トルコリラ週報:『9会合連続利下げに踏み切るもショートカバー主導で続伸』(5/23朝)

トルコリラ円相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。

トルコリラ週報:『9会合連続利下げに踏み切るもショートカバー主導で続伸』(5/23朝)

9会合連続利下げに踏み切るもショートカバー主導で続伸

〇トルコ円週初安値15.50から15.96まで急伸、その後も底堅い
〇外出規制緩和からの楽観、トルコの感染者数増加のピークアウト、短期筋のショートカバー等が背景
〇トルコ中銀利下げ実施するも為替相場への影響は限定的
〇トルコとカタールの通貨スワップ枠増額もサポート
〇トルコリラ円、テクニカルに持ち直しの兆しが見られるもファンダメンタルズが弱く続伸阻むか
〇来週のトルコリラ円予想レンジ 15.50ー16.00

今週のレビュー(5/18−5/22)

今週のトルコリラ円相場は、週初15.51円で寄り付いた後、早々に安値15.50円まで軟化しました。しかし、先週金曜日の終値15.50円付近で下げ渋ると、@世界的な外出規制の緩和を受けた楽観ムードの広がり(トルコ国内でもショッピングモールが再開するなど段階的に緩和)や、A原油先物価格の上昇を受けたリスク回避ムードの後退、Bトルコ国内における新規感染者数のピークアウトの兆し、C短期筋主導のショートカバー(ショート勢のロスカット)が支援材料となり、翌5/19には、4/13以来となる高値15.96円まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局15.79円での越週となっております。尚、トルコ中銀は今週、9会合連続となる政策金利の引き下げ(50bp)に踏み切りました(8.75%→8.25%)が、予想通りの結果であったことから、相場への影響(リラ売りでの反応)は限られたものに留まりました。また、今週はトルコとカタール間における通貨スワップが従来の3倍(150億ドル)に引き上げられるとの報道も出てきており、こうした材料もトルコリラの下支え要因となりました。

来週の見通し(5/25−5/29)

トルコリラの対円相場は、5/7に記録した史上最安値14.65円をボトムに反発に転じると、今週前半には約1ヵ月ぶり高値となる15.96円まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的にみて「底堅さ」を印象づけるチャート形状となっております(但し、上方には一目均衡表雲下限が覆いかぶさってくることから、ここからの続伸は容易では無いと考えられます)。

ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀による連続利下げを受けた実質金利のマイナス幅拡大(9会合連続利下げで計1575bpの利下げ幅。トルコ中銀が会合後の声明で「インフレ見通しは年末予測7.4%に沿った動き」との見解を示したことで、更なる追加利下げ余地が生まれた格好)、C経済的な結び付きの強いユーロ圏経済の先行き悪化懸念、D中東を巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やリビア派兵を巡る米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F米中対立激化懸念など、不安材料は山積みです。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的に持ち直しの兆しが見られるものの、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。足元のトルコリラ急伸を受けて、ショートポジション解消(ロスカット)も相応に進んだと見られることから、ここから先は一巡後の反落リスクにより警戒が必要でしょう。新型コロナウイルスの感染拡大に端を発したトルコ経済への下押し圧力や、実質金利のマイナス幅拡大(トルコ中銀による連続利下げ)を受けた資本流出圧力の高まり、外貨準備急減を受けた介入余力への不信感が重石になると見られ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(※来週は5/29に予定されているトルコ4月貿易収支、第1四半期GDPに注目が集まります。また、米中対立激化を巡るヘッドライン次第では、リスク回避ムード再燃→新興国通貨売り→トルコリラ円売りに波及する恐れもあり、ダウンサイドリスクに要注意)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):15.50ー16.00

注:ポイント要約は編集部

9会合連続利下げに踏み切るもショートカバー主導で続伸

トルコリラ円日足

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