ドル円見通し リスク回避全開で10月21日安値を割り込む一段安、3月暴落類似か(20/10/29)

28日昼には21日夜安値を割り込んで一段安となり、安値は104.11円まで切り下がった。

ドル円見通し リスク回避全開で10月21日安値を割り込む一段安、3月暴落類似か(20/10/29)

リスク回避全開で10月21日安値を割り込む一段安、3月暴落類似か

〇ドル円、28日昼に21日夜安値104.34を割り込み104.11まで下げる
〇コロナ感染拡大、経済対策先送り、黒人射殺事件などでNYダウ、ナスダック総合指数が大幅下落
〇欧州のロックダウン再開や米大統領選混迷、金融市場全般の不安心理増大により急激な円高の可能性も
〇104.11割れ回避のうちは104.50超えから104.75前後を目指す可能性あり
〇104.11割れからは一段安入りとなり週末明けへの続落と想定、103.50前後、103.00前後試しとみる

【概況】

ドル円は10月21日安値104.34円から持ち直して26日夜には105円にいったん到達したが、その後は株式市場の下落でリスク回避感が強まる中で下落に転じ、28日昼には21日夜安値を割り込んで一段安となり、安値は104.11円まで切り下がった。
欧州株が全面安となりダウ先物が大幅下落する中で為替市場もリスク回避型の動きを強めて手仕舞い売り=換金売りの流れでユーロやポンドが急落、前日まで堅調推移していた豪ドルやNZドルも急落、トルコリラが史上最安値を大幅に更新するなど新興国通貨安も進む展開となり、クロス円での円全面高からドル円においても円高優勢となって下げ足を速めた。
28日夜以降はドル全面高がやや優勢となってドル円は下げ止まり、深夜以降はドルストレートでのドル高も一服したことでやや持ち直したが104.50円には届かずに104.30円を挟んだ小動きで早朝を迎えている。

【欧米の感染拡大、欧州ロックダウン再開、米大統領選挙情勢不透明で欧米株大幅下落】

10月28日のNYダウは前日比943.24ドル安(3.4%安)と大幅下落した。ナスダック総合指数も426.48ポイント安と大幅下落。欧州での感染拡大第二波が深刻となる中でフランスが全土のロックダウンに入りドイツでも部分的なロックダウンや営業規制が始まった。先行き不安が強まる中で欧州株は全面安となり、ドイツDAX指数が4.17%安、仏CAC指数が3.37%安、英FT指数も2.55%安と大幅下落となった。
米国でも感染拡大は深刻さを増し、米大統領選挙情勢も混沌となり、与野党による追加経済対策がまとまらず、フィラデルフィアの黒人射殺事件で一部が暴徒化するなど社会不安も増大する中でダウは大幅安となったが、28日の下落で9月24日安値を割り込んだために9月3日と10月12日の両高値によるダブル天井型が完成、3月からのアフターコロナ復興期待と金融緩和による資産インフレ進行期待による大上昇が一巡して大きな調整局面に入り始めた印象だ。

米大統領選挙結果を見定めるまでは慎重な動きに留まるのではないかとも思われたが、それを待たずに感染拡大問題でのリスク回避、換金売りが殺到し始めた様相だ。恐怖指数といわれるVIX指数が40を超えて6月中旬以来の高水準まで上昇していることが市場心理が相当に不安に陥っていることを示している。
28日はNY金が前日比32.7ドル安と大幅下落したが、本来なら安全資産、有事の金として株安等からの逃避先となるべきところ、投資家のポジション悪化の穴埋めとして換金売りに見舞われての急落となっているが、3月のコロナショック暴落時も株暴落、ユーロ暴落、円の急騰と共にゴールドはやはり換金売りで暴落している。情勢的には3月暴落から出直ってきた相場が一部は3月暴落前の水準を超えるところまで戻したところで再びコロナショック第二弾により暴落商状に陥り始めたという印象だ。

ドル円の動きはまだパニック的ではないが、3月コロナショック時には2月20日天井112.21円から3月9日底101.23円まで暴落していることを踏まえると、欧州のロックダウン再開、米大統領選挙混迷、金融市場全般の不安心理増大により急激な円高を発生させかねないところに来ていると思われる。9月21日安値103.99円を割り込む場合は一段安に入りチャート上の下支えが効かなくなること、今日の日銀金融政策決定会合やECBの金融政策発表、米7-9月期GDP速報値発表等がトリガーとなる可能性もあるところと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月21日深夜安値を前回のサイクルボトム、26日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして27日の日中から28日深夜にかけての間への下落を想定しきた。28日夜安値からは下げ渋りとなっているが、21日夜安値から5日を経過したので、28日夜安値を割り込む場合は新たな下落期入りとするのを妥当とみて28日夜安値を直近のサイクルボトムとする。高値形成期は29日の日中から11月2日夜にかけての間と想定するが、戻りは短命の可能性もあるので104.50円以下での推移中は下落再開注意とし、28日夜安値割れからは11月2日夜から4日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では28日夜安値からの下げ渋りにより遅行スパンは好転しやすい位置に来ている。遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行スパンが上値抵抗帯となってくると思われる。このため遅行スパンがいったん好転してもその後に悪化するところからは下げ再開を疑う。上昇再開感が強まるには先行スパンを上抜き返す必要がある。
60分足の相対力指数は30ポイント割れまで低下してから持ち直しているが50ポイントが抵抗となっている。40ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとみるが、40ポイント割れからは下げ再開を疑い20ポイント台前半への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月28日夜安値104.11円を下値支持線、104.50円を上値抵抗線とする。
(2)28日夜安値割れ回避のうちは104.50円超えから104.75円前後を目指す可能性があるとみる。104.65円以上は反落注意としその後の104.25円割れからは下げ再開を疑う。
(3)28日夜安値割れからは一段安入りとなるので週末週明けへの続落と想定して103.50円前後、103.00円前後を段階的に試すとみる。

【当面の主な予定】

10/29(木)
休場、トルコ(共和制宣言記念日)
日銀金融政策決定会合、2日目、政策金利発表 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
14:00 (日) 10月 消費者態度指数・一般世帯 (9月 32.7、予想 35.0)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
17:55 (独) 10月 失業者数 前月比 (9月 -0.80万人、予想 -0.50万人)
17:55 (独) 10月 失業率 (9月 6.3%、予想 6.3%)
19:00 (欧) 10月 経済信頼感 (9月 91.1、予想 89.5)
19:00 (欧) 10月 消費者信頼感確定値 (速報 -15.5、予想 -15.5)
21:30 (米) 7-9月期GDP速報値 前期比年率 (4-6月 -31.4%、予想 31.0%)
21:30 (米) 7-9月期GDP個人消費・速報値 前期比年率 (4-6月 -33.2%、予想 38.9%)

21:30 (米) 7-9月期コアPCE・速報値 前期比年率 (4-6月 -0.8%、予想 4.0%)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 78.7万件、予想 77.5万件)
21:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 837.3万人、予想 770.0万人
21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:00 (独) 10月 消費者物価指数速報値 前月比 (9月 -0.2%、予想 0.0%)
22:00 (独) 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 -0.2%、予想 -0.3%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
23:00 (米) 9月 住宅販売保留指数 前月比 (8月 8.8%、予想 3.4%)
23:00 (米) 9月 住宅販売保留指数 前年同月比 (8月 20.5%)

10/30(金)
08:30 (日) 10月 東京都区部消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (9月 -0.2%、予想 -0.5%)
08:30 (日) 9月 失業率 (8月 3.0%、予想 3.1%)
08:30 (日) 9月 有効求人倍率 (8月 1.04、予想 1.03)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産・速報値 前月比 (8月 1.0%、予想 3.0%)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (8月 -13.8%、予想 -9.8%)
09:30 (豪) 7-9月期生産者物価指数 前期比 (4-6月 -1.2%)
09:30 (豪) 7-9月期生産者物価指数 前年同期比 (4-6月 -0.4%)

14:00 (日) 9月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (8月 -9.1%、予想 -8.6%)
15:30 (仏) 7-9月期GDP速報値 前期比 (4-6月 -13.8%、予想 15.0%)
16:00 (独) 7-9月期GDP速報値 前期比 (4-6月 -9.7%、予想 7.3%)
16:00 (独) 7-9月期GDP速報値・季調済 前年同期比 (4-6月 -11.3%、予想 -5.5%)
16:00 (独) 7-9月期GDP速報値・季調前 前年同期比 (4-6月 -11.3%、予想 -5.2%)
19:00 (欧) 9月 失業率 (8月 8.1%、予想 8.2%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP速報値 前期比 (4-6月 -11.8%、予想 9.5%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP速報値 前年同期比 (4-6月 -14.7%、予想 -7.0%)
19:00 (欧) 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 -0.3%、予想 -0.3%)
19:00 (欧) 10月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (9月 0.2%、予想 0.2%)

21:00 (メ) 7-9月期GDP速報値 前期比 (4-6月 -17.1%、予想 12.0%)
21:00 (メ) 7-9月期GDP速報値 前年同期比 (4-6月 -18.7%、予想 -8.9%)
21:30 (米) 9月 個人所得 前月比 (8月 -2.7%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 個人消費支出(PCE) 前月比 (8月 1.0%、予想 1.0%)
21:30 (米) 9月 PCEデフレーター 前年同月比 (8月 1.4%、予想 1.5%)
21:30 (米) 9月 PCEコア・デフレーター 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (8月 1.6%、予想 1.7%)
21:30 (米) 7-9月期 雇用コスト指数 前期比 (4-6月 0.5%、予想 0.8%)
22:45 (米) 10月 シカゴ購買部協会景況指数 (9月 62.4、予想 58.0)

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