トルコリラ円見通し 史上最安値更新の5月7日から8連騰(20/5/19)

5月7日当日から18日まで8日連続でドル安リラ高へ戻し、18日は6.82リラ台まで回復した。

トルコリラ円見通し 史上最安値更新の5月7日から8連騰(20/5/19)

トルコリラ円見通し 史上最安値更新の5月7日から8連騰

〇トルコリラは買い戻しが継続、昨日は対円で15.67、対ドルで6.82まで反発した
〇5/21のトルコ中銀の金融政策決定会合に注目
〇トルコはパニックを起こさずに事態収束へ着実に進んでいる印象
〇15.50、15.67を当初の下値支持線、上値抵抗線とする

注:ポイント要約は編集部

【概況】

トルコリラ円は5月7日午後に14.61円へ続落して史上最安値を更新したが、暴落商状一服で当日から8日連続の日足陽線で反発している。5月14日に15.53円まで戻り高値を切り上げ、15日は新たな高値更新には至らなかったものの終値ベースでは前日から続伸となり、週明けの5月18日も夕刻に15.67円まで戻り高値を切り上げ、その後も15.50円以上の高値圏を維持して確りしている。
対ドルでのトルコリラも5月7日に7.27リラの史上最安値まで大幅下落となり2018年8月のトルコ通貨危機時の安値7.23リラを超える下落となったが、その後は売り一巡から反騰に入り、5月7日当日から18日まで8日連続でドル安リラ高へ戻し、18日は6.82リラ台まで回復した。

【暴落一巡で買い戻し続く】

5月7日への対円及び対ドルでの史上最安値更新は(1)新型コロナウイルスの感染拡大に伴う新興国通貨全般への売り圧力、(2)トルコ自身の感染拡大と経済活動停滞、(3)トルコ中銀による8会合連続での利下げによるマイナス金利状態、(4)外貨準備高の減少による通貨防衛力への懸念等であった。

コロナショックによる新興国通貨売りにトルコリラも巻き込まれたが、トルコリラ同様に対ドルでの史上最安値を更新していたブラジルレアルは5月8日から反騰しており、南アランドも4月6日の史上最安値以降は安値圏に止まっているものの新たな安値更新を回避して確りしており、新興国通貨売りは全般的に一服している。アジア通貨等は却って騰勢を強めている。18日はユーロが急伸し、NYダウが大幅上昇する中でリスク選好感が強まったこともトルコリラには支援要因だった。
トルコの感染爆発も落ち着いており、感染者増加ペースは大幅に鈍化して落ち着いてきている。ただし経済指標の悪化はこれから本格化すると思われ油断できない状況のままだ。5月20日に消費者信頼感指数や自動車生産統計、22日には設備稼働率、観光客数等の統計も控えている。
5月21日にはトルコ中銀の金融政策決定会合が控えている。トルコ中銀は8会合連続で利下げを実施しており、今回も9会合連続利下げに踏み切るかどうか注目される。また暴落一服ではあるが、外貨準備高の脆弱性も継続している。

【トルコ国内の感染者増ペースは鈍化を維持】

5月18日時点での世界の感染者数は488万人を超え、死者は31.9万人を超えた。米国は155万人を超え、死者も9万1977人に増えた。ロシアは29万人を超えて第二位、ブラジルは25万人を超えて英国を抜いて第四位となった。
トルコの感染者数は5月18日時点で前日比1158人増の15万593人、死者は31人増の4171人となった。18日の検査数は2万5141人に行われている。退院は1615人で回復者の累計は11万1577人となった。感染者増加数は4月11日の5138人増をピークに減少傾向にあり、5月7日以降は2000人を切った状況を現在も続けている。

エルドアン大統領は5月18日に、「良くない進捗があれば一部の措置をさらにずっと厳しく講じることになる可能性がある」と述べる一方「トルコとしては何年間も国境を完全に封鎖して日常生活を完全に止めてウイルス流行が収束するのを待つことはできない」と語り、来月にも大部分で正常化を目指す姿勢を示したが、5月23日からラマザン・バイラム(5月24〜26日、断食明け祭)の間をトルコ全土で外出禁止とするとした。また学校の新学期は9月に延期とし、モスクでの信徒団による礼拝の実施は5月29日以降ルールに従うことを条件に始まるとした。
トルコの活動制限は続いているもののパニックを起こさずに事態収束へ着実に進んでいる印象だ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月7日午後と9日未明の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたが、5月14日深夜に一段高したために15日午前時点では12日夜高値を直近のサイクルトップ、14日朝安値を同サイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとした。またトップ形成期を15日夜から19日夜にかけての間と想定した。
5月18日夕刻へ続伸してその後も高値圏を維持しているので引き続きトップ形成中とみるが、15.50円を割り込むところからは弱気転換注意とし、15日夜の反落時安値15.42円割れからは弱気サイクル入りとする。その際はボトム形成期を21日朝にかけての間と想定する。

60分足の一目均衡表では5月14日深夜の一段高で遅行スパンが好転し先行スパンを上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新が続かないと遅行スパンが悪化しやすくなると警戒し、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げが加速しやすいと注意する。

60分足の相対力指数は14日深夜の上昇で80ポイントに到達したが、18日の高値更新時には指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる。このため、50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落の場合は下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、15.50円を下値支持線、18日夕高値15.67円を上値抵抗線とする。
(2)15.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、15.67円超えからは15.80円前後への上昇を想定する。15.80円以上は反落注意とするが、15.50円以上での推移なら20日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)15.50円割れからは弱気転換注意とし、15日夜安値15.42円割れからは弱気サイクル入りとみて15.25円前後への下落を想定する。15.25円以下は反発注意とするが、15日夜安値を割り込んだ水準での推移なら20日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

5月20日
 16:00 5月消費者信頼感指数 (4月 54.9、予想 47.0)
 19:30 4月自動車生産 前年比 (3月 -21.8%、予想 -84.0%)
5月21日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合(TCMB) (現行 8.75%、予想 7.75%)
5月22日
 16:00 5月景況感 (4月 66.8、予想 55)
 16:00 5月設備稼働率 (4月 61.6、予想 57.0%)
 16:00 4月観光客数前年比 (3月 -67.8%、予想 -97.0% 
5月28日
 16:00 5月経済信頼感指数 (4月 51.3)
5月29日
 16:00 1−3月期GDP 前年比 (前期 6.0%)

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