トルコリラ円レポート月曜版(2020年7月13日)

実際のレンジは、安値が15.53レベル、高値が15.70レベルと想定レンジ内ではあったもののやや上値の重たい印象の一週間となりました。

トルコリラ円レポート月曜版(2020年7月13日)

トルコリラ円レポート月曜版

〇トルコリラ円週間安値が15.53、高値15.70とやや上値の重たい一週間
〇エルドアン大統領、世界遺産をモスクへ、宗教問題で新たな悪材料となる可能性
〇トルコ中銀利下げの思惑広がると売り圧力が強まる可能性、注意が必要
〇対ドルでのトルコリラ売りがきっかけとなりトルコリラ安再熱か
〇トルコ円15.45レベルをサポート、15.65レベルをレジスタンスとする流れ予想

まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが「方向感が出てくるとは思えず直近のレンジを考量して、15.50レベルをサポートに、15.80レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が15.53レベル、高値が15.70レベルと想定レンジ内ではあったもののやや上値の重たい印象の一週間となりました。

先週のトルコリラの材料としては、これまでと大きな変化は無いのですが、前週にも書いた格下げの可能性であるとか、政策金利とインフレ率の乖離であるとか、トルコリラにとっては悪材料の方が多いことは変わりません。単に目立った新規材料が無い中で取引規制もあって積極的なトルコリラ売りの動きには繋がらなかったという状況ですから、下げ圧力はあるという見方でよいでしょう。

そうした中で、最近のトルコ関係のニュースでひとつ気になったのが、エルドアン大統領が世界遺産アヤソフィアをモスクにする大統領令に署名したことです。アヤソフィアはギリシャ正教の聖堂として始まり、その後モスクに転換されましたが、1930年代に博物館となり異文化共存の象徴という観点からも世界遺産となっていました。

しかし、今回の決定でイスラム教のモスクとなることからキリスト教徒の多い欧米から非難が集中、米国国務省も遺憾の表明をしています。日本人にはピンと来ない話ですが、欧米にとってもイスラム圏にとっても宗教問題が戦争につながることは何度もありましたので、今後のトルコにとって新たな悪材料となる可能性がありそうです。

今週のトルコ国内の材料としては、いくつか経済指標もありますが、大きな材料となるようなものはありませんし、来週のトルコ中銀の会合を前にやや上値の重たい地合いが続きやすいというところかと思います。また前回は予想に反して現状維持となりましたが、来週の会合でも現状維持となるという見方と、次回は再び利下げを行うという見方と分かれているようです。このあたりは来週のレポートで捕捉しますが、利下げの思惑が広がってくると、これまで取引規制と介入で安値安定していたトルコリラに一気に売り圧力が強まる可能性もあり注意が必要です。

なお、ひとつ好材料としては経済活動再開後の主要国では急速に新規感染者数が増加する動きを見せていますが、トルコにおいては国内旅行の解禁とともに一時新規感染者が増えたこともありましたが、その後はうまく抑えられていて緩やかに減少していることは経済活動に対する制限の懸念は遠のいたと見てよく、その他の状況が変わらず利下げも行われずとなれば、トルコリラ反転上昇のきっかけとなる可能性はありそうです。


テクニカルには、まず日足チャートをご覧ください。

トルコリラ円レポート月曜版

最近でこそ動きは鈍いのですが、5月安値と6月安値の半値押し15.45がすぐ近くにあり、現状ターゲットとなる水準と言えます。そして6月安値を抜けると、この半値では止まらず61.8%押しの15.26まで下げる可能性が高いと見ていた方がよいでしょう。


こうした前提で、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)を見てみます。

トルコリラ円レポート月曜版 2枚目の画像

中段のトルコリラ安でピタッと止まっている対ドルの動きのほうが印象的ですが、こうした人為的な相場はいつまでも続くものではないことは過去に色々な通貨で何度も見てきたことです。好材料をきっかけにトルコリラ買い戻しが入らなければ、対ドルでのトルコリラ売りがきっかけとなってトルコリラ安が再燃する可能性が高いと見た方が自然でしょう。

日足チャートの15.45を赤の水平線で示しましたが、目先は同水準をターゲットにピンクの平行線で示した下降チャンネルの中を下げていく展開が予想されます。今週はいつトルコリラ売りが再燃してもおかしくない中で、テクニカルなターゲット15.45レベルをサポートに、レジスタンスラインが位置する15.65レベルをレジスタンスとする流れを見ておきますが、下抜けした場合テクニカルには思いのほか売られる可能性があるという点にだけは注意が必要です。

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