トルコリラ円見通し 円高に圧されて6月12日安値を割り込む(20/6/24)

23日夜は、ユーロ高を中心としてドル全面安の展開となる中でドル円が急落したため、トルコリラ円も15.47円まで下落して6月12日安値を割り込んだ。

トルコリラ円見通し 円高に圧されて6月12日安値を割り込む(20/6/24)

円高に圧されて6月12日安値を割り込む

〇トルコリラ円 昨晩ドル円での円高進行に15.47まで下落、一時6/12安値を割り込む
〇ドルトルコリラは6/18以降安値更新回避、6.85中心の横ばい
〇トルコ中銀は明日0.25%の金利引き下げが予想されるが、為替へのインパクト限定的か
〇トルコは感染死者数が5,000人越えに達するも7月から観光規制を大幅に緩める方針
〇15.50以上での推移中は上昇余地ありとして15.60前後試しを想定
〇15.50割れを弱気転換注意とし、15.47割れからは下げ再開か

【概況】

トルコリラ円は6月12日朝安値15.48円から12日夜高値15.76円まで戻した後はジリ安の推移となり6月18日深夜には15.53円まで下落したが12日安値割れを回避して6月19日以降は15.60円を挟んだ持ち合いで戻り高値をやや切り上げつつあった。ドル円が6月12日安値以降を持ち合い推移となり、6月18日深夜への下落でも底割れを回避して107円を挟んだ持ち合いで推移していた流れと同調していた。その間は対ドルでのトルコリラも小動きだった。

6月23日午前、ナバロ米大統領補佐官(通商代表)が米中通商合意は終わったと述べ、感染拡大等で中国を批判したとの報道が伝わった段階でドル円がいったん円高に振れ、その後にトランプ大統領が米中合意は継続していると補佐官発言を否定したことで揺れ返しの円安となり、トルコリラ円も23日午後には15.65円まで上昇して6月18日深夜以降の戻り高値を若干切り上げた。しかしこの流れは続かずに、23日夜はユーロ高を中心としてドル全面安の展開となる中でドル円が急落したためにトルコリラ円も15.47円まで下落して6月12日安値を割り込んだ。23日深夜安値の後は突っ込み警戒感からドル円とともに買い戻されて15.50円台を回復している。

【ドル円が一段安に】

ドル円は6月12日午前安値106.55円に対して6月18日深夜安値は106.65円に止まって底割れを回避していたが23日夜の急落で底割れとなった。ユーロ高が進む中でドル全面安の様相となったのだが、独仏のPMIが予想を上回ったことでリスク選好感が強まり、NYダウが連騰し、ナスダック総合株価指数が2日連続で史上最高値を更新する状況だったため、本来ならリスク選好と株高同調で円安へ進んでも良いところだったが、上値の重さが続く中で安値更新からのロスカット売りが連鎖反応を起こしたのだろうと推察される。ひとまず23日深夜安値からは戻しているので、下げ一服となる可能性はあるが、6月12日から8日間続いた持ち合いから転落したことにより、ドル円としては6月5日からの下落基調の継続となり、さらに6月末から7月序盤にかけて安値試しを続けやすい様相となっているため、トルコリラ円への売り圧力もまだ続く可能性があると注意する。

【対ドルでのトルコリラは下げ一服の横這い】

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラの史上最安値まで下落してからの揺れ返し上昇で6月3日には6.68リラまで戻したが、その後はドル高リラ安がぶり返して6月18日に6.86リラまでドル高リラ安が続いてきた。6月18日以降はドル高感が緩んで新たな安値更新を回避しているが、6.85リラを中心としてほぼ横ばいの推移に止まっている。
ブラジルレアルを中心に新興国通貨安がぶり返していたが、ブラジルレアルは6月18日から反発に転じ、23日もブラジル中銀の利下げへの慎重姿勢から続伸しており、トルコリラにとってはユーロ等のメジャー通貨におけるドル安とともに下支え要因となっている。
トルコ中銀は6月25日に金融政策会合(TCMB)を開催するが、政策金利を現行の8.25%から8.00%へ引き下げることが予想されている。これまでよりも利下げ幅は小さくなると予想されているので世界的な株高基調が継続していれば市場へのインパクトも限定的かと思われる。

【トルコは観光再開へ】

新型コロナウイルスの感染拡大は続いており、6月23日時点の世界の感染者数は934万人を超えて死者も47.8万人に達した。米国はNY州の感染が抑えられているもののフロリダやアリゾナ、テキサス、カリフォルニアでの増加が目立ち23日時点で前日から35991人増の242.4万人に増えている。二位のブラジルは前日から4万人増えて115.1万人に達した。ロシアが59.9万人、4位のインドも1.5万人増で45.6万人に拡大している。南米はペルー、チリ、メキシコ等の増加も継続している。パンデミックはまだ終わっておらず、経済活動再開によりドイツでも大規模クラスターが発生して増加が懸念され始めている。

トルコは6月23日時点で19万0165人で前日から1268人増、死者5001人で前日から27人増えた。感染者の19万人台到達と死者の5千人超えは経済活動再開による第二波へ進みかねない状況と懸念されるが、トルコは6月1日から経済活動再開に入り7月からは観光規制も大幅に緩める姿勢だ。感染予防措置を徹底しての観光客受け入れ態勢を整えていることは評価されるが、海外からの感染持ち込みを防ぎ切れるのか憂慮もされるところだ。

【トルコは観光再開へ】

6月22日にトルコ文化観光省が発表した海外からの観光客数は5月が2万9829人で前年同月比でマイナス99.26%となった。4月も同率だったが、昨年5月は402万2254人で、昨年7月のピークでは661万7380人だった。4月から10月までが最大の観光シーズンであり、トルコ経済回復にとっても重要な時期に入るが、状況を大幅に改善してゆくのは難しいと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月18日深夜への下落で12日朝安値割れを回避して戻していたため、19日午前時点では18日深夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避のうちは19日の日中から23日午前にかけての間への上昇余地ありとした。23日夜の下落で18日深夜安値を割り込んだがその後は戻している。このため23日午後高値を直近のサイクルトップ、18日深夜安値から3日目となる23日深夜安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとする。新たな底割れ回避の内は26日午後から30日にかけての間への上昇余地ありとするが、6月12日安値を割り込む一段安の後のため、戻りは短命な可能性もあるとみて15.50円割れを弱気転換注意とし、23日深夜安値15.47円割れからは新たな弱気サイクル入りとして26日夜から30日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月23日夜の急落で遅行スパンが悪化し先行スパンからも転落した。23日深夜安値からの反発で遅行スパンは好転しやすくなってきているので、遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、遅行スパンが好転後に再び悪化するところ及び好転に失敗して23日深夜安値を割り込むところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は20ポイント台へ急落した後は戻している。40ポイント以上での推移中は戻り高値を試すとみるが、40ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.50円を下値支持線、15.60円を上値抵抗線とする。
(2)15.50円異常での推移中は上昇余地ありとして15.60円前後試しを想定する。15.60円以上は反落注意とするが、15.55円以上での推移なら25日も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)15.50円割れを弱気転換注意とし、23日深夜安値15.47円割れからは下げ再開とみて15.40円前後、次いで15.35円前後試しへと段階的に安値を試して行くとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

6月24日
 16:00 6月景況感 (5月 76.9、予想 82.0)
 16:00 6月設備稼働率 (5月 62.6%、予想 65.0%)
6月25日
 20:00 トルコ中銀金融政策会合(TCMB)政策金利 (現行 8.25%、予想 8.00%)
6月29日
 16:00 6月経済信頼感 (5月 61.7、予想 71.0)
6月30日
 16:00 5月貿易収支 (4月 −45.6億ドル、予想 -18.0億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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