ドル円見通し 24日深夜に高値切り上げるも104.50円挟んだ揉み合いの様相(20/11/25)

ドル円は、全般的には株高継続によるリスク選好感とクロス円の上昇による円安感を維持した展開となった。

ドル円見通し 24日深夜に高値切り上げるも104.50円挟んだ揉み合いの様相(20/11/25)

24日深夜に高値切り上げるも104.50円挟んだ揉み合いの様相

〇ドル円、24日午後から25日未明にかけては104.50を挟んだ揉み合いの様相
〇NYダウ3万ドル台到達、前日比454.97ドル高の大幅上昇で史上最高値を更新
〇米10年債、30年債利回り共に上昇、ゴールドは大幅下落
〇年内にワクチン承認、年明けから実用化という景気回復期待先行で株高が加速
〇24日深夜高値104.75超えからは105円台序盤を目指すとみる
〇104.14割れからは103円台中盤への下落を想定

【概況】

ドル円は11月23日夜に英アストラゼネカ社のワクチン治験での高い有効性との報道や米PMIが市場予想を大きく上回ったことでのドル買いにより19日夜高値を上抜く反騰となり24日午前には104.64円まで続伸した。24日午後から25日未明にかけては104.50円を挟んだ揉み合いの様相だったが、ドル高一服による調整安で夕刻に104.14円まで下げたところは買い戻され、米住宅価格指数が予想を上回ったところではドル買いにより上昇して104.75円まで高値を切り上げ、米消費者信頼感指数が予想を下回ったことでまた小反落する展開だったが、全般的には株高継続によるリスク選好感とクロス円の上昇による円安感を維持した展開となった。

【NYダウ3万ドル到達】

トランプ米大統領は大統領選の敗北をまだ認めていないが、23日に政府によるバイデン氏への政権移行手続きを容認したことで新政権発足後の経済対策への期待が膨らんだ。またワクチンに関連しても11月9日の米ファイザー社、16日の米モデルナ社に続いて23日には英アストラゼネカ社が治験で高い有効性を確認したと報じられたことで先行きの経済正常化への期待が高まった。バイデン氏が財務長官にイエレン前FRB議長を起用する方針との報道も金融緩和の長期継続と拡大期待を強めた。これらを囃してNYダウは3万ドル台に到達、前日比454.97ドル高の大幅上昇で史上最高値を更新した。一方で安全資産の債券は売られて米10年債利回りは前日比0.02%上昇の0.88%、30年債利回りは0.05%上昇の1.61%、同じく安全資産とされるゴールドの大幅下落も目立った。

新型コロナウイルスの世界感染者累計は6000万人を超え、米国では1294万人に達している。感染拡大による営業規制の動きも拡大しており、決して楽観的な実態ではない。しかし、年内にいくつかのワクチンが承認されて年明けから実用化、普及が始まれば来年夏には力強い景気回復に進むだろうという期待先行が株高を加速させている。トランプ政権が発足した4年前の11月はトランプ・ラリーだったが、今はバイデン・ラリーという様相だ。現実と期待とのギャップが大きいことで、年末にかけて感染拡大が一段と深刻化する場合、ワクチン普及にはさらに時間がかかる可能性が高まる場合、10-12月の成長が予想より悪い場合等は、今の現実と乖離した株高への是正的な動きへ向かう可能性もあるだろうが、今のところはお構いなしで楽観を決め込んでいる印象だ。

米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した9月住宅価格指数は、前年比9.1%上昇、前月比は1.7%の上昇で市場予想の0.8%上昇を大幅に上回った。四半期ベースでは7-9月期の前期比は3.1%上昇で4-6月期の1.0%上昇を大幅に上回った。またS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの発表した9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(全米主要20都市)は前年比6.6%上昇で市場予想の5.1%上昇を大幅に上回った。前月比も1.3%上昇で市場予想の0.7%上昇を上回った。これら住宅指標の好調さでドルはいったん買われた。
米コンファレンス・ボードが発表した11月消費者景気信頼感指数は96.1となり10月の101.4から低下して史上予想の98.0を下回った。現況指数は105.9で前月の106.2から低下、期待指数も89.5で前月の98.2から低下した。足元の感染拡大と経済活動規制への懸念を反映したものであり、発表後はドルがまた売られる展開となった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月19日夜高値を上抜く反騰となったため、24日朝時点では11月18日深夜安値と23日夜安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとし、高値形成期は19日夜高値を基準として24日夜から26日夜にかけての間と想定した。24日深夜へ高値を切り上げてからも104.50円を挟んだ揉み合いのためまだ上昇余地ありとみるが、24日夜反落時の安値104.14円を割り込む場合は弱気サイクル入りとして26日夜から30日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では23日夜の急騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、その後は104.50円を挟んだ揉み合いのために遅行スパンは実線と交錯し始めている。先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は23日夜の急騰で80ポイント台中盤へ上昇したが、その後の高値更新では指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せているので、24日夜安値を割り込むところからは下げ再開に入るとみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月24日夜安値104.14円を下値支持線、24日深夜高値104.75円を上値抵抗線とする。
(2)104.14円を上回るうちは上昇余地ありとし、24日深夜高値超えからは105円台序盤を目指すとみる。105円到達ではいったん売られやすいとみるが、24日夜安値割れ回避が続くうちは26日前半も上昇しやすいとみる。
(3)104.14円割れからは弱気サイクル入りとみて103円台中盤への下落を想定する。103.50円以下は反騰注意とするが、24日夜安値を割り込んだ水準での推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/25(水)
22:30 (米) 7-9月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 33.1%、予想 33.1%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 40.7%、予想 40.9%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 3.5%、予想 3.5%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注 前月比 (9月 1.9%、予想 0.9%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (9月 0.8%、予想 0.5%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 74.2万件、予想 73.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 637.2万人、予想 602.0万人)

24:00 (米) 10月 個人所得 前月比 (9月 0.9%、予想 0.0%)
24:00 (米) 10月 個人消費支出(PCE) 前月比 (9月 1.4%、予想 0.4%)
24:00 (米) 10月 PCEデフレーター 前年同月比 (9月 1.4%、予想 1.2%)
24:00 (米) 10月 PCEコア・デフレーター 前月比 (9月 0.2%、予想 0.0%)
24:00 (米) 10月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (9月 1.5%、予想 1.4%)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 77.0、予想 77.0)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (9月 95.9万件、予想 97.0万件)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数 前月比 (9月 -3.5%、予想 1.5%)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 11月4、5日開催分

11/26(木)
休場、米国(感謝祭)
06:45 (NZ) 10月 貿易収支 (9月 -10.17億NZドル、予想 -5.00億NZドル)
09:30 (豪) 7-9月期 民間設備投資 前期比 (4-6月 -5.9%、予想 -1.5%)
14:00 (日) 9月 景気先行指数(CI)改定値 (速報 92.9)
14:00 (日) 9月 景気一致指数(CI)改定値 (速報 80.8)
16:00 (独) 12月 GFK消費者信頼感 (11月 -3.1、予想 -5.0)
21:00 (メ) 7-9月期 GDP確定値 前期比 (速報 12.0%)
21:00 (メ) 7-9月期 GDP確定値 前年同期比 (速報 -8.6%)

注:ポイント要約は編集部

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