ドル円見通し ドル全面高により3連騰 連続陰線後の戻し(20/9/24)

ドル円は9月21日夕刻安値103.998円からの上昇を継続、24日早朝には105.489円まで戻り高値を切り上げた。

ドル円見通し ドル全面高により3連騰 連続陰線後の戻し(20/9/24)

ドル全面高により3連騰 連続陰線後の戻し

〇ドル円、9/21夕刻安値から上昇を継続し24日早朝105.489まで高値を切り上げる
〇NYダウ9/3高値から下落基調続き、安値更新へ進むと3月暴落時並みの下落規模へ発展する可能性
〇新型コロナ感染拡大止まず米国では死者20万人を突破
〇104.924を上回るうちは上昇余地あり、105.489超えから105.75〜106円に迫る上昇を想定
〇104.927割れから弱気サイクル入り、104.50前後〜104円台序盤への下落を想定

【概況】

ドル円は9月21日夕刻安値103.998円からの上昇を継続、24日早朝には105.489円まで戻り高値を切り上げた。日足は9月10日から9月18日まで7営業日連続の陰線で下落となり、9月21日には7月31日安値104.182円及び104円を割り込み、2月後半からのコロナショック暴落で3月9日安値101.174円を付けた直後の3月12日以来6か月ぶりの安値水準となったが、その後は3日連続の陽線で切り返している。
9月21日安値への下落は米国株安を中心としたリスク回避感の高まりによりドルストレートでのドル買い戻しの動きよりもクロス円での円買い戻しの動きが勝る結果としてドル安円高が進行した印象だが、9月21日安値からの反騰ではドル全面高がドル円にも波及してドルと円の力関係がドル高円安へと切り替わった印象だ。

米連邦住宅金融局(FHFA)が日発表した7月の住宅価格指数は前年比6.5%上昇、前月比は1.0%上昇した。
マークイットによる9月の米製造業PMIは53.5で市場予想と一致、前月の53.1から上昇した。サービス業PMIは54.6で市場予想の54.7を下回り8月の55.0から低下した。これらに対する市場反応は限定的だった。

【株安由来のリスク回避的ドル高、米長期債利回りはさほど動いていない状況】

9月23日のNYダウは前日比525.05ドル安、ナスダック総合指数は330.65ポイント安と下落した。ダウは9月3日高値からの下落基調が続いており、9月10日安値の後を下げ渋っていたが9月17日から21日への下落で二段下げ型に発展しており、22日は下げ一服したものの23日は安値更新となっている。今のところは6月15日への調整安期に近い下落幅だがさらに安値更新へ進むと3月暴落時並みの下落規模へと発展しかねない状況だ。ナスダック総合株価指数は3月底からほぼ一本調子で上昇してきたこともあり6月の調整安が小幅だったため、すでに3月暴落へ進み始めた2月後半の下落規模となっている。米国株安が続くうちは為替市場もリスク回避型で進みやすい。

9月23日の米10年債や30年債の利回りは前日比変わらずだった。8月後半から長期債利回りの動きは高止まりしているとはいえ大きな変化は見られない。このため9月21日安値以降のドル高円安は米長期債利回り上昇によるものではなく、あくまでも株安由来のリスク回避的ドル買い戻しが円の買い戻しに勝った状況と考えられる。逆に言えば、米国株安がさらに進む場合、リスク回避的な円の買い戻し圧力が優勢になればドル円も円高ドル安を再開し始めると思われ、株安債券高・長期債利回り低下が始まる場合には金利差からのドル安円高へ向かいやすくなると思われる。

【感染拡大やまず、新たな手立てに乏しく調整局面入り】

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が止まず、欧州では英国やフランス等で第二波が襲来し、米国では死者が20万人を超える事態となっている。4-6月期の景気悪化からは改善しているとはいえ、今後の感染拡大によってコロナ不況が長期化する懸念が徐々に強まる中、3月のコロナショック暴落から出直ってきた株式市場、投機通貨や資源通貨等の上昇がコロナショック前の水準まで戻したところでもう一段高へ進む推進力に欠け、弱気材料に反応しやすくなる中でNYダウが下落に転じ、為替市場でもドルの巻き返しの動きが強まってきた状況と思われる。

コロナ対策としての世界的な金融緩和による資産インフレ進行期待は継続してきたとはいえ、あくまでもコロナショック前の景気水準へ回復してゆく楽観見通しとそれを支える金融財政政策への期待感が前提であり、感染拡大が収まらない中では景気の底打ち感に対して市場心理も懐疑的になる。米連銀はゼロ金利の長期化方針を示したものの他に強力な手立てがあるわけでもなく、財政政策的にも米議会での与野党協議の不調でまとまらず、米中対立が深刻化する中で米大統領選挙も近づいてきて、3月暴落からの出直りも一巡して調整局面入りしたとの認識が強まっていると思われる。

米連銀(FRB)のクラリダ副議長は23日のインタビューで「個人消費支出(PCE)物価指数前年比が2%に到達するまで事実上のゼロ金利にとどまる」と述べた。また景気は持ち直しが続いて7〜9月期は急速に回復するとの見通しを示したが、高水準の失業と小規模企業の破綻リスクが懸念されるとし、議会や政府による追加の財政支援が必要である可能性が高いと述べた。
米ボストン連銀のローゼングレン総裁は23日、新型コロナウイルス感染の第2波を懸念するとし、「公衆衛生に対する米国の無策さが経済の最大リスクだ」と述べ、賃貸需要の落ち込みによる不動産担保証券や不動産価格の下落を通じた中小銀行への打撃が警戒されるとの認識を示した。

クラリダ議長、ボストン連銀総裁いずれも米政府による財政政策の必要性を強調しつつも米連銀としての新たな手立てへの言及は乏しい。ゼロ金利の他にはYCCによる長期債利回り抑制等もあるが、効果を発揮するのかどうかは疑問でもあり、すでにゼロ金利状態にある中で利下げ余地はなく、金融政策的には手詰まり感が強まっている印象だ。米連銀への期待感が薄まれば株安、リスク回避及びマイナス金利導入催促的なドル高が進みやすいかもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月21日夕安値から1円近い反騰となったため、23日朝時点では9月21日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。トップ形成期は23日から24日にかけての間と想定したが、上昇基調が続いているのでトップ形成期の延長入りによる上昇余地がまだあると思われる。ただし、9月21日夕安値から22日夜、23日夕と底上げをして高値を切り上げてきているので、底上げパターンが崩れる23日夕安値割れからは弱気サイクル入りとして24日午後から28日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月21日夕安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンを突破したが、その後も両スパンそろっての好転が続いている。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26本基準線割れを弱気転換注意とし、遅行スパンの悪化からは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は9月18日夕安値から21日夕安値への一段安に際して指数のボトムがやや切り上がる強気逆行を見せて反騰入りしたが、23日午前高値から24日早朝への一段高に際しては指数のピークが切り下がっているため弱気逆行の気配が見られる。このため50ポイント割れからはいったん下落へ向かうとみて30ポイント台へ低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月23日夕安値104.927円を下値支持線、24日早朝高値105.489円を上値抵抗線とする。
(2)104.927円を上回るうちは上昇余地ありとし、105.489円を超えからは105.75円、さらに106円に迫る上昇を想定する。105.75円以上は反落警戒としてその後に105.25円を割り込むところからはいったん下落期に入る可能性があるとみる。
(3)23日夕安値割れからは弱気サイクル入りとみて104.50円前後、さらに104円台序盤への下落を想定する。104.50円割れではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、105円以下での推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/24(木)
16:30 (ス) スイス国立銀行 政策金利 3か月物銀行間取引金利誘導目標 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)
17:00 (独) 9月 IFO企業景況指数 (8月 92.6、予想 93.8)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 8.25%、予想 8.25%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 86.0万件、予想 84.3万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1262.8万人、予想 1233.9万人)
23:00 (米) 8月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (7月 90.1万件、予想 89.0万件)

23:00 (米) 8月 新築住宅販売件数 前月比 (7月 13.9%、予想 -1.2%)
23:00 (米) ムニューシン米財務長官、パウエルFRB議長、上院銀行委員会証言
23:00 (米) ベイリー英中銀総裁、講演
25:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
26:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
27:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、イベント挨拶
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 4.50%、予想 4.25%)

9/25(金)
08:50 (日) 8月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (7月 1.2%、予想 1.2%)
17:00 (欧) 8月 マネーサプライM3 前年同月比 (7月 10.2%、予想 10.4%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注 前月比 (7月 11.2%、予想 1.5%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (7月 2.4%、予想 1.2%)

注:ポイント要約は編集部

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