トルコリラ円見通し 16円台を維持できずに一段高後の足踏み(20/5/28)

5月26日夜に16.05円まで上昇して5月19日夜高値15.92円以降のややジリ安の持ち合いから上放れとなり5月7日の史上最安値以降の高値を更新

トルコリラ円見通し 16円台を維持できずに一段高後の足踏み(20/5/28)

16円台を維持できずに一段高後の足踏み

〇トルコ円5/26夜に16.05まで上昇するもその後は15.80台後半横ばい推移
〇新興国通貨の暴落後の揺れ返しの上昇、一巡しやすい状況で要注意
〇5/28の大統領府閣議で今後の規制緩和等の行動方針が決定される見込みで要注目
〇トルコ円15.95以下での推移中は一段安余地あり、15.84割れからは15.74前後への下落を想定する。
〇15.95超えからは上昇再開の可能性、16.05を目指す上昇を想定

【概況】

トルコリラ円はドル全面安と新興国通貨高を背景に5月26日夜に16.05円まで上昇して5月19日夜高値15.92円以降のややジリ安の持ち合いから上放れとなり5月7日の史上最安値以降の高値を更新、4月13日以来の16円台に到達した。しかし対ドルでのトルコリラ上昇が一服、ドル円も107円台中後半での持ち合いにとどまったことで続伸のきっかけを得ずに16円台から転落してからは15.80円台後半を中心として横ばい推移となっている。

ドル円は5月19日夜に108.07円を付けて5月7日以降の高値を更新したが、その後は新たな高値更新へ進めずに持ち合いにつかまっている。5月27日は午前に107.34円まで下げたものの先週末22日安値107.29円割れには至らず、夜間は107.94円まで持ち直したが108円には届いていない。
EUによるコロナ対策での中期予算確保での復興期待からユーロが上昇、アフターコロナの復興期待でNYダウが大幅続伸するなどリスク回避感が後退してドルストレートではドル安となっているが、株高によるリスクオンがクロス円では円安となり、ドル円としては円安圧力とドル安圧力が交錯しているために方向感が定まらない印象だ。108.07円から107.29円までのレンジによる持ち合いのため、きっかけを得れば持ち合いを放れ始めるため、まずは持ち合い上放れに注意し、上値が重くなって107.50円を割り込んでくる場合は持ち合い下放れに注意という状況と思われる。

対ドルでのトルコリラは5月7日に7.27リラを付けて2018年8月のトルコ通貨危機時の安値7.23リラを超えて史上最安値を更新したが、その後は新興国通貨全般が暴落一巡で反騰入りする中で5月7日から5月19日まで9営業日連騰した。5月22日までは上昇一服だったが、5月26日は6.73リラまで対ドルでの高値を更新した。しかし27日は上昇一服で反落しており、新たな高値更新にはブレーキがかかっている。
新興国通貨全般は堅調な動きだ。ブラジルレアルは自国の感染爆発を他所に6連騰した。ただメキシコペソやチリペソ等は原油が反落したために27日は下落している。対ドルでの史上最安値を各所で更新するような暴落から出直ってきたが、暴落を解消してゆく本格的な新興国通貨上昇基調へ進むのは難しいと思われる。トルコリラも対ドルで戻り高値を試しているが、揺れ返しの上昇が一巡しやすい状況にも来ていることには注意しておきたい。

【ラマザン・バイラム明け、経済活動再開への動き進むか】

5月27日終了時点での世界全体の感染者数は578万人を超えて死者も35.7万人台へ拡大した。米国の感染者は2万人強増えて170万人を超え、死者も10万2000人台に到達した。爆発的な感染拡大が発生しているブラジルは感染者が41万人を超え、ロシアも37万人を超えてきた。南米ではペルー(感染者13.5万人、世界12位)やチリ(同8.2万人、同15位)、メキシコ(同7.8万人、同17位)等での感染拡大が引き続き顕著となている。
トルコの感染者数5月27日時点で前日比1035人増の15万9797人、死者は34人増の4431人となった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに減少に入り5月20日以降は概ね千人前後まで減少した状況で推移している。
5月23日からラマザン・バイラム(5月24〜26日、断食明け大祭)までの間はトルコ全土で外出禁止となった。
エルドアン大統領を議長として5月28日には大統領府閣議が開催される。これまでの感染動向等により今後の規制緩和等の行動方針が決定されるものと思われる。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月23日早朝安値で5月21日朝安値をわずかに割り込んでから持ち直したために26日午前時点では23日早朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、5月26日夜へ一段高してからの反落により27日午前時点では26日夜高値で直近のサイクルトップを付けたとし、28日早朝から6月1日朝にかけての間への下落を想定した。
27日の日中から28日早朝にかけては15.80円台を中心として横ばいにとどまっているのでまだ下落余地が残るあ。前回サイクルボトムから3日を経過しているので反騰注意期とし、27日夕高値(15.95)超えからは強気サイクル入りの可能性を優先して26日夜高値試しを想定する、新たな強気サイクル入りは26日夜高値超えからとするが、その場合は29日夜から6月2日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夜高円からの下落基調により遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落している。27日からは横ばい推移のため遅行スパンは好転しやすい位置にあるので、27日夕高値を上抜くところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、27日夕高値を超えないうちは一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は27日からの横ばい推移のため50ポイントを挟んだ小動きとなっている。60ポイントを超えないうちは一段安余地ありとし、40ポイント割れからは30ポイント前後への下降を想定するが、60ポイント超えからは上昇再開の可能性ありと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月27日夕安値15.84円を下値支持線、27日夕高値15.95円を上値抵抗線とする。
(2)15.95円以下での推移中は一段安余地ありとし、27日夕安値割れからは23日早朝安値15.74円前後への下落を想定する。15.75円以下は反騰注意とするが、27日夕安値を割り込んだ水準での推移なら29日も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)15.95円超えからは上昇再開の可能性を優先して26日夜高値16.05円を目指す上昇を想定する。16円以上は反落警戒とするが、26日夜高値を超えた後も15.95円以上での推移なら29日も高値試しへ進みやすいとみる。

注:ポイント要約は編集部

【当面の主な経済指標等の予定】

5月28日
 16:00 5月経済信頼感指数 (4月 51.3)
5月29日
 16:00 1−3月期GDP 前年比 (前期 6.0%、予想 5.0%)
 16:00 1−3月期GDP 前期期 (前期 1.9%)
 16:00 4月貿易収支 (3月 -53.9億ドル、予想 −39.8億ドル)
6月01日
 16:00 5月イスタンブール製造業PMI (4月 33.4、予想 40.6)
 20:00 トルコ中銀 MPC(金融政策会合)議事録主旨公開
6月03日
 16:00 5月消費者物価 前年比 (4月 10.94%)
 16:00 5月消費者物価 前月比 (4月 0.85%)
 16:00 5月生産者物価 前年比 (4月 6.71%)
 16:00 5月生産者物価 前月比 (4月 1.28%)

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