11月30日
 16:00 10月貿易収支 (9月 -48.3億ドル)
 16:00 7-9月期GDP 前期比 (4-6月 -11.0%)
 16:00 7-9月期GDP 前年同期比 (4-6月 -9.9%)
12月1日
 16:00 11月イスタンブール製造業PMI (10月 53.9)
12月3日
 16:00 11月消費者物価 前月比 (10月 2.13%)
 16:00 11月消費者物価 前年同月比 (10月 11.89%)
 16:00 11月生産者物価 前月比 (10月 3.55%)
 16:00 11月生産者物価 前年同月比 (10月 18.20%)
 20:30 週次外貨準備高 

注:ポイント要約は編集部

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