ドル円見通し 6月12日以降の持ち合いから下放れ(20/6/24)

ドル円は深夜に106.06円まで急落し、6月12日以降の下げ渋り的な持合いから下放れ一段安に入った。その後はやや戻しているが106.50円前後で上げ渋っている。

ドル円見通し 6月12日以降の持ち合いから下放れ(20/6/24)

6月12日以降の持ち合いから下放れ

〇ドル円、ドル全面安の動きに一時106.06まで急落
〇復興期待の株高に対主要通貨でドル安進行、ドル円のみは悲観優先か
〇106.75を下回る内は一段安余地あり、106.06割れからは105.50円前後試しを想定
〇106.75円超えからはいったん強気サイクル入り107円台序盤試しを想定

【概況】

ドル円は6月12日安値106.55円まで下落した後は下げ渋りの持ち合いが続いてきた。6月18日深夜に106.65円まで下げたものの底割れを回避し、その後は107円を挟んだ横ばい程度の推移となっていた。
6月23日午前、ナバロ米大統領補佐官が米中貿易合意の第1段階合意について「終わった」と打ち切りを示唆したとの報道があり、同補佐官が強い調子で中国批判を行ったために米中通商合意は破綻したかと市場は受け止めて一時はリスク回避から株安ユーロ安円高の反応となった。しかしその後にトランプ大統領がツイッターで「中国との合意は無傷だ」と否定したため、かえってその後の株高ユーロ高円安に弾みがついた。

23日夕刻にはフランスの6月の製造業PMI速報値が52.1と市場予想の46.0を大きく上回り、ドイツの製造業PMIも予想の42.5を超えて44.6となり5月の36.6から改善し、ユーロ圏の製造業PMIも予想以上だったことからユーロ高が進んだ。リスク選好でのユーロ高ドル安ならドル円ではクロス円上昇により円安ドル高へ進んでも不思議ではないところだったが、ドル全面安感が強まったとしてドル円の上値は重くなり、21時過ぎからの下落で午前安値を割り込み、さらに6月12日安値も割り込んだために売り注文の連鎖反応となって深夜には106.06円まで急落した。この結果、6月12日以降の下げ渋り的な持合いから下放れ、一段安に入った。深夜からはやや戻しているが106.50円前後で上げ渋っている。

米商務省が発表した5月の新築一戸建て住宅販売件数は年率換算で前月比16.6%増の67万6000戸となり4カ月ぶりのプラスで市場予想の64万戸を上回った。米FRBが大幅利下げを行ったことで住宅ローン金利が下がって需要を押し上げたと思われる。
IHSマークイットが発表した6月の米製造業PMI速報値は49.6となり市場予想の48を上回り、6月のサービス業PMI速報値も46.7で市場予想の46.5を上回った。

【楽観的な株高とリスクオンでのドル安、しかし逆にドル円は一段安】

NYダウは先週後半に3日間続落していたが、22日に前日比153.50ドル高と反発、23日も前日比131.14ドル高と上昇した。ハイテク株中心のナスダック総合指数は74.89ポイント高で2日連続で史上最高値を更新した。経済活動再開を急いだ地域での感染増加が目立つもののそれでも復興期待を優先して株高が続いている。
しかしその一方で安全資産とされるゴールドが上昇しており、6月23日の上昇で5月18日高値を超える1770.97ドルをつけて2018年8月底以降の高値を更新している。株式市場の楽観し過ぎに対するリスクヘッジ買いやリーマンショック後の大規模金融緩和において株高とともにゴールドも大幅上昇したことの再現への期待が背景にあると思われる。
ドル円は23日の米国株高には反応しきれずに一段安しているのは、ユーロ高のようには楽観的ではなく、リスク回避感も抱えた状況にあるために下落反応は大きく、上昇反応は鈍いようだ。楽観的な株式市場に対し、ドル円やゴールドは悲観を優先しているのかもしれない。

【3月24日からの下落時に近い角度】

6月5日高値109.84円からの下げも、下げ幅が3.78円まで拡大した。6月12日安値を割り込んでの一段安だが、ここまでの下落角度は3月24日高値111.71円から5月6日安値105.98円まで5.73円の下げ幅となった下落期に近い。その時も4月15日安値で下げ渋りを入れてから5月6日へ一段安しており、今回も6月12日からの下げの渋り持ち合いを入れてから一段安しているところも類似している。
6月5日からの下落規模が3月24日からの下落規模並とすれば下値計算値は104.11円。6月5日への戻り幅の倍返しだと下値計算値は102.16円まで切り下がる。
概ね月末月初に安値をつける1か月周期での底打ちサイクルがあり、それが2セットで2か月サイクルを形成しているという状況が昨年8月底から観測されるため、今回の安値形成期は6月末から7月序盤にかけての間と想定され、まだ安値試しを続けやすいのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・形成サイクルでは、6月12日午前安値から4日半となる6月18日深夜安値106.65円で直近のサイクルボトムをつけてその後は持ち合い推移となっていたが、23日朝時点では既に16日昼高値から5日目に入るため6月12日安値割れから新たな弱気サイクル入りする可能性が警戒されるとした。

6月23日夜に12日安値を割り込んで一段安となったため、底割れによる弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は6月23日深夜から25日深夜にかけての間と想定されるので、早ければ23日深夜安値でボトムをつけた可能性がある。106.75円を下回る内はボトム形成の継続として24日午後から25日深夜への続落を警戒するが、106.75円を超える場合はいったん強気サイクル入りとして26日夜から30日にかけての間への上昇を想定する。ただしいったん強気サイクル入りした後に23日深夜以降の安値を更新する場合は新たな弱気サイクル入りとして26日夜から30日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では23日夜の一段安により遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。このため強気転換には先行スパンを上抜き返す必要があるとみて、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、一時的に遅行スパンが好転しても先行スパン突破へ進めない内はその後の遅行スパン悪化から下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は23日深夜に20ポイント台序盤へ急落し、その後の戻りは40ポイントが抵抗水準となっているのでまだ一段安余地があるとみる。ただし、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せれば底打ち反騰の可能性ありと注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月23日深夜安値106.06円を下値支持線、106.75円を上値抵抗線とする。
(2)106.75円を下回る内は一段安余地ありとし、23日深夜安値割れからは105.50円前後試しを想定する。さらに続落の場合は105円台序盤へと下値目処を引き下げる。また106.50-55円レベル以下での推移なら25日午前にかけても安値試しを続けやすいとみる。
(3)106.75円超えからはいったん強気サイクル入りとして107円台序盤試しを想定するが、強気サイクル入りした後に106.25円を割り込むところからは下げ再開を警戒し、底割れからは新たな弱気サイクル入りとし105円台中盤への下落へ向かうと考える。

【当面の主な予定】

6/24(水)
国際通貨基金(IMF)世界経済見通し
11:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
14:00 (日) 4月 景気先行指数CI・改定値 (速報 76.2)
14:00 (日) 4月 景気一致指数CI・改定値 (速報 81.5)
17:00 (独) 6月 IFO企業景況感指数 (5月 79.5、予想 85.0)
22:00 (米) 4月 米連邦住宅金融局 住宅価格指数 前月比 (3月 0.1%、予想 0.3%)
25:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、オンライン討論会
28:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、オンライン討論会

6/25(木)
休場、中国、香港
FRB、大手金融機関のストレステスト結果発表
07:45 (NZ) 5月 貿易収支 (4月 12.67億NZドル)
13:30 (日) 4月 全産業活動指数 前月比 (3月 -3.8%、予想 -6.8%)
15:00 (独) 7月 GFK消費者信頼感 (6月 -18.9、予想 -12.0)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 8.25%、予想 8.00%)

21:30 (米) 1-3月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 -5.0%、予想 -5.0%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費確定値 前期比年率 (改定値 -6.8%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 1.6%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注 前月比 (4月 -17.2%、予想 10.0%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (4月 -7.4%、予想 3.1%)
21:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 150.8万件)
21:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 2054.4万人)
24:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、バーチャル討論会
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 5.50%、予想 5.00%)

注:ポイント要約は編集部

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