米大統領選要注視なるも、動意の中心は欧州通貨か(週報10月第3週)

先週のドル/円相場は、ドルが小幅安。ただ、週間を通したレンジは1円未満、105円を一度も割り込めないなど、むしろドルの底堅さが目についた。

米大統領選要注視なるも、動意の中心は欧州通貨か(週報10月第3週)

米大統領選要注視なるも、動意の中心は欧州通貨か

〇先週のドル円、レンジ79銭で105円を一度も割り込まず底堅い
〇米大統領選「市民対話集会」のテレビ中継視聴率、バイデン氏に軍配上がる
〇英国のジョンソン首相「EUが方針を改めない限り物別れの道を選ぶ意向」を表明
〇早ければ今週末ぐらいからレンジ放れの動きが観測される可能性
〇今週は大手米企業による決算発表、中国による経済指標の発表などに注意
〇今週のドル/円予想レンジ104.20-106.20

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小幅安。ただ、週間を通したレンジは1円未満、NYクローズだけでなくザラ場ベースでも105円を一度も割り込めないなど、むしろドルの底堅さが目についた。

前週末は、「朝鮮労働党創建75周年」を迎えた北朝鮮が10日に大規模な軍事パレードを実施したことが明らかになったほか、トランプ米大統領がコロナ罹患後、初めて支持者の前で演説を行うなど、残り1ヵ月を切った大統領選に向けての再スタートが確認されている。
そうした状況を受けたドル/円は105.80円前後と、前週末のNYクローズよりドル高・円安レベルで寄り付いたものの、結局同レベルが週間を通したドル最高値に。以降はドルの頭の重い展開となるだけでなく、一時は週間安値の105.04円まで下落している。ただ、上値が重い反面、下値も堅く週間を通したレンジはわずか79銭。週末NYは105.40円前後で取引を終え、越週となった。
なお、動きの鈍いドル/円を尻目に、ユーロや豪ドルなどの通貨ペアは週間を通してなかなかアクティブな変動をたどったほか、もっとも興味深い動きを示していたのはトルコリラ。対円では13.20円レベルまで下落するなど、史上最安値を再び更新する局面も観測されている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米大統領選をめぐる動き」と「英国情勢」について。
前者は、米大統領候補討論会委員会が、「リモートで開催する」と発表していた候補者同士による15日の第2回討論会は、トランプ氏の反対もあり、結局「開催中止」に。ただ、開催中止になったことで、トランプ氏とバイデン氏それぞれが「市民対話集会」に挑むと、NBCテレビとABCテレビで生中継された。なお、そんな双方の「市民対話集会」は、テレビ中継が絡んだこともあり、視聴率が注視されていたが、この週末発表された調査会社ニールセンの集計によるとバイデン氏に軍配が上がったようだ。

対して後者は、難航していた「英国とEUの通商交渉」は、ジョンソン英首相が「期限」としていた15日には結局まとまらず。そうしたなか、週末にかけて実施されたEU首脳会議では、協議に十分な進展が見られないことへの「懸念」を声明で示したうえで、英国に対しては譲歩を呼び掛けていた反面、もう一方の当事者である英国のジョンソン首相は「EUが方針を改めない限り物別れの道を選ぶ意向」を表明。ただ、即時交渉打ち切りには踏み込まなかった。

<< 今週の見通し >>

為替市場において、とくに注視されているものは次の3点。すなわち、残り2週間余りとなった「米大統領選の行方」と、欧州を中心に感染拡大がとまらない「新型コロナ」、そして協議が一応延長されることになった「英国とEUの通商交渉」になる。そのなかでも、最初に取り上げた「米大統領選の行方」が相場の波乱要因となりかねず、22日に予定されている大統領選前最後の「両候補によるテレビ討論会」への警戒感は非常に強い。現在でも優勢とされるバイデン氏の支持がさらにアップし、盤石の体制を固めたりするようだと、一気にドル買いが進行するような展開も否定できないようだ。

材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「米大統領選」、「ベラルーシ情勢」、「毒殺未遂事件を中心としたロシア情勢」など注目要因は依然として目白押し。前述したように、材料的には「大統領選の行方」という米国ファクターがもっとも注意を要するものの、為替市場の動意という意味ではドル/円よりもユーロやポンド、あるいはトルコリラといった欧州通貨の動きに要注意か。今週も、それら通貨が価格変動をけん引するとの見方が有力視されている。

テクニカルに見た場合、ドル/円は過去3週間程度104.95-106.11円という1円強の値動きをたどっているうえ、先週だけに限るとなんと105.04-83円で、わずか79銭レンジにとどまった。
昨年から今年の相場を見ると、一定期間狭いレンジを形成することは決して珍しくないが、それでも1ヵ月程度で次に向けた動意を示すことが多い。つまり、早ければ今週末ぐらいからレンジ放れの動きが観測される可能性もある。

一方、今週は、10月のNAHB住宅市場指数や同カンザスシティ連銀製造業活動指数などの米経済指標が発表される予定となっている。先週発表された雇用指標が伸び悩んだことが市場の警戒感を喚起させた感も否めず、悪い指標内容が続けば、ドルの上値抑制要因となりかねない。
そのほか、今週も引き続き米国を中心とした要人の発言機会が多いうえ、大手米企業による決算発表、中国による経済指標の発表などにも注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、104.20-106.20円。ドル高・円安については、105.50-60円が最初のドルの抵抗に。上抜ければ移動平均の90日線も近い直近高値106.11円などがターゲットとなろう。
対するドル安・円高方向は、先週安値である105.04円やレンジ下限である104.95円などをめぐる攻防にまずは注目。割り込んだ場合には9月安値の104.00円もみえてくる。

米大統領選要注視なるも、動意の中心は欧州通貨か

ドル円日足

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