プライマリーディーラー事件の短期的影響
マイナス金利政策の思わぬ余波
昨日の日経新聞の一面に『三菱UFJ銀「国債離れ」』というタイトルが踊りましたが、メガバンクが国債入札の特別資格(以下、プライマリーディーラー)を返上するというのは異例で事件と言ってよいと思います。以前であればメガバンクがプライマリーディーラーを返上するなど考えもつきませんでしたが、日銀のマイナス金利政策の余波がこんなところにも出てきています。
まず、プライマリーディーラーとは何なのかは既に記事でご存知とは思いますが、財務省のホームページに正確な記述がありますので、是非そちらもご覧ください。
財務省「国債市場特別参加者制度」
http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/pd/index.html
日本国際暴落へ?
このページによると、現在のプライマリーディーラーは、2016年5月2日現在で国内外の大手銀行、証券合わせて22社あります。その中で最大手の一社である三菱東京UFJ銀行が返上となると、同様の動きが他社にも広がるかもしれません。現在は日銀が国債を買いまくっているため影響は無いといってよいのですが、将来的には国債の買い手が減ることから日本国債の暴落といったシナリオを描く向きもいる様子です。
ただ、将来のことを懸念しても現在の相場には何の役にも立ちませんので、ここでは短期的に為替市場に与える影響について考えてみましょう。
餅は餅屋に聞けということで、このニュースが日経電子版に発表された時間(7日NY市場後場)前後の国債の動きから見てみます。
10年国債先物(取引単位1億円)6月限の7日と8日の動き(15分足)
債券市場は売りで反応
このチャートは日経金融欄にも掲載されていますが、JPX(大阪取引所)で取引されている10年国債先物(取引単位1億円)6月限の7日と8日の動き(15分足)です。青い四角で囲ってあるのが1日で、夜間取引も行われていますので、8:45〜翌3:00までが取引時間となります。
黄色のラインマーカーで示した部分が、7日のクローズ(8日3:00、ピンクの矢印)と8日のオープニング(8日8:45、緑の矢印)との間で、この間にニュースが出ていることとなります。明らかに売られてスタートしていることがわかり、その後上下はあったものの昨日の動きは国債がやや売られた一日と言えます。
円金利上昇ならば円買い
国債が売られるということは利回りが上昇していることを意味しますので、昨日のニュースは日銀のマイナス金利拡大に歯止めがかかる可能性とそのことによる円金利上昇の動きという思惑で債券ディーラーが動いた結果と考えられます。円金利上昇ということであれば、為替市場では円買いという連想が働き、一部のインターバンクディーラーは、ドル円でドル売り円買いに動いたのではないかと考えられます。
ただ、日銀のマイナス金利導入も本来ならば円金利低下、円売りという連想が働くものの実際には円高トレンドのスタートとなった経緯がありますので、相場は難しいものです。私自身はすぐに反応し、107円台前半で軽くドル売り(円買い)ポジションを作ってみたのですが、しばらく様子を見たいと思います。
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