トルコリラ円見通し フラッシュクラッシュ後は15.60円台でのレンジ相場(20/7/8)

フラッシュクラッシュ的な急落が落ち着いて次の方向性を探るところだが、上昇再開にはドル円の上昇とともに15.70円の抵抗をクリアする必要がありそうだ。

トルコリラ円見通し フラッシュクラッシュ後は15.60円台でのレンジ相場(20/7/8)

フラッシュクラッシュ後は15.60円台でのレンジ相場

〇トルコリラ円7日午前に15.60まで下げたが安値割れに至らず、8日午前には15.67まで戻す
〇対ドルでは7/3フラッシュクラッシュ後は6.85を挟んだ狭いレンジ推移
〇トルコの新規感染者は増加しているものの、6月16日以降増加ペースは抑制
〇15.60以上での推移中は上昇余地あり。15.70超えの場合は7月1日高値15.75試しの可能性
〇15.60割れからは15.55円前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は6月23日夜安値15.47円からの反騰で7月1日午前に15.77円まで高値を切り上げ、その後は15.60円台での横ばいが続いて15.70円には届かずに安値を若干切り下げていたが、7月3日夜には対ドルでトルコリラが急落し、トルコリラ円もベンダーによっては15.56円前後や15.40円前後、さらに15.14円前後を提示するところまで急落した。トルコの消費者物価上昇率が予想を超えて実質マイナス金利状態が拡大したことが下落要因と思われるが、この急落は一時的なフラッシュクラッシュにとどまって早々に元の水準に戻した。
7月3日深夜に15.58円まで再び下落したが、6日昼にはドル円の反発に合わせて15.69円まで戻し、7日午前にかけてはドル円の下落に合わせて15.60円まで下げたものの3日深夜安値割れには至らず、8日午前には15.67円まで戻している。

フラッシュクラッシュ的な急落が落ち着いて次の方向性を探るところだが、7月1日午前高値から下落して以降は15.70円が戻り抵抗となって超えられない状況が続いているため、上昇再開にはドル円の上昇とともに15.70円の抵抗をクリアする必要がありそうだ。

【ドル円はレンジ拡張型の持ち合い】

ドル円は6月23日深夜安値106.06円で5月6日安値105.98円割れを回避し、両安値をダブル底として7月1日高値108.16円まで戻した。その後は米雇用統計改善や7月6日の上海総合株価指数が5.7%高と急伸したこと等の株高に対してほどなびかず、107.50円を中心とした持ち合いにとどまっている。この間の戻り高値は7月2日夜、6日午前、7日夜とほぼ1直線で若干切り上がっているが、7月2日から7日午前にかけては安値ラインも切り下がっており、107.50円を中心値としてレンジ拡張型の持ち合いとなっている。アフターコロナの復興期待による株高の一方で感染拡大に歯止めがかからずに経済活動再開の流れがストップし始めていること、安全資産として米長期債が買われて長期債利回り低下傾向が続いていることがドル円には重しとなっている。当面は強弱材料入り混じりで方向感に欠けるところであり、7月1日高値108.16円を超えて上昇を加速できるのか、107円を割り込んで下落再開感が強まるのかを見定める必要がある。

トルコリラは対ドルでの動きがかなり限定的であり、7月3日のフラッシュクラッシュ後は6.85リラを挟んだ狭いレンジの推移に戻っているため、トルコリラ円の動向は当面してドル円次第という印象だ。

【トルコの感染増加数 千人超えが続くも抑制された状況を維持】

トルコの新型コロナウイルス感染者数は7月7日時点で20万7897人で前日から1053人増、死者5260人で前日から19人増えた。6月1日からの経済活動再開により6月12日以降は千人を超える状況が続いているものの、6月15日に1562人増となって以降はそれ以下の水準で抑制されている。また死者の増加ペースも20人弱で抑制されている。
トルコ公正発展党(AKP)のユルマズ副党首とドイツの社会民主党(SPD)シュミット議員らがベルリンで会合を持ったが、その席でのシュミット議員は「この夏、トルコを旅行できることを願っている。おそらくこの1週間か2週間のうちに渡航警告の内容が一部変更され、私もスーツケースを準備してトルコに行くことができるのではないか」と発言した。

欧州理事会は7月1日に第三国からシェンゲン協定地域に向かう人々に適用される渡航禁止を14か国に対して撤廃し、中国に対しても互恵の原則によりEU諸国に渡航許可が与えられる場合は禁止の適用除外としたが、トルコ、アメリカ、ロシア、ブラジル、インドなどについてはEU諸国による渡航禁止が継続されたため、トルコ政府はEUに抗議した。今回のドイツ議員との協議で前向きな解決へ進む可能性が高まったと思われる。
トルコは感染拡大を抑制しつつ経済活動を再開し、渡航規制も徐々に解除して観光復興を目指している。ただし、心配なのは感染の第二波であり、世界の感染拡大が続いていることはトルコにとっても大きな憂慮だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月3日夜のフラッシュクラッシュを一時的なものとして除き、7月3日深夜安値を直近のサイクルボトムとした。すでに7月6日昼高値でサイクルトップを付けた可能性があるが、7日午前への下落では3日深夜安値を割り込まずに持ち直しているのでまだ8日夜にかけての間への上昇余地ありとみる。またフラッシュクラッシュ後の相場のため、7月6日昼高値を上抜き返す場合は7月7日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りの可能性も検討される。ただし15.60円割れからは新たな弱気サイクル入りとして7月8日夜から10日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月7日午前安値からの上昇により遅行スパンが好転しているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は7月7日午前安値からの上昇で60ポイントを超え、いったん50ポイントを割り込んだところから戻しているのでまだ上昇余地が残る。ただし45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.60円を下値支持線、7月6日昼高値15.69円を上値抵抗線とする。
(2)15.60円以上での推移中は上昇余地ありとするが、15.69円前後は7月2日以降の上値抵抗となっているので戻り売りにつかまりやすいとみる。ただし15.70円を超える場合は上昇に勢いがつくために7月1日高値15.75円試しへ向かう可能性も出てくると思われる。また15.65円以上での推移なら9日午前も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)15.60円割れからは15.55円前後への下落を想定する。15.55円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、15.60円以下での推移なら9日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

7月10日
 16:00 4月失業率 (3月 13.2%、予想 14.6%) 
7月13日
 16:00 5月経常収支 (4月 −50.6億ドル、予想 −27.0億ドル)
 16:00 5月鉱工業生産 前年比 (4月 -31.4%、予想 -16.4%)
 16:00 5月小売売上高 前年比 (4月 -19.3%、予想 -28.6%)
 16:00 5月小売売上高 前月比 (4月 -21.0%、予想 0.0%)

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