ドル円「105円割れを想定して戻り売り」(週報9月第4週)

先週のドル円は、月曜欧州市場序盤まではドル安が進んでいたものの、その後はそれまでのドル売りに対するポジション調整が進んだと考えられます。

ドル円「105円割れを想定して戻り売り」(週報9月第4週)

105円割れを想定して戻り売り

〇ドル円、週を通してドル買い・円売りの動き
〇30日東京午前10時から米国大統領選の第1回TV討論会実施
〇2日米国雇用統計、失業率は改善予想(8.2%)だがリスクオンに動く可能性は低い
〇今週は104.75レベルをサポートに105.75レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通し

先週のドル円は、月曜欧州市場序盤まではドル安が進んでいたものの、その後はそれまでのドル売りに対するポジション調整が進んだと考えられます。きっかけは欧州における新型コロナ感染者急増懸念を材料にしたユーロ売りによるものですが、明らかにドル買いでは無くユーロ売りの動きがドルを介在してドル円でもドル買いになっていました。色々と材料はあったのですが、市場への影響は限定的なものに留まっていたようです。

今週は更にイベントが多く、ユーロ材料だけでなくドル材料、円材料もありますし、四半期末も重なることからドル買い、ドル売りどちらにも動きやすいという前提で見ていた方がよいでしょう。

今週は経済指標、講演等連日盛りだくさんな一週間となりますが、その中からいくつか注目すべきイベントを取り上げます。まず30日東京午前10時から米国大統領選の第1回TV討論会が実施されます。これまでの世論調査ではバイデン前副大統領がリードを続けていましたがここ1か月ほどで少しずつトランプ大統領がそのリードを縮めています。今年はコロナ禍の影響が大きく例年以上にTV討論会での両候補の発言に注目があつまることはたしかです。第1回目のTV討論は90分間で、その間に「これまでの両者の活動」「最高裁について」「新型コロナについて」「経済について」「人種と暴力について」「選挙の完全性について」の6つのテーマが議論されます。

この中では、直近で最高裁判事を指名したトランプ大統領、黒人問題といったあたりをバイデン前副大統領は突っ込んでくると考えられますが、こと討論においてはトランプ大統領のほうが上手だと思いますし、当然準備をしてくるでしょう。トランプ大統領側もバイデン前副大統領の失言を誘う突っ込みをしてくることは確実です。これまでのリード差が更に縮まる方向に動くのか、あるいは再びリードが広がるのか討論会後の世論調査には注目が集まります。

そして9月日銀短観が1日に発表されますが、前回ほどのひどさ(大企業製造業がマイナス34)ではないにしても、依然として厳しい数字が出ると予想されています。予想も幅が広くマイナス20〜30となっていますが、どちらかに振れるような数字が出た場合は一時的に為替市場も動く要因となります。ただ、翌2日には米国雇用統計が控えていることを考えると、方向感が出るという動きにまではならないでしょう。

そして2日の米国雇用統計ですが。失業率は改善予想(8.2%)、NFPは前回よりは増加が鈍化する(+85万人)と予想されています。ただ、改善と言っても絶対的な数字は決して良いわけではありませんし、新型コロナ感染者数も減少していたのは9月上旬までで直近では再び増加に転じています。欧州での状況を考えると米国も安心は出来ませんし、9月末で切れる補助金のことなども考えると、多少の改善程度でリスクオンに動くことは難しいと考えています。

そしてテクニカルです。日足チャートをご覧ください。

ドル円日足チャート

ドル円日足チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先週初の安値は104.00、7月末の安値は104.18と104円水準で短期的には底を打ったチャートとなっています。また上値については7月高値からのレジスタンスライン(ピンク)には距離がありますし、9月高値からのレジスタンスライン(青)はかなり近いのですが、9月に入ってからの着実に高値を切り下げる動きを考えると、テクニカルには同ラインが位置する105.75レベルが今週はレジスタンスとなりやすい水準です。

また下方向では既に105円割れでは買いも出始めているようですが、個人的にはユーロの売りがユーロ円に波及する可能性を考えると、下方向に余裕があるレンジを考えたいところです。イベントも多く思い切り外す可能性もありますが、週初の水準から上の水準では売りで入り、下がったところで買い戻すスタンスがよさそうです。

今週はイベントでの動きが想定内であれば、104.75レベルをサポートに105.75レベルをレジスタンスとする流れを見ておきますが、結果次第ではどちらにも動きうるという認識でいましょう。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

9月28日(月)
**:** NZ夏時間に移行
18:30 南ア8月PPI
18:45 シュナーベルECB理事講演
22:45 ラガルドECB総裁講演
23:00 英中銀総裁講演
27:00 クリーブランド連銀総裁講演

9月29日(火)
08:30 本邦9月東京区部CPI
08:50 日銀会合主な意見公表
15:45 フランス9月消費者信頼感
18:00 ユーロ圏9月消費者信頼感
21:00 ドイツ9月CPI速報値
21:15 NY連銀総裁講演
22:00 米国7月ケースシラー住宅価格
22:30 フィラデルフィア連銀総裁講演
23:00 米国9月消費者信頼感

9月30日(水)
06:45 NZ8月住宅建設許可件数
10:00 米国大統領選第1回TV討論会
10:00 中国9月製造業PMI
10:30 豪州8月建設許可
10:45 中国9月MarkIt製造業PMI
15:00 英国4〜6月期GDP改定値
15:00 英国9月住宅価格
15:00 ドイツ8月輸入物価
15:00 ドイツ8月小売売上高

15:45 フランス9月CPI速報値
15:45 フランス8月PPI
16:00 トルコ8月貿易収支
16:20 ラガルドECB総裁講演
16:55 ドイツ9月失業率
17:00 南ア8月CPI
21:00 南ア8月貿易収支
21:15 米国9月ADP全国雇用者数
21:30 米国4〜6月期GDP確報値
22:45 米国9月シカゴ購買部協会景況指数
23:00 レーンECB理事講演
23:30 週間原油在庫統計
24:00 ミネアポリス連銀総裁講演

10月1日(木)
**:** 香港、中国市場休場
08:50 日銀9月短観
16:00 トルコ9月製造業PMI
16:50 フランス9月製造業PMI
16:55 ドイツ9月製造業PMI
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI
17:30 英国9月製造業PMI
18:00 ユーロ圏8月失業率
18:00 ユーロ圏8月PPI
20:30 米国9月チャレンジャー人員削減予定数
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国8月個人所得・消費支出
22:45 米国9月製造業PMI
23:00 米国9月ISM製造業景況指数
23:00 米国8月建設支出
**:** EUサミット(〜2日)

10月2日(金)
**:** 香港、中国市場休場
08:30 本邦8月失業率・有効求人倍率
10:30 豪州8月小売売上高
18:00 ユーロ圏9月CPI速報値
21:30 米国9月雇用統計
23:00 米国9月ミシガン大消費者信頼感
23:00 米国8月製造業新規受注

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

今週は先週一週間のドル円の動きをまとめて書かせていただきます。

先週のドル円は週を通してドル買い・円売りの動きが続きました。東京市場が休場となった月曜には前週からのドル安の流れが続き、日経平均先物の売りが強まったことも重なって欧州市場序盤には104.00レベルの安値をつけました。しかし、104円以下では実需等ドル買いオーダーが並んでいたことから反転、ユーロドルも欧州市場において前週末からの1.18台後半の上値が重たかったこともあり、ユーロドルが急速に値を下げる動きとともに底堅い動きとなりました。その後のNY市場ではユーロに遅れて急速にドル買い戻しの動きとなり、短期的な安値を見ることとなりました。

その後は、月曜のドル買い戻しの動きが週末まで続くこととなりますが、特に新型コロナ感染者数が欧州主要国で急増する動きを嫌気してのユーロ売りがリードする形で為替市場全般にドル買い戻しが目立ちました。金曜にはドル円は105.70レベルと週初に比べて1円70銭のドル高水準にまで反発しましたが、月曜までのドル安が速かったのと同様にドル買い戻しのスピードも速く105円台後半ではドル売りオーダーが並んでいる状態での週明けとなっています。

ディスクレーマー

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