トルコリラ円見通し 9月24日夜のトルコ中銀金融政策会合迫る中、対ドルでの最安値更新続く(20/9/24)

23日午後及び24日未明に13.70円を超えたところは戻り売りにつかまっており、24日午前も13.61円まで下げて安値更新への余裕が乏しい状況にある。

トルコリラ円見通し 9月24日夜のトルコ中銀金融政策会合迫る中、対ドルでの最安値更新続く(20/9/24)

9月24日夜のトルコ中銀金融政策会合迫る中、対ドルでの最安値更新続く

〇トルコリラ円、9/23早朝13.60まで続落し史上安値更新、24日未明に13.70へ戻るも13.61まで下げる
〇24日20時にトルコ中銀金融政策発表、利上げ見送りならリラ売りが加速する可能性
〇トルコとギリシャの東地中海海底資源問題が領有権協議を再開することで合意
〇13.73以下の推移中は一段安余地あり、13.60割れから13.40前後への下落を想定
〇13.73超えから13.80序盤の上昇を想定、13.80以上は反落注意

【概況】

トルコリラ円(BID)は9月23日早朝に13.60円まで続落して対円での史上最安値を更新したが、その後は13.60円台を中心とした横ばいにとどまって新たな安値更新を回避しているが、23日午後及び24日未明に13.70円を超えたところは戻り売りにつかまっており、24日午前も13.61円まで下げて安値更新への余裕が乏しい状況にある。
日足では9月11日から21日まで7営業日連続の陰線となり、22日は安値更新後の反発で陽線引けとなったものの23日は再び陰線となり先安感が収まらない状況だ。

ドル円は9月21日に103.998円まで下落したところまではリスク回避の円高が勝る状況での下落だったが、その後はドル全面高が勝る状況となって3日連続の日足陽線で戻している。ドル円の上昇がトルコリラ円には下支えとなるところだが、それ以上の勢いで対ドル及び対ユーロでのトルコリラ安が続いているためにトルコリラ円も最安値更新を続けている状況だ。

【トルコ中銀への利上げ催促的なドル高リラ安続く】

トルコリラが対円、対ドル、対ユーロ等で連日の史上最安値更新を続けている背景は(1)トルコの外貨準備不足と実質マイナス金利状態の長期化、(2)世界的な感染拡大継続による観光収入の激減及び経常収支悪化、(3)東地中海ガス田を巡るギリシャやフランスとの対立による地政学的リスクの拡大等であり、より直接的には9月11日に米格付け大手のムーディーズがトルコの格付けを「B1」から「B2」に格下げし、格付け見通しを「ネガティブ」で維持したことによる。トルコ中銀の金融政策決定会合が9月24日夜に迫る中、利上げを渋るエルドアン政権及びトルコ中銀に対して利上げ催促的なリラ売りが加速している状況だ。

対ドルでのトルコリラは9月23日に7.66リラを付けて史上最安値を更新し、24日午前には7.70リラまでさらに安値を更新してきている。日足では8月31日から9月9日まで8営業日連続陰線で下落し、9月15日から23日まで再び7営業日連続の陰線で安値更新を続けている。週間ベースでは現時点で前週比2%近い下落率となっている。
対ユーロでのトルコリラも9月21日には9.00リラに到達し9月23日には9.008リラへと安値更新が続いている。

9月24日20時にトルコ中銀の金融政策発表がある。市場の予想では現状維持に留まるとの見方が強く、利上げ見送りならさらに利上げ催促的なリラ売りが加速する可能性があり、特に流動性の薄い中でセリングクライマックス的な下落や、フラッシュクラッシュ的な急落が発生する可能性もあると注意したい。逆に利上げを決断すれば市場にとってはサプライズとなりリラ急騰の可能性もあるが、内容次第では急騰も一時的なものに留まるかもしれない。いずれにせよ今晩の中銀政策発表が極めて重要だ。

【東地中海ガス田開発問題では対話が始まる】

トルコとギリシャ両国は、対立が続く東地中海の海底資源問題を巡って領有権協議を再開することで合意したと23日に報じられた。この協議は過去4年間進展無しとして中断していたが、トルコが海軍艦艇を伴ってガス田探査を強硬する中、ギリシャも軍艦を派遣して両国軍艦同士が接触事故を起こす等緊張感が高まる局面もあった。またフランスが空軍機を派遣したりギリシャがフランスから戦闘機等を購入するなどエスカレートの動きも見られてきた。
またEUがトルコへの制裁への動きを強めたことでトルコの探査艇はトルコ国内に寄港していたが、エルドアン政権の強硬姿勢は継続していた。
ギリシャ外務省はイスタンブールで近い将来に協議が再開されると発表した。トルコ側月末までに協議が始まる可能性があると述べた。フランスのマクロン大統領は国連総会でのビデオ演説で「トルコを尊重しておりトルコと対話の用意がある」と述べ、協議進展への期待を示した。協議は簡単には折り合わないと思われるが、地政学的リスクの高まりはひとまず落ち着くと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月17日早朝安値からの反発とその後の一段安により、9月17日朝安値を前回のサイクルボトム、17日昼高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日朝から24日朝にかけての間への下落を想定してきた。9月18日夜、21日夜、22日から23日早朝へと続落してきたため、23日午前時点では17日夜安値を直近のサイクルボトムと改めてボトム形成期を22日夜から24日夜にかけての間と想定し直し、強気転換は22日早朝の戻り高値13.73円を超えるところからとした。
9月23日朝安値の後は新たな安値更新には至らないものの横ばい程度の動きのため、まだ一段安余地が残る。中銀金融政策の発表もあるので、24日夜へ一段安してからひとまず戻しに入る可能性と、さらに続落が続いて連続的な弱気サイクルによる下落継続となる可能性があるので、強気転換は22日早朝高値を上抜くところからとし、上抜けないうちは一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では9月21日夜以降は安値を若干切り下げつつも横ばい推移のために遅行スパンは実線と交錯しているが、先行スパンからの転落は継続している。また横ばい推移のために先行スパンは薄くなり上抜きやすい状況でもある。強気転換目安を22日朝高値超えからとし、その場合は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、最安値更新からは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は21日夜からの横ばい推移のために50ポイントを挟んで方向感に乏しい。60ポイント超えから続伸に入れば70ポイントを超える上昇へ向かいやすく、40ポイント割れから続落の場合は20ポイント台への低下へ進みやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月23日朝安値13.60円を下値支持線、22日早朝高値13.73円を上値抵抗線とする。
(2)13.73円以下での推移中は一段安余地ありとし、23日早朝安値割れからは13.40円前後への下落を想定する。13.40円以下は反騰注意とするが、急落商状の場合は13.30円前後へ下値目途を引き下げる。また13.60円以下での推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.73円超えからは13.80円台序盤への上昇を想定するが、13.80円以上は反落注意とし、その後に13.70円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

9月24日
 16:00 9月製造業景況感 (8月 106.2)
 16:00 9月設備稼働率 (8月 73.3)
 20:00 トルコ中銀 政策金利発表 (現行 8.25%)
 20:30 週次外貨準備高 9/18時点
9月25日
 17:00 8月観光客数 前年比 (7月 -85.9%)   
9月29日
 16:00 9月経済信頼感指数 (8月 85.9)
9月30日
 16:00 8月貿易収支 (7月 -26.9億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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