トルコリラ週報:『トルコ中銀は大幅利上げに踏み切るも通貨安防衛効果は早くも剥落』(9/26朝)

トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。

トルコリラ週報:『トルコ中銀は大幅利上げに踏み切るも通貨安防衛効果は早くも剥落』(9/26朝)

トルコ中銀は大幅利上げに踏み切るも通貨安防衛効果は早くも剥落

〇トルコ円リスク回避ムード、ギリシャとの対立等に史上最安値となる13.63まで下落
〇その後トルコ中銀の予想外の政策金利大幅引き上げに14.04まで反発、13.78近辺で越週
〇トルコリラ円、テクニカル、ファンダメンタルズとも、下落リスクが警戒される
〇脆弱なファンダメンタルズ下での利上げ実施、トルコ経済の下押し圧力となる恐れあり
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.50ー14.00

今週のレビュー(9/21−9/25)

今週のトルコリラ円相場は、週初13.83円で寄り付いた後、@新型コロナウイルスの感染者数拡大や、A上記@を背景とした世界的なリスク回避ムード(株安→ドル高・円高→新興国通貨安)、Bトルコ・ギリシャを巡る地政学的リスク、C外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、DEUによる対トルコ制裁の思惑等が重石となり、9/22にかけて、史上最安値となる13.63円まで下落しました。しかし、Eトルコ中銀が市場予想に反して政策金利である1週間物レポ金利を大幅に引き上げる(8.25%→10.25%)と(※エルドアン大統領はこれまで終始一貫して利上げに反対姿勢を示していたが、足元で加速する通貨安の防衛を目的に利上げを余儀なくされた格好)、週末にかけては、一時14.04円まで反発する場面も見られました。もっとも、14円台では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと再び反落。結局13.78円付近まで押し下げられての越週となっております(週足ベースでは結局陰線引け。上値の重さを再確認)。

来週の見通し(9/28−10/2)

トルコリラの対円相場は、6/3に記録した約1ヵ月半ぶり高値16.26円をトップに反落に転じると、9/22には史上最安値となる13.63円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転及びパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を強く印象付けるチャート形状となっております(サプライズ利上げを受けて反発に転じるも、ボリンジャーミッドバンドに続伸を阻まれ結局反落)。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C実質金利のマイナス(今般の利上げでマイナス幅は縮小するもプラス圏へは浮上せず)、D米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(着々と広がる反トルコ包囲網)、Eギリシャを巡る地政学的リスク、F米中対立先鋭化リスク(世界的な貿易戦争への波及リスク)、G新型コロナ感染再拡大リスクなど、トルコリラ売りを想起させる懸念材料は今尚山積みの状態です。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にもファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ経済の先行き不透明感(脆弱なファンダメンタルズにも係わらず利上げに踏み切ったことで、今後は一段とトルコ経済に下押し圧力が加わる恐れあり)や、外貨準備の急減リスク(資本流出を食い止めるための介入余力が大幅に低下→リラ安基調止まらず)、ギリシャを巡る地政学的リスク(反トルコ包囲網の拡大)が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週は9/30に発表されるトルコ8月貿易収支や、10/1のトルコ9月製造業PMIに注目。冴えない結果となれば、リラ売り再開の恐れあり。利上げに伴う通貨安防衛効果は既に剥落しており、引き続き史上最安値更新を伺う展開を想定)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):13.50ー14.00

注:ポイント要約は編集部

トルコ中銀は大幅利上げに踏み切るも通貨安防衛効果は早くも剥落

トルコ円日足

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