トルコリラ円見通し 円安に支えられるも対ドルのリラ安重石で14.30円台の持ち合い(20/8/26)

トルコリラ円は、ドル円における円安に支えられつつも、対ドル及び対ユーロ等でのトルコリラ安に上値が抑えられ、25日も決め手に欠いてほぼ横ばいの推移が続いている。

トルコリラ円見通し 円安に支えられるも対ドルのリラ安重石で14.30円台の持ち合い(20/8/26)

円安に支えられるも対ドルでのリラ安が重石で14.30円台の持ち合い

〇トルコリラ円、14.30円台を中心とした持ち合いで、25日も決め手に欠きほぼ横ばい推移
〇8/25発表の8月製造業景況感、設備稼働率共に7月から改善
〇イスタンブール100株価指数、前日比で21日1.50%安、24日0.13%安、25日1.47%安と3日間の続落
〇対ドル及び対ユーロでの史上最安値更新なら、トルコリラ円への売り圧力再び強まると警戒
〇14.28割れからは一段安へ向かい14.10前後への下落を想定
〇14.40超えからは14.46試し、高値更新なら14.50試しとするが、14.50以上は反落警戒

【概況】

トルコリラ円は先週末の21日夜に14.65円まで上昇したところから反落に転じ、週明け24日朝には14.28円の安値まで失速した。その後はドル円における円安に支えられつつも、対ドル及び対ユーロ等でのトルコリラ安に上値が抑えられ、強弱拮抗により14.30円台を中心とした持ち合いで、25日も決め手に欠いてほぼ横ばいの推移が続いている。
トルコリラ円はインフレ率が政策金利を上回る実質マイナス金利状態に陥ったこと、通貨防衛のための外貨準備の減少、コロナ不況による観光収入の激減等を背景に7月中旬から急落となり、8月10日には14.07円の安値を付けて今年5月7日に付けた14.61円の安値を割り込んで史上最安値を更新した。その後は新たな安値更新を回避しているものの8月12日に14.79円まで戻してから失速し、8月21日の反発時も14.65円にとどまって戻り高値切り下がりが続いている。

【トルコの製造業は着実に回復するも株安が再燃】

8月25日に発表された8月製造業景況感は106.2となり7月の100.7から改善した。3月からのコロナ不況により前年比マイナスに転じ、4月には66.8まで悪化したが、5月の76.9、6月の92.6と改善傾向を続け、7月から8月も順調に改善している。
8月の設備稼働率は73.3%となり7月の70.7%から改善した。コロナショックにより4月には61.6%まで落ち込んだがその後は着実な持ち直しが続いている。
トルコは3月後半から感染爆発に入ったもののロックダウンを週末や年齢制限にとどめる等経済活動の停止を避けてきた。その後は感染拡大を抑制しつつ経済活動の正常化を図ってきたため、製造業等は壊滅的な打撃を被ることなく持ち直しに入っている。しかし、最重要な産業でもある観光への影響は甚大で回復の兆しも見えない状況だ。

円安に支えられるも対ドルでのリラ安が重石で14.30円台の持ち合い

先週末には黒海での新ガス田発見報道もあったが、実利を上げるためにはまだ数年かかるため、市場を熱狂させるものにはならず、イスタンブール100株価指数は8月21日にこの間の高値を更新したものの終盤の下落で前日比1.50%安となり、週明けもさえない展開で24日は前日比0.13%安、25日も1.47%安と3日間の続落となっている。製造業関連の改善も強気回復のきっかけにはならなかったようだ。

【対ドルでのトルコリラは急落一服するもまだ一段安懸念残る】

トルコリラは対ドルにおいて8月18日には7.40リラまで史上最安値を更新した後はトルコ中銀による利上げ見送りを消化して黒海ガス田発見報道から21日に7.18リラまで反騰した。しかしこの上昇は長続きせず、週明けの24日は安値で7.38リラまで反落、25日も7.41リラまで安値を切り下げている。日足の終値ベースでは8月20日から8月25日まで4日間の続落となっている。
対ユーロでは8月18日に8.82リラの史上最安値を付けてから21日に一時8.46リラまで反騰したが、その後は再び下落に転じており、8月25日は安値で8.77リラまで下落した。終値ベースでは8月20日から25日まで4日間の続落だが、8月5日から8月10日まで5日間続落、1日置いて8月12日から18日まで5日間の続落、8月19日に反発したものの20日から4日続落となっており、8月18日以降は史上最安値更新には至っていないものの下落基調の継続感が強まる動きのままとなっている。

トルコ中銀は政策金利を据え置きつつもオーバーナイトの貸出金利を実質的に引き上げ、国内銀行によるリラ流通規制等で引き締めを行っているが、外貨準備高の減少傾向はさらに続くとみてのリラ先安感は拭えない状況だ。対ドル及び対ユーロでの史上最安値更新となる場合、トルコリラ円への売り圧力も再び強まると警戒される。

ドル円は8月25日夜の上昇で8月20日午前高値106.21円を上抜いて8月19日からの上昇が二段上げに発展した。米長期債利回りが再び上昇してきていることが背景だが、米連銀がYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)へ消極姿勢とは言え金融緩和拡大政策は継続中であり、米長期債利回りが再び低下し始める場合はドル円も反騰の土台が崩れかねない。8月27日にはパウエル米連銀議長のジャクソンホール講演や米4−6月期GDP改定値の発表等もあるため、ドル安円高が再開するようだと、対ドルでのトルコリラ安に円高も重なる状況となりかねないと注意するところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月21日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8月24日朝から26日午前にかけての間への下落を想定した。24日朝安値の後は14.30円台でほぼ横ばいの状況が続いているため、24日朝安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて24日朝安値を直近のサイクルボトムとする。トップ形成期は26日夜から28日夜にかけての間とするが、24日朝安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして27日朝から31日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月24日朝安値以降の横ばい推移により方向感に乏しいが26日午前は遅行スパンが好転し、先行スパンへもぐり込んできているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパン上限が抵抗になりやすいと思われる。24日朝安値割れからは一段安入りとなるので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は8月24日朝安値以降の持ち合い推移によりややジリ高の推移だが50ポイントを挟んだ小動きで方向感に乏しい。50ポイントを割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて今週のポイントを示す。
(1)当初、8月24日朝安値14.28円を下値支持線、24日午後高値14.46円を上値抵抗線とする。
(2)14.30円以上での推移中は上昇余地ありとし、14.40円超えからは24日午後高値試しとし、高値更新の場合は14.50円試しとするが、14.50円以上は反落警戒とみる。
(3)14.30円割れからは弱気転換注意とし、24日朝安値割れからは一段安へ向かうとみて14.10円前後への下落を想定する。14.10円前後は買い戻しも入りやすいところとみるが、対ドル等での下落が厳しくなる場合は14.00円台前半へ下値目途を引き下げる。また14.30円以下での推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

8月27日
 20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨公開
 20:30 週次外貨準備 8月21日時点 (8月14日時点 453.8億ドル)
8月28日
 16:00 8月経済信頼感指数 (7月 82.2、予想 79.0)
8月31日
 16:00 4−6月GDP 前年比 (1−3月 4.5%、予想 -12.9%)
 16:00 4−6月GDP 前期比 (1−3月 0.6%、予想 -8.2%)
 16:00 7月貿易収支 (6月 -28.5億ドル)
9月1日
 16:00 8月イスタンブール製造業PMI (7月 56.9)
9月3日
 16:00 8月消費者物価 前年比 (7月 11.76%)
 16:00 8月消費者物価 前月比 (7月 0.58%)
 16:00 8月生産者物価 前年比 (7月 8.33%)

注:ポイント要約は編集部

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