ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、上値の重たい展開を継続しやすいことは変わらなそうということから「6.00レベルをサポートに6.70レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が6.18レベル、高値が6.66レベルと、想定レンジの中で比較的落ち着いた値動きの一週間となりました。
先週のランドは、ドル円をはじめ他の通貨同様にドルが買われる一週間となりました。ドル円やユーロドルの週報でも書いたことなので簡単にまとめると、先週初のFRBによるゼロ金利への緊急利下げは資金市場におけるドル資金調達がひっ迫していることによる金利上昇を抑えることが主目的でしたが、各国協調による流動性供給にもかかわらず資金市場のひっ迫は変わらず最後の手段として為替市場でドルを買うという動きです。
これは為替変動リスクを伴うために、余程のことが無い限り使われることの無い調達手法ですが、その余程のことが世界中で発生したことからドル高相場となり、そのことは新興国市場においても同様であったということです。また、新興国では外貨による資金調達が多いことから今後もドルを中心とした資金需要が続くこととなります。
また南アフリカ国内の要因としては、南アフリカでも新型コロナウイルスの感染者が拡大し非常事態が宣言されています。これも厄介なことで北半球では今後暖かくなり感染者拡大に歯止めがかかることが確実視されていますが、南半球は逆に寒くなっていくために、感染者拡大が続く恐れがあるという点です。
そして、注目されていた南ア中銀の金融政策はコンセンサスよりも大きく0.5%の利下げを考えていましたが、それを超える1.0%の緊急利下げが行われました。
しかし、直前には主要国同様に大幅な利下げとなる可能性も指摘されていたことや、今回の利下げは南ア経済のためではあっても、世界的な協調利下げの一環として捉えられたことから市場への影響はほとんどありませんでした。
今週は最大の注目となるムーディーズの格付け見直しが27日にあります。これまでのムーディーズの発言や南アフリカの経済状況を考えると、格付けが引き下げられる可能性がかなり高いのですが、個人的には現状維持になるのではないかと考えています。というのも、ここで格付けを引き下げジャンクとなると南アフリカからの資金流出は当然ですが、それが他の新興国にも波及し信用収縮をさらに悪化させることは間違いありません。そうなると、格付けの引き下げによる悪影響を懸念して、当局からムーディーズに対して遺憾のコメントが出される可能性があることや、実際に市場に混乱を起こした場合には戦犯扱いされることとなり、ムーディーズとしてもそれは避けたいと考えるのではないかということです。ですから、現在の金融市場の混乱が収まるまで格付けは現状維持としてネガティブの見通しを継続する可能性が高く、状況によっては見直し自体を延期する可能性もあると見ています。
過去にもムーディーズは見直しの延期をしてきたこともありますので、いずれにしても格付け見直しイベントに関しては、ランドへの悪影響は避けられると言えるでしょう。もし、そうでない場合は、上述の通りで来週の週明け新興国市場は混乱です。ただ、そうは言っても貿易相手国の中国の産業活動再開はスローペースなままですし、世界的な景気急減速が避けられないことは確実視されていますので、対ドルではランド安を続け、対円でも緩やかなランド安地合いを継続とみてよさそうです。
テクニカルな観点から、まず週足チャートをご覧ください。
3月に入り2016年安値を下抜けた段階でランド安はもっと進んでもおかしくない状態ですが、先々週と異なり先週は週足終値でも明確に下抜けたため、2016年安値の6.37がレジスタンスとなりやすい流れになってきました。
次にいつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)をご覧ください。
先週引いた平行下降チャンネルに沿って今後も下げが続きやすいとともに、先々週の安値と重なる6円の大台を下抜けてくると一段安となりやすいチャートです。
今週も下値を探る展開が続きやすいと見て、5.80レベルをサポートに6.40レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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