トルコリラ円見通し ドル高リラ安と円安による持ち合い続く(20/3/24)

23日深夜までのドル高リラ安が米連銀による無制限の量的緩和政策発表でドル安に転じたことで24日未明には17.02円を付けて3月14日以来の17円台に到達した。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安と円安による持ち合い続く(20/3/24)

トルコリラ円見通し ドル高リラ安と円安による持ち合い続く

【概況】

トルコリラ円は2月25日に1月6日安値を割り込んで年初来安値を更新し、新型コロナウイルスの感染拡大による新興国通貨売りによるドル高リラ安と3月9日までの急激な円高により3月9日には16.26円まで大幅下落した。しかしその後はドル高リラ安は継続しているものの手元流動性確保のためのドル高によりドル円も3月9日から急激な円安となったために新たな安値更新を回避して16円台後半を中心とした持ち合いとなっている。3月9日安値16.26円から3月10日の戻り高値17.26円までの凡そ1円幅に収まった状況にある。

この持ち合いの中で3月20日午前と21日未明に16.99円を付けたがその時点では17円台へ進めずに23日夜には16.67円までいったん下げた。しかし24日未明への円安進行と、23日深夜までのドル高リラ安が米連銀による無制限の量的緩和政策発表でドル安に転じたことで24日未明には17.02円を付けて3月14日以来の17円台に到達した。

ドル円は3月24日未明に111.59円を付けて3月9日以降の高値を更新したが、その後はやや失速している。米連銀による無制限の量的緩和政策発表によりドル買いが一服したこと、3月9日からの2週間に及ぶV字反騰に対する高値警戒感から上値が重くなりつつある印象だ。

ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調は3月23日深夜に6.6170リラを付けてこの間の高値を更新したが、米連銀の無制限な量的緩和政策発表から6.54リラ前後へ反落している。感染爆発による金融市場全般の動揺からの新興国通貨安、株安基調は継続していることや、金融緩和が米国に限ったことではなく世界全体で進んでいることを踏まえればトレンドとしてのドル高リラ安は今後もさらに継続してゆくと思われる。

【イスタンブール100指数の下落率、リーマンショック時との比較】

イスタンブール100株価指数は3月23日安値で82528.45まで下落して3月17日安値81936.40に迫った。新たな底割れは回避しているものの終値ベースでは前日比1.81%安となり下落基調は続いている。週間の下落率は先々週が12.77%安、先週は10.26%安であり、前2週間で20%を超えている。

米連銀による追加金融緩和とトランプ政権による財政出動・景気対策等も矢継ぎ早に表明されているが、感染額初のピークが見えずに経済活動の停滞が長期化することが懸念されて23日のNYダウは前日比582.05ドル安(3.04%安)と下げて終わっている。トルコも感染爆発が始まっているため、世界連鎖株安と同調してさらにトルコ株も下落基調を継続しやすい状況は変わらないと思われる。

リーマンショックの時、イスタンブール100株価指数は2007年10月天井58864.34から2008年11月底20912.19まで凡そ65%の下落率であった。現状は今年1月天井124536.63から3月16日安値81936.40まで34%の下落率に過ぎない。当面の株安はリーマンショック時並みと仮定しておくが、コロナショックが戦前の大恐慌時代の再来となるのではないかという懸念も出始めている状況にあるということも念頭に入れておきたい。

【トルコの感染爆発続く】

新型コロナウイルスの感染拡大において、トルコでは3月11日に国内初の感染者が確認されるまで感染はゼロだったが、海外からの入国者帰国者による感染発生から拡大期に入ると、3月18日時点での感染者が前日から93人増えて191人死者2名となり、3月23日朝時点では感染者1236人(前日比289人増)死者30人(同9人増)と爆発的な拡大期に入り、3月24日朝時点では感染者数1529人(前日比293人増)死者37人(同7人増)と増えている。

トルコと国境を接するイランは感染者23049人、死者1812人。ギリシャは感染者695人死者17人、イラクは感染者266人死者23人等となっているが、感染の検査や集計力等を踏まえると周辺の爆発的感染はさらに拡大してゆくと思われる。
シリア内戦と難民問題もコロナショックによりテーマとしては後退し、国境封鎖によりトルコ側の難民がギリシャ等へ流入する状況はストップしている。
トルコ政府は現時点で68か国の航空機乗り入れを禁止、国内での65歳以上の外出禁止令を発動している。

3月23日に発表されたトルコの3月消費者信頼感指数は58.2となり前月の57.3を上回った。市場予想は悪化を見込んでいたが、集計時点ではコロナ感染がまだ爆発的ではなかったことを踏まえると今度は悪化へ進みやすくなると思われる。同日に発表されたトルコへの2月の観光客数(年率)は3.8%増で1月の16.1%増から大幅に鈍化した。今後はさらにマイナスへ転じることが懸念される。
当初は中国の感染爆発に対してトルコでの感染者ゼロという状況により中国製品・産品の代替輸出増期待があったものの、世界全体の経済活動が停滞して渡航禁止や外出禁止等が長期化すると世界貿易への悪影響も顕著になり、トルコ経済を直撃しかねないと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値安値形成サイクルでは、3月23日夜へいったん下げてからの反騰で21日未明高値を上抜いたため、23日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。トップ形成期は26日未明から30日朝にかけての間と想定されるが、3月9日からの持ち合い範囲での推移が続いているので、戻りは短命の可能性があると注意し、23日夜安値割れからは底割れによる弱気サイクル入りとして26日夜から30日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では24日未明への上昇で先行スパンを上抜いたが、その後はやや失速している。24日未明高値を上抜けば戻り高値をさらに試しにかかるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開注意とし、23日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は60ポイント台へ上昇したがその後は失速気味となっている、50ポイント前後を支持線とし、65ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月23日夜安値16.67円を下値支持線、24日未明高値17.02円を上値抵抗線とする。
(2)23日夜安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、24日未明高値超えの場合は3月14日高値17.12円から17.20円にかけてのゾーンを試すとみるが、17円以上は反落警戒圏としてその後の16.80円割れからは下げ再開と考える。
(3)16.80円以下での推移中は下向きとし、3月23日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして16.40円前後への下落を想定する。感染拡大問題等により世界連鎖株安と新興国通貨売りが深刻化する場合は16.20円割れを目指す可能性も出てくると注意する。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月25日
16:00 3月景況感指数 (2月 106.9)
16:00 3月設備稼働率 (2月 76.0%)
3月26日
20:00 トルコ中銀MPC議事録
3月27日
16:00 3月経済信頼感指数 (2月 97.5) 
3月31日
16:00 2月貿易収支(1月 -44.5億ドル)

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