ドルの下値トライは失敗、戻り歩調か!?
〇先週のドル円、一時104円まで下落するも、週末には105円台のドル高値圏で終了
〇TikTokをめぐる動き、トランプ氏の発言の変化が市場を混乱に陥れる
〇新型コロナ再拡大、英国ロックダウンに続き、フランスも「パリでの集会制限措置」発表
〇29日、2人の米大統領候補による初の討論会実施
〇今週のドル円予想レンジ104.30-106.80
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが強含み。ザラ場ベースでは一時104円ちょうどまで下落、直近安値を更新したものの、終わってみれば105円台。週間のドル高値圏だった。
前週末は、中国発の動画アプリTikTokをめぐり情報が交錯すると、休日を堪能していた市場筋も右往左往。また、菅首相が外交デビューし、トランプ米大統領やモリソン豪首相と連続で電話会談を行ったことが明らかになったうえ、トランプ氏に猛毒リシン入りの郵便物がとどいたことなども話題となっていた。
そうしたなか取引が開始されたドル/円は、104.45-50円でオープンしたのち、当初はドル売り優勢。週間安値である104円ちょうどまで一時下落した。しかし、104円を割れずに反発に転じると、その後は緩やかな右肩上がり。週末には105.70円まで値を上げ、ドルはそのままNY終値でも105.50-60円と高値圏をキープしたまま、越週している。
なお、ドル/円以外でも、豪ドル絡みなどはなかなか興味深い値動きをたどっていたが、とくにとなると対円で史上最安値を更新したトルコリラか。13円半ばまで下落したものの、予想外の同国中銀による利上げから、週末にかけては値を戻した。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「TikTokをめぐる動き」と「新型コロナ再拡大」について。
前者は、朝令暮改ともいえるトランプ氏の発言の変化に市場は困惑させられた。18日には、同じ中国発SNSのウィーチャットとともに「TikTokの新規ダウンロードを20日に禁止する」と発表していたが、それを20日にアッサリと撤回。「オラクルの提携案を概念の面で承認した」とスタンスを一転させたものの、TikTokの親会社である中国バイトダンスが「米国を含む国際事業を担う新会社の経営支配権は引き続きバイトダンスにある」とした声明を発表したことが癇に障ったのか、再び「米経営権放棄しなければ合意はない」などとし、承認撤回を示唆するコメントを発し、市場を混乱に陥れていた。
また米中に関しては、それとは別に、国連総会を舞台に新型コロナについて、トランプ大統領が「中国ウイルス」と連呼。それに対して、習国家主席が「政治問題化するな」と述べるなど、米中トップが激しくやり合ったことも話題になっていたようだ。
対して後者は、米ジョンズ・ホプキンス大学の調査で、新型コロナの死者数は世界全体においていよいよ100万人という数字が現実味を帯びてきた。うち5分の1、つまり20万人は米国における死者であり、そちらももちろん大きな問題なのだが、先週は感染拡大を懸念し、英国がロックダウンに踏み切ったことに続き、フランスでも「パリでの集会制限措置」が発表されるなど欧州情勢が話題に。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円は一時104円ちょうどまで下落し、7月安値の104.19円を更新したものの、下値追いは続かず。ドル/円のチャートを見ると、7月安値と先週安値でダブルボトムをつけた感も否めず、下値トライは失敗した公算が大きい。したがって、短期的にはさらなるドルの戻りを試す展開を見込む向きが多いものの、それもNYダウなどの米株や、今週末に発表される9月の雇用統計などの米経済指標次第。106円台では上値の重い展開をたどる可能性も否定出来ない。
材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「米大統領選」、「ベラルーシ情勢」、「毒殺未遂事件を中心としたロシア情勢」など注目要因は依然として目白押し。そんななか、今週とくに注視したいのは要人発言で、なかでも29日に実施される2人の米大統領候補による初の討論会に注意を払いたい。現状、複数の世論調査でバイデン氏が有利とされるなか、討論会でトランプ氏が巻き返せるのか否か、動静如何によっては為替をはじめとする金融市場への影響もありそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は前述したように7月安値と今回でダブルボトムを付けた感があり、セオリーからみてもドル高方向にバイアス。少なくとも下値リスクがそれほど高いとは思われない。ただ、米株の動きや要人発言、発表される米経済指標の内容如何では、その限りではないだろう。仮に、再び下値をトライした場合には、先週安値104円ちょうどで下げ止まらないのかもしれない。
一方、今週は、9月の消費者信頼感指数や同ISM製造業景況指数、同雇用統計など週間を通して連日のように重要とされる米経済指標の発表が相次ぐ。指標それぞれに注意を要するが、とくにとなると、やはり週末に発表される米雇用統計か。内容が市場予想を下回り、景気回復ペースの鈍化が示された場合、ドル売りで反応するとの見方が有力だ。
また、先でも取り上げように、「米大統領候補者による第1回討論会」が実施されるほか、クォールズFRB副議長など通貨当局者による講演も目白押し、そちらも一応要注意。
そんな今週のドル/円予想レンジは、104.30-106.80円。ドル高・円安については、移動平均の21日線も近い、先週高値105.70円をめぐる攻防にまずは注目。上抜ければ105.85-90円や106.30-35円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、105円前後が最初のサポートで、104.80円レベルもなかなか底堅そう。ただ、それらをクリアに下回ると104円ちょうどが再び視界内に捉えられかねない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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