注目材料目白押し、レンジ抜けへの期待も(週報8月第4週)

先週のドル/円相場は、ドルが小安い。一時105円割れをうかがう局面も観測されたが、結局割り込むことはできなかった。

注目材料目白押し、レンジ抜けへの期待も(週報8月第4週)

注目材料目白押し、レンジ抜けへの期待も

〇先週のドル円、週間安値105.10まで値を崩したが結局105円を割り込まず
〇トランプ政権による中国系アプリ規制強化の動きはまだまだ続きそう
〇TikTok「大統領令に異議」と米政府を提訴する方針
〇ロイター「米中で通商協議の開催めぐり温度差」と指摘し警戒感喚起
〇27-28日開催「ジャクソンホール会合」でのパウエルFRB議長による講演に要注意
〇今週のドル円予想レンジ104.50-107.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小安い。一時105円割れをうかがう局面も観測されたが、結局割り込むことはできなかった。

前週末15日に予定されていた「米中貿易合意の6ヵ月検証会合」は突然の延期に。さらに「次回会合の日程も決まらず」と伝えられていた。一方、トランプ米大統領が週明け17日以降にもイラン制裁復活手続きをとる意向を示したとされ、別に思惑を呼んでいたようだ。
そうしたなか取引が始まった週明けのドル/円は106.55-60円で寄り付いた。前述した「米中貿易」に関する話題なども当初はさほど材料視されなかったが、ジワリと影響力を高めるとドル売り・円買い要因に。また、「安倍首相が都内の病院で『日帰り検診』を行った」との報道に端を発した体調不良や健康不安説もリスク回避の動きを喚起していたという。週間安値105.10円まで値を崩したが下値を攻めきれず。その後はレンジ取引をたどるなか、週末NYは105.80円前後で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「TikTokなどをめぐる動き」と「米中貿易問題」について。
前者は、米国から中国の動画共有アプリTikTokや同SNSウィチャットが締め出される動きをたどるなか、米商務省から中国ファーウェイに対する制裁強化策が発表されたほか、大統領首席補佐官による「トランプ氏はTikTok以外の中国系アプリも禁止を検討」との発言が聞かれていた。トランプ政権による規制強化の動きはまだまだ続きそうだ。ただ、そうしたなか週末にはTikTokが「大統領令に異議」と米政府を提訴する方針を示しており、問題が法廷闘争などになる公算が高まっていた感も否めない。

対して後者は、15日に実施される予定だった米中貿易協議が延期されたが、トランプ米大統領が自身の考えで延期したと明らかにし物議を醸す。また、次回の日程がなかなか決まらないなか、ブルームバーグが「中国は米国と近く電話協議を行う」と報じ、近い将来の協議再開に期待を示すも、米国サイドからのコメントはうかがえず。そのため、ロイターは「米中で通商協議の開催めぐり温度差」などと指摘、逆に警戒感を喚起していたようだ。

<< 今週の見通し >>

新型コロナの感染拡大を懸念する声は決して少なくないのだが、ワクチン開発への期待なども大きく影響は相殺。為替市場であまり材料視されなくなってきた。今週も基本的な構図は変わらないと思われる。そうしたなか、「香港」や「台湾」、「TikTokをめぐる動き」など多方面に広がってきた「米中の対立」だが、唯一良好な関係を築いていた「米中貿易問題」について不協和音が聞かれはじめていることは若干気に掛かる。おりしも、今週は米共和党大会が24日から4日間の日程で実施され、トランプ氏の大統領指名受諾演説なども予定されている。対中貿易に言及した発言がなされる可能性も否定できない。

材料的に見た場合、「多方面にわたる米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」など、注目要因は依然として目白押し。それらに加え、ここにきて「安倍首相の健康不安説」と「ベラルーシ情勢」も新規要因として注目を集めはじめている。そのなかでも、先で指摘した24日からの「米共和党大会」ならびに、27-28日に開催される、いわゆる「ジャクソンホール会合」のパウエルFRB議長による講演には要注意だ。講演が金利低下につながる内容ではなかった場合、ドル売り圧力は弱まる可能性がある反面、現状の超緩和的な政策の長期維持を容認すれば逆にドル売りが進むことになるのかもしれない。

テクニカルに見た場合、若干ワイドだが、ドル/円はザックリ言って105-107円という2円レンジの動きをたどっている。夏枯れのせいもあるのか、8月以降すでに3週間もレンジ取引が続いており、明確な方向性は乏しいと言わざるを得ない。そんな揉み合いが今週も続くのか、それとも上下どちらかに放れていくのか、注目材料目白押しのなか、次の方向性を見極めるうえで重要な1週間になりそうだ。

一方、今週は、8月の消費者信頼感指数や4-6月期GDP改定値といった重要な米経済指標が発表される予定となっている。
また、それ以外では「米共和党大会」や「ジャクソンホール会合」、とくにパウエル議長の講演など注目要因が目白押し。まだまだ世界的に見て夏休みをとっている参加者も少なくなく、商いが薄めであるだけに、「薄商い=荒っぽい変動」にも一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、104.50-107.00円。ドル高・円安については、20日高値106.21円の攻防にまずは注目。抜ければ13日高値が位置し、移動平均の90日線も近い107円レベルがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値である105.10円が強いサポートとして意識されそう。底堅いイメージもあるが、しっかり割り込めば104円台突入、104.19円も薄っすらとだが視界内に入ってきそうだ。


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