トルコリラ円 史上最安値更新続く、クライマックス的なクラッシュにも注意が必要か(20/9/16)

トルコリラ円は、15日夜に14.04円まで安値を更新、16日早朝には14.02円まで安値をさらに切り下げて14円割れへの余裕が乏しくなっている。

トルコリラ円 史上最安値更新続く、クライマックス的なクラッシュにも注意が必要か(20/9/16)

史上最安値更新続く、クライマックス的なクラッシュにも注意が必要か

〇トルコリラ円、16日早朝14.02まで安値切り下げる
〇格下げによる対ドルでの下落感に加え円高による売り圧力も重なり下げ足さらに早まる可能性
〇対ドル、終値ベースで9/9の7.484を割り込み、15日7.490で史上最安値更新
〇最終局面ではクラッシュ的な下落加速も発生しかねないが、まだ下げ切り感に至らない印象
〇14.11以下で推移中は一段安余地あり、14.02割れからは13.90円台中盤への下落を想定
〇14.11超えからは強気サイクル入りとみて14.15前後試し、14.15以上は反落警戒

【概況】

トルコリラ円(BID)は9月9日午後安値14.11円から9月10日夜高値14.287円まで戻していたが、9月11日の格付け会社ムーディーズによるトルコ格下げ報道から下落再開に入り、14日夜にはドル円が105円台中盤まで下落したことと対ドル等でのトルコリラ安が重なって14.10円を割り込み、9月15日未明には14.06円まで下げて8月10日付けた安値14.07円を割り込んで史上最安値を更新した。9月15日午後にかけては下げ一服となっていたが14.10円を超えるところでは戻り売りにつかまり、15日夜にドル円が105円台序盤まで一段安したことで14.04円まで安値を更新した。16日早朝には14.02円まで安値をさらに切り下げて14円割れへの余裕が乏しくなっている。

【円高圧力強まる】

ドル円は8月28日の安倍首相辞任騒動で当日昼高値106.94円から夜安値105.17円まで急落した後は9月3日夜高値106.54円までいったん持ち直していたが、9月3日夜高値106.54円と4日夜高値106.49円をダブルトップとして行き詰まり、9月9日に105.75円まで反落した後は106円台序盤まで戻していたが、9月14日夜に105.51円まで急落、15日夜には105.30円まで一段安となった。16日午前も105円台序盤にあり15日夜安値を若干割り込み始めている。

9月17日未明のFOMCを控えてドル安継続感から円高反応が徐々に強まり始めている印象だ。7月31日安値104.17円から8月13日高値107.05円まで戻した後は105円台序盤から107円前後までのレンジ相場での往来が続いてきたが、9月15日夜の下落でこのレンジ相場の下限に迫ってきている。FOMCからさらに円高へ進む場合、7月31日安値を割り込んで3月コロナショック時安値101.23円を目指す可能性も出てきかねないが、そうなるとトルコリラ円にとっては格下げによる対ドルでの下落感に加えて円高による売り圧力も重なってくるために下げ足がさらに早まる可能性がある。
トルコリラ円の日足はBIDにおいては8月10日安値の後は戻り高値が切り下がる三角持ち合いの様相だったが、今週の下落で持ち合い下放れに入ったばかりだ。ASKでは8月17日時点で最安値を更新し、その後も続落してきているために既に下放れによる下げ足が徐々に強まり始めている印象となっている。

【対ドル及び対ユーロでのトルコリラ安基調続く】

トルコリラは対ドルで9月14日安値で7.503リラを付けて9月10日安値7.501リラを超えて史上最安値を更新したが、その後も7.50リラ前後の安値圏にとどまっている。終値ベースでは9月9日の7.484リラを9月15日終値7.490リラで割り込み史上最安値を更新している。対ドルでの日足は9月7日から9日まで3日続落、10日に下げ一服した後に11日から15日まで再び5日続落となっっている。
週間足ベースでは、8月30日の週で1.37%安、9月6日の週で0.53%安、今週は現時点で0.26%安と3週連続の下落気配となっている。

トルコリラは対ユーロでは9月14日安値で8.912リラを付けて史上最安値を更新、終値ベースでは9月14日に8.875リラで最安値更新となった。9月15日は8.917リラまで取引時間中の最安値を更新している。9月15日夜まではユーロ高ドル安だったが深夜にユーロドルが反落したために対ユーロでのトルコリラ安もやや一服したが、引き続き史上最安値近辺での推移となっている。週間ベースでは8月23日の週に0.87%安、8月30日の週に0.81%安、9月6日の週に0.59%安と3週連続で下落してきたが、今週も現時点で0.19%安の続落気配となっている。

ムーディーズによる格下げ報道から欧米投資家によるリラ売り圧力がさらに増している印象だが、エルドアン政権が通貨防衛へ向けた力強いメッセージを発信しないことには、市場も利上げ催促でのリラ売りを継続して行きやすいと思われる。また2018年8月の通貨危機にも見られたように、大幅下落の最終局面ではクラッシュ的な下落の加速も発生しかねない。そうしたクラッシュ的な下落によって当面の安値を付けて反騰入りしてゆくのも相場の特性ではあるが、今のところはまだ下げ切り感に至らない印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月9日午後安値をサイクルボトムとして上昇していたが、9月10日夜高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りした。ボトム形成期は14日午後から16日午後にかけての間と想定されるので、15日午後の戻り高値14.11円を超える反騰を見せればいったん強気サイクル入りとして16日の日中から17日夜にかけての間への上昇が予想されるが、強気転換できずに安値更新が続く場合は、9月15日未明安値等を直近のサイクルボトムとして底割れによる連続的な弱気サイクル入りとなってボトム形成期が18日未明から21日朝にかけての間へ延長される可能性もあると考える。

60分足の一目均衡表では9月11日夜の下落から遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみるが、先行スパンが引き続きぶ厚い抵抗帯となるため先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが再び悪化するところから下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は9月15日未明に30ポイント割れまで低下した後は相場の安値更新に対して指数のボトムが切り上がっているが、指数の戻りも15日午後をピークに切り下がっているためまだ一段安懸念が解消していない印象だ。50ポイント超えへ戻せないうちはもう一段安警戒とし、20ポイント台を目指す可能性があるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月16日朝安値14.02円を下値支持線、9月15日午後高値14.11円を上値抵抗線とする。
(2)14.11円以下での推移中は一段安余地ありとし、14.02円割れからは13.90円台中盤への下落を想定する。13.95円以下は反騰注意とするが、14.05円以下での推移が続くうちは17日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)14.11円超えからはいったん強気サイクル入りとみて14.15円前後試しとするが、14.15円以上は反落警戒とし、その後に14.05円割れへ失速するところからは下げ再開とみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

9月17日
 20:30 週次外貨準備高 9/11時点 (9/4時点 448.8億ドル)
9月21日
 23:30 8月中央政府債務残高 (7月 172.1億ドル)
9月22日
 16:00 9月消費者信頼感指数 (8月 59.6)
9月23日
 19:30 8月自動車生産台数 前年比 (7月 -11.8%)
9月24日
 16:00 9月製造業景況感 (8月 106.2)
 16:00 9月設備稼働率 (8月 73.3)
 20:00 トルコ中銀 政策金利発表 (現行 8.25%)
 20:30 週次外貨準備高 9/18時点
9月25日
 17:00 8月観光客数 前年比 (7月 -85.9%)  

 注:ポイント要約は編集部

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