トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ安ぶり返しでトルコリラ円は15.8円割れに(20/5/29)

5月19日夜高値15.92円以降の持ち合いから上放れとなり5月7日の史上最安値以降の高値を更新して4月13日以来の16円台に到達した。

トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ安ぶり返しでトルコリラ円は15.8円割れに(20/5/29)

トルコリラ円見通し 対ドルでのリラ安ぶり返しでトルコリラ円は15.8円割れに

〇28日のトルコ円は15.90はさみの横ばいから、15.80割れに下落
〇新興通貨の反騰にも一服感か
〇5/29はトルコの1−3月期GDP、4月貿易収支等の発表が予定されており要注目
〇エルドアン大統領は昨日の演説で外出規制、レストラン等の営業規制の緩和を発表
〇トルコ円、15.85以下での推移中は一段安余地あり、15.70円割れからは15.60円前後への下落を想定
〇15.85円超えからは15.90円前後への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円はドル全面安と新興国通貨高を背景に5月26日夜に16.05円まで上昇して5月19日夜高値15.92円以降の持ち合いから上放れとなり5月7日の史上最安値以降の高値を更新して4月13日以来の16円台に到達した。しかしその後は対ドルでのトルコリラ上昇が一服してドル円も107円台中後半での持ち合いにとどまったことで上昇基調を維持できず、27日夕刻には15.84円まで下落した。
5月28日は午前まで15.90円を挟んだ横ばいでの推移だったが夜にはドル円が持ち合い範囲の中で円高へ傾斜し、対ドルでトルコリラが前日から続落したことで15.80円を割り込んだ。29日午前もドル円での円高気配から安値を切り下げ始めている。

ドル円は5月19日夜に108.07円を付けて5月7日以降の高値を更新したが、その後は新たな高値更新へ進めずに持ち合いにつかまっている。5月27日は午前に107.34円まで下げたものの22日安値107.29円割れを回避して27日夜には107.94円まで持ち直したが、108円には届かずにジリ安となり、29日午前には107.50円を割り込むところまで円高気配で推移している。107円台中後半での持ち合いも8日目に入り週末となるため、持ち合いを上下いずれかへ抜けやすい時間帯に来ているが、中国による香港への国家安全法適用により米中関係の悪化が深刻化しつつあることがドル円にとってはリスク回避的な円高要因となりつつある。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラを付けて2018年8月のトルコ通貨危機時の安値7.23リラを超えて史上最安値を更新したが、その後は新興国通貨全般が揺れ返しの上昇に転じたために5月7日から5月19日まで9営業日連騰した。5月26日は6.73リラまで戻り高値を切り上げたが、27日と28日はドル高リラ安がぶり返しており、27日は0.69%安、28日も0.64%安となっている。
5月序盤までの新興国通貨安はコロナショックによる新興国への投資マネーの逆流が背景であり、その後の主要国によるドル資金供給や利下げ及び大規模な量的金融緩和によりパニック的な下落は落ち着いたが、情勢が根本的に改善しているわけではない。5月28日も5月8日から反騰してたブラジルレアルが自国の失業率大幅悪化から再び売られている。ブラジル等中南米の感染拡大が収まる気配を見せないこと、米国の1−3月期GDPが下方修正されるなどアフターコロナの復興期待の一方では足元の不況感も再認識されているところが新興国通貨反騰を抑え始めているのかもしれない。
5月29日はトルコの1−3月期GDP、4月の貿易収支等の発表がある。

【トルコは感染拡大ペース落ち着き、経済活動再開へ】

5月28日終了時点での世界全体の感染者数は11万6304人増えて590万人を超え、死者も36.1万人台へ拡大した。米国の感染者は2.2万人強増えて17.6万人を超え、死者も10万3330人となった。爆発的な感染拡大が発生しているブラジルは感染者が2.4万人強増えて43.8万人を超え、ロシアも37.9万人に達した。南米ではペルー(感染者14.1万人、世界12位)やチリ(同8.6万人、同14位)、メキシコ(同7.8万人、同17位)等での感染拡大が引き続き顕著だ。
トルコの感染者数は5月28日時点で前日比1182人増の16万979人、死者は30人増の4411人となった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに減少に入り5月20日以降は概ね千人前後まで減少した状況で推移している。人口8千万人強のトルコにおいて千人前後の感染増加数が続いていることは安定してきているといえるもののまだ水準が高い印象もある。

5月23日からラマザン・バイラム(5月24〜26日、断食明け大祭)までの間はトルコ全土で外出禁止となったが、エルドアン大統領は5月28日の演説で、トルコに医療支援を要請した135か国のうち100か国に対応したと述べてトルコの強さを強調した。また「外出禁止を部分的にもうしばらく続けることが良いと考えている」としたものの、「一部都市で適用されている通行禁止を6月1日以降解除し、行政許可を得ているかフレキシブルなシフトで勤務する公務員も業務を開始する」とした。レストラン、カフェ、ビーチ、公園、博物館、遺跡、図書館、保育園、デイケアセンターなども同日開放され、個人のスポーツ活動、屋外コンサート、シーツーリズム、輸送に関する禁止も6月初旬に解除されるとした。

徐々に経済活動再開へ進みつつある一方、シリア情勢等での報道も散見されるようになってきた。トルコ共和国国防省はツイッターにおいて、シリアのイドリブ地域のM4幹線道でトルコとロシアの陸軍と空軍による13回目の合同地上パトロール活動が行われたと発表したが、その一方で「分離主義テロ組織PKK(ペーカーカー)に対する作戦が断固として実行されている」「イラク北部のハクルク地域で偵察監視機により発見されたテロリスト3人へ空爆作戦を行った」とした。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月23日早朝安値で5月21日朝安値をわずかに割り込んでから持ち直したために26日午前時点では23日早朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、5月26日夜へ一段高してからの反落により27日午前時点では26日夜高値で直近のサイクルトップを付けたとし、28日早朝から6月1日朝にかけての間への下落を想定した。
5月28日夜へ続落し、29日午前も安値を切り下げているので引き続きボトム形成中とし、強気サイクル入りは15.90円超えからとする。また5月26日への上昇は、概ね4か月周期のサイクルにおける底打ち反騰だったが、15.60円を割り込むような下落へ進む場合はこのサイクルにおける反騰が一巡して新たな下落期に入る可能性も出てくると注意する。

60分足の一目均衡表では28日への下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落した。その後も続落基調にあって両スパンそろっての悪化が続いているため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは上昇再開とみるが、その際は先行スパンが戻りを抑えやすいとみる。

60分足の相対力指数は28日夜には20ポイント台序盤まで低下した。その後も40ポイント以下での推移が続いているのでまだ一段安余地が残るが、50ポイント超えまで戻すなら上昇再開の可能性が高まると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.70円を下値支持線、15.85円を上値抵抗線とする。
(2)15.85円以下での推移中は一段安余地ありとし、15.70円割れからは15.60円前後への下落を想定する。15.60円以下は反騰注意とするが、15.80円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ進みやすいとみる。ただし週明け当初の安値から反騰するケースも多い点に注意する。
(3)15.85円超えからは上昇再開の可能性を優先して15.90円前後への上昇を想定する。15.90円以上は反落警戒とするが、15.85円を超えた後も15.80円以上での推移なら週明けは高値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

5月29日
 16:00 1−3月期GDP 前年比 (前期 6.0%、予想 5.0%)
 16:00 1−3月期GDP 前期期 (前期 1.9%)
 16:00 4月貿易収支 (3月 -53.9億ドル、予想 −39.8億ドル)
6月01日
 16:00 5月イスタンブール製造業PMI (4月 33.4、予想 40.6)
 20:00 トルコ中銀 MPC(金融政策会合)議事録主旨公開
6月03日
 16:00 5月消費者物価 前年比 (4月 10.94%)
 16:00 5月消費者物価 前月比 (4月 0.85%)
 16:00 5月生産者物価 前年比 (4月 6.71%)
 16:00 5月生産者物価 前月比 (4月 1.28%)

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