引き続きコロナ感染第2波が波乱要因に(週報7月第2週)

先週のドル/円相場は、ドルが小安い。前週は一度も割り込むことのなかった107円を下回り、週末NYもそのままドルの安値圏で大引けている。

引き続きコロナ感染第2波が波乱要因に(週報7月第2週)

引き続きコロナ感染第2波が波乱要因に

〇先週のドル円は小安く、107円下回り週末NYもドル安値圏で大引け
〇米中対立とともに、尖閣諸島をめぐる日中の対立にも警戒
〇外出規制や感染者数増など世界各地で「新型コロナ第2波」懸念
〇今週のドル円予想レンジ105.90-108.20

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが小安い。前週は一度も割り込むことのなかった107円を下回り、週末NYもそのままドルの安値圏で大引けている。

前週末に、南シナ海を舞台にした米中のやり合いが観測されたほか、独立記念日を迎えた米国はコロナ禍にもかかわらず、トランプ大統領が祝いの花火大会を開催したことが話題に。後者については、見物客などに対しマスク着用を求めなかったこともあり、クラスター発生への懸念が取り沙汰されていた。
そうしたなか、取引が始まった週明けのドル/円は107.40円前後で寄り付いたのち、しばらくはレンジ取引。107.25-80円といった動きが週の半ば程度まで続くも、後半にかけて底割れすると一気に107円割れ。週間安値である106.64円まで値を崩す局面も観測されていた。そののち週末NYでやや持ち直したが、すでに上値は重く、107円台は回復できず。結局、週末NYは106.90-95円で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「中国情勢」と「新型コロナの第2波懸念」について。
前者は、香港を背景にした米中対立が先鋭化するなか、米政府が、中国・新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒に対する人権侵害に関わったとして、「中国の高官らを制裁の対象にした」と発表するなど、両国の対立構造がさらに広がる様相をみせていた。ただ、週末にかけて王外相が「関係は最悪だが難題を棚上げし対話を」と発言するなど、関係改善に向けた動きもわずかながら観測されている。一方、それとは別に日中間の対立も深化。背景にあるのは尖閣諸島をめぐる動きで、領海侵犯などについて日本から抗議を受けた中国外務省の副報道局長は「尖閣諸島は中国固有の領土」としたうえで、「抗議は絶対に受け入れない」と発言したことが物議を醸していた。

対して後者は、米紙NYタイムズが「新型コロナは『空気感染』する可能性」などと報じたことへの返答として、WHOが「感染経路のひとつである可能性を見極めている」などとし、一部については事実と認めたことが話題に。そうしたなか、「豪メルボルンが外出規制を再導入」、「ブラジル大統領がコロナに感染」、「東京で新型コロナ感染者数が過去最高を記録(10日・243人)」−−などいったニュースが相次ぎ、「第2波」が単なる懸念にとどまらず現実のものになってきた感を否めなかった。また米国についても、米オクラホマ州タルサ郡の衛生当局トップが、トランプ大統領が先月20日に同地で開催した選挙集会などのあと、感染者が急増していると述べるなど、依然として感染拡大傾向は続いているようだ。

<< 今週の見通し >>

東京におけるコロナの新規感染者の増加傾向も由々しき問題だが、金融市場関係者がより注視しているのはやはり米国だろう。ただ米国の場合、ペンス副大統領が「陽性者300万人のうち130万人以上は回復している」と述べたうえで「死亡率は低い」と指摘。豪メルボルンのような「外出規制再導入」に否定的な見解を示していただけでなく、トランプ氏はいま一歩踏み込んで「早期の学校再開」を望むなど、逆に一段と活発な経済活動を促すような発言が聞かれていた。いずれにしても、米国が歩みを後退させる可能性は基本見込みにくいが、それも今後の動静次第。明らかな「感染第2波」といった様相を呈すれば、好むか好まざるかにかかわらず、再びロックダウン(都市封鎖)などに動かざるを得ないだろう。

材料的に見た場合、「貿易や香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「米ファンダメンタルズ」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「米中対立」と「新型コロナの第2波」への警戒になる。後者との絡みで言えば、先週末にかけてはやや良好な米経済指標が発表されても、先々への懸念が取り沙汰され、素直に株高あるいはドル高に繋がることは少なかった。今週は金融を中心とした米企業の決算発表も予定されているが、同様の展開をたどる可能性も否定できない。

テクニカルに見た場合、5月安値106.08円を起点とした直近上げ幅のフィボナッチ61.8%戻しの106.85-90円を先週末に下回っており、次のターゲットは76.4%押しの106.55-60円。これは先週のドル安値に近い。ともあれ、同レベルを割り込めばフィボナッチの観点では100%戻し、つまり106.08円がターゲットとなりそう。逆に下値を維持した場合には、移動平均の21日線が位置する107.20-30円などをまずは目指す展開か。

今週は、6月の消費者物価指数や、7月のNY連銀製造業景況指数といった米経済指標発表が相次ぐ予定となっており、取り敢えずそれらに注目。また、米地区連銀総裁らによるオンラインセミナーなども連日のように実施される見込みだ。
さらに、4-6月期GDPなど中国の経済指標発表も予定されているうえ、ECB理事会やEU臨時首脳会議など米国以外の注目材料も目白押し。予断を許さないかもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、105.90-108.20円。ドル高・円安については、移動平均の21日線が位置する107.20-30円をめぐる攻防に注目。上抜ければ同90日線が位置する107.60円レベル、108.16円などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値の106.64円が目先のサポート。これはフィボナッチで見たテクニカルポイント106.55-60円に近い。割り込めば直近安値の106.08円がターゲットに。

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