トルコリラ円見通し　ドル円の下げ一服だがドル高リラ安感が強まる(20/3/31)

【概況】

トルコリラ円は新型コロナウイルスの感染拡大による急激な円高と新興国通貨売りにより3月9日安値16.26円まで大幅下落したが、その後はドル円の反騰、ドル全面高の一服で持ち直し、3月25日夕刻には17.44円まで戻した。しかし3月26日からはドル円が再び円高へ進んで30日午前には107円台序盤まで下げたことと、ドル/トルコリラでのドル高リラ安再燃により30日には16.50円を割り込み、31日朝には16.31円まで安値を切り下げた。31日午前はドル円の下げ渋りから16.50円台へ小反発しているが、3月9日安値16.26円に対する余裕が乏しくなっており、底割れから一段安へ進みやすい位置に来ている印象だ。

【ドル高リラ安ぶり返す】

ドル円は3月9日安値101.23円から3月25日未明高値111.71円までＶ字反騰してきたが、3月20日以降は徐々に高値も安値も切り上げつつもレンジが縮小するウェッジ型三角持ち合いとなり、26日に持ち合いを下放れして30日午前には107.13円まで下げた。その後は下げ一服でやや戻しているが、Ｖ字反騰の継続で2月20日高値に迫ったものの高値更新できずにダブルトップ型に止まって失速している。金融市場全般の動揺と波乱はまだ続いているため、感染拡大及び株式市場動向によっては3月9日への暴落的な円高を再現する可能性も、その後にＶ字反騰したような円安を継続する可能性も併せ持つ状況だ。

ドル/トルコリラはドル全面高が進む中で3月18日から23日へ4日連続でドル高リラ安となり3月23日深夜に6.6185リラを付けてこの間の高値を更新したが、ドル買い一巡により3月24日から26日へ3日間の下落となった。しかし、トルコを含む新興国への感染拡大が深刻化する中で新興国債券・株・通貨売りの動きは続いており、3月27日に0.89％高のドル高リラ安となり、30日も高値で6.5965リラへ戻して前日比は1.7％のドル高リラ安となった。3月30日終値は6.5714リラでこの間の最高値をつけた3月23日の終値6.5617リラを上抜いており、終値ベースでは昨年11月以降の最高値更新となっている。
3月30日は南アランドの下落が目立った他も新興国通貨は全面安となっている。新興国通貨危機へ向かいかねない状況のなかでのリラ安として懸念も強まるところだ。

イスタンブール100株価指数は3月30日に前日比0.07％安と小動きだった。1月22日に天井を付けて下落に転じ、世界連鎖株安のなかで3月17日まで大幅下落してきたが、その後は下げ一服で3月27日高値まで戻していたのだが、戻り一巡から27日は前日比3.72％安の下落となり、30日も買い戻しの動きが見られないままとなっている。ＮＹダウは3月23日まで暴落的に下げた後は反発しているが、3月27日に915.39ドル安、30日は前日比690.70ドル高と変動幅の大きな乱調が続いている。ＮＹダウが再び下げに転じるようだとイスタンブール100株価指数を含めて新興国株安を加速させかねないと懸念されるところだ。

【トルコの感染者は1万人を超える】

3月31日朝時点の新型コロナウイルスの感染者は世界全体で78万人を超えて死者も3万7780人に増えている。指数関数的な急増が続いておりまだピークが見えない。米国の感染者数は3月31日朝時点で16万3479人となり前日から2万人近い増加で死者も3千人を超えた。

トルコは3月11日に国内初の感染者が確認された後は比較的静穏な展開が続いていたが、3月後半から感染者が急増し始め、3月27日朝時点では感染者3629人死者75人、30日朝時点では感染者9217人死者131人、31日朝時点では感染者1万827人死者168人に増えている。欧米で見られてきたような爆発的な拡大期に入っているが、今のところトルコ国内での医療崩壊報道はみられず、欧米のパニックと比較すればまだ冷静さを保っている印象だ。イタリアやスペイン、フランス等の感染爆発と医療崩壊的な危機状況には陥らないとトルコ紙では報道されている。しかしトルコでもパニック的な状況に陥らないとは限らず、他の新興国での感染被害が甚大になれば新興国株・通貨への売り圧力も一段と増す可能性があると思われる。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化と先行スパンから転落した状況が続いているが、31日朝安値からの反発で遅行スパンは好転しやすい位置にある。このため、遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、好転した後に再び悪化するところからは下げ再開とし、好転できずに31日朝安値を割り込む場合も遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は30日から31日朝にかけての安値更新に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる。このため40ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す
（１）当初、3月31日朝安値16.31円を下値支持線、16.60円を上値抵抗線とする。
（２）16.60円を下回る内は16.40円割れから下げ再開注意とし、31日朝安値割れからは16.00円を目指すと考える。16.10円以下は反発注意とするが31日朝安値を割り込んだ後も16.40円以下での推移なら4月1日も安値試しを続けやすいとみる。
（３）16.60円超えからはやや大き目のリバウンドとみて16.70円台への上昇を想定する。16.75円以上は反落注意とするが、16.50円以上での推移なら4月1日も高値を試す余地ありとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月31日
16:00　2月貿易収支　（1月　-44.5億ドル）
4月01日
16:00　3月イスタンブール製造業ＰＭＩ　（2月　52.4）
4月03日
16:00　3月消費者物価指数　前年比　（2月　12.37％）
16:30　3月消費者物価指数　前月比　（2月　0.35％）
16:00　3月生産者物価指数　前年比　（2月　9.26％）