ドル円見通し 30日午前に高値を更新したが、その後は底上げパターンが崩れる(20/10/1)

30日夕刻に105.43円まで下落、夜にいったん戻したものの新たな高値更新へ進めずに深夜には夕刻安値を割り込んだ。

ドル円見通し 30日午前に高値を更新したが、その後は底上げパターンが崩れる(20/10/1)

30日午前に高値を更新したが、その後は底上げパターンが崩れる

〇ドル円、9/30午前高値で105.80まで上昇するも伸びずに夕刻には105.43まで下落
〇日本時間30日午前にトランプ氏とバイデン氏の討論会実施、バイデン氏有利でダウ先物が大幅下落
〇米経済指標はいずれも市場予想を上回る結果に
〇105.65以下での推移中は25日夕安値105.23試しを想定
〇105.65超えからは30日午前高値105.80試しとし、高値更新から106円台序盤への上昇を想定

【概況】

ドル円は9月30日午前高値で105.80円まで上昇して9月21日安値以降の高値を更新したが、その後は伸びずに30日夕刻に105.43円まで下落、夜にいったん戻したものの新たな高値更新へ進めずに深夜には夕刻安値を割り込んだ。
9月21日以降はドル高が円高に勝っての上昇となってきたが、24日深夜に105.50円に到達して以降は上昇角度が鈍ってきた。それでも高値を若干切り上げた後の調整安でも安値を切り上げる底上げパターンを維持してきたのだが、30日夕刻安値を30日深夜安値で割り込んだため、戻り高値を切り下げてその後の安値も切り下がる右肩下がりのパターンに入り始めた印象だ。現状ではまだ105.50円を中心に105円台中盤での持ち合い圏の範囲といえるが、25日夕刻安値105.23円を割り込むようだと持ち合いからの下放れに入り下げ足が早まる可能性も出てくると注意したい。

【米大統領選挙TV討論会と好調な米経済指標】

9月29日(日本時間30日午前)に米大統領選挙の候補者TV討論会が行われたが、両者の批判合戦となる中で終了後の世論調査ではバイデン氏有利と出たことでダウ先物が大幅下落、リスク回避的なドル買い戻しでユーロや豪ドル等がいったん下げに入った。株式市場にとっては株高推進を重視するトランプ政権継続を望んでいるようだ。
午後からのドルストレートにおけるドル高局面ではリスク回避の円高が勝ってドル円は午前高値からいったん下げた。しかしその後にダウ先物が下げ幅を削り、NYダウが反騰で開始するとリスク選好感が戻ってユーロ、豪ドル等が上昇、ポンドも28日の急騰時高値を超える上昇となってドル安感が強まり、ドル円はリスク回避感後退による円安が勝って深夜へ戻した。深夜以降は米与野党の追加経済対策が合意できそうとの報道から結局合意に至らなかったことでダウも上げ幅を削り、ドルストレートでのドル高が一服、ドル円では再び円高優勢の展開となった。

米経済指標はいずれも市場予想を上回った。
米ADP(オートマティック・データ・プロセッシング)が発表した9月全米雇用報告で非農業部門民間就業者数は前月比74万9000人増となり市場予想の65万人増を上回った。8月分は速報の42万8000人増から48万1000人増へ上方修正された。100万人を超えるような力強さはないものの着実な回復感を印象付けた。
米商務省が発表した2020年4〜6月期GDP確定値は年率換算で前期比31.4%減となり改定値の31.7%減から上方修正され市場予想の31.7%減を上回った。7〜9月期の速報値は11月の大統領選直前に公表される予定だが6月以降の持ち直しにより30%前後の上昇となるのではないかと見込まれている。またGDPの7割を占める個人消費は33.2%減で改定値の34.1%減から上方修正された。

経済情報会社MNIインディケーターズによる9月シカゴPMIは62.4となり市場予想の52.0及び8月の51.2を大幅に上真綿2018年12月以来の高水準という。
米不動産業者協会(NAR)が発表した8月中古住宅販売仮契約指数は前月比8.8%上昇で7月の5.9%及び市場予想の3.4%上昇を大幅に上回った。前年同月比も20.5%上昇となり7月の15.4%上昇を超えた。

【日足は一目均衡表の先行スパンに上値が抑えられる】

9月21日に104円を割り込んだところから9月25日までは日足5日連続の陽線で戻したが、105.50円を超えたところではわずかに高値を切り上げてきたものの上値の重い状況が続いており、5日連続陽線で上昇した時の勢いが削がれている。
日足チャートでは30日の戻り高値がちょうど一目均衡表の先行スパン下限に抑えられた姿となっており、この先も105.80円台から106.20円台にかけては先行スパンが待ち構えており重要な抵抗となってくる印象だ。
7月31日安値を9月21日安値でわずかに割り込んでから切り返しているため、両安値をダブル底として戻してきたのだが、一方では8月13日高値、8月28日高値、9月3日高値と戻り高値は切り下がっており、9月3日高値106.545円を超えないことには高値切り下がりパターンの範囲に留まることとなる。週末の米雇用統計及び米大統領選挙、世界的な感染拡大動向、米追加経済政策の行方等を見定めながら高値切り上げへ進むか、切り下がりの範囲にとどまって安値試しを再開するのかが見えてくるのだろうと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月21日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしてきたが、9月25日夕刻にいったん下げてから高値を切り上げたために29日朝時点では25日夕安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとしてトップ形成期を9月30日夜から10月2日深夜にかけての間とした。30日午前高値からの下落で30日深夜に30日夕刻を割り込んで安値切り下がりに入ったため、30日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は30日午後から10月2日夕にかけての間と想定するが、2日夜の米雇用統計次第では週明けへ延びる可能性もあると注意する。強気転換は30日午前高値超えからとし、その場合は5日午前から7日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では9月30日深夜の下落で先行スパンから転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを戻り抵抗帯とし、強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は1日未明に40ポイント割れまで低下した。このため50ポイント前後を戻り抵抗として30ポイント割れへ向かう可能性があると思われる。上昇再開には50ポイント台回復・維持から続伸に入る流れが必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月25日夕安値105.23円を下値支持線、105.65円を上値抵抗線とする。
(2)105.65円以下での推移中は下向きとして25日夕安値105.23円試しを想定する。底割れから続落に入る場合は105.00円前後へ下値目途を引き下げる。105円割れの水準では押し目買いも入りやすいところとみるが、105.50円以下での推移が続くうちは2日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる
(3)105.65円超えからは30日午前高値試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りとみて106円台序盤への上昇を想定する。106円到達ではいったん売られやすいとみるが、30日午前高値を超えた後も105.65円以上での推移なら2日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/1(木)
休場、中国、香港、台湾、韓国
EU臨時首脳会議(ブリュッセル、10/2まで)
16:55 (独) 9月 製造業PMI改定値 (8月 56.6、予想 56.6)-2.7%)
17:00 (欧) 9月 製造業PMI改定値 (8月 53.7、予想 53.7)
17:30 (英) 9月 製造業PMI改定値 (8月 54.3、予想 54.3)
18:00 (欧) 8月 失業率 (7月 7.9%、予想 8.1%)
21:30 (米) 8月 個人所得 前月比 (7月 0.4%、予想 -2.4%)
21:30 (米) 8月 個人消費支出(PCE) 前月比 (7月 1.9%、予想 0.8%)
21:30 (米) 8月 PCEデフレーター 前年同月比 (7月 1.2%)

21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前月比 (7月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (7月 1.3%、予想 1.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 87.0万件、予想 85.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1258.0万人、予想 1222.5万人)
22:45 (米) 9月 製造業PMI改定値 (速報 53.5、予想 53.5)
23:00 (米) 8月 建設支出 前月比 (7月 0.1%、予想 0.8%)
23:00 (米) 9月 ISM製造業景況指数 (8月 56.0、予想 56.3)
24:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演

10/2(金)
休場、中国、香港、台湾、韓国、インド
08:30 (日) 8月 失業率 (7月 2.9%、予想 3.0%)
08:30 (日) 8月 有効求人倍率 (7月 1.08、予想 1.05)
08:50 (日) 9月 マネタリーベース 前年同月比 (8月 11.5%)
10:30 (豪) 8月 小売売上高 前月比 (8月 3.2%、予想 -4.2%)
14:00 (日) 9月 消費者態度指数 (8月 29.3、予想 31.4)
21:30 (米) 9月 非農業部門就業者数 前月比 (8月 137.1万人、予想 85.0万人)
21:30 (米) 9月 失業率 (8月 8.4%、予想 8.2%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前月比 (8月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前年同月比 (8月 4.7%、予想 4.8%)
22:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 78.9、予想 78.9)


注:ポイント要約は編集部

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