トルコリラ円見通し ドル高リラ安に圧迫されつつドル円の上昇に支えられる持ち合い続く(20/3/19)

イスタンブール100株価指数は3月16日に前日比8.07%安の大幅下落となった後も17日に1.26%安、18日も1.38%安と続落している。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安に圧迫されつつドル円の上昇に支えられる持ち合い続く(20/3/19)

【概況】

トルコリラ円は3月9日午前安値16.26円から3月11日早朝高値17.26円まで戻した後はこの間の高安レンジ内での推移が続いており、3月17日深夜高値の後はややジリ安気味だが安値は16.40円台で下支えられている。戻り高値は3月11日から14日へやや切り下がり気味で、安値は3月9日から13日朝へやや切り上がり、レンジは若干縮小気味となっている。

新型コロナウイルス感染の世界的拡大により金融市場全般が動揺し、投資マネーの還流と流動性確保が急がれてドルが全面高となり、主要先進国の株安だけではなく新興国株・通貨が売られる中でドル高リラ安が進んでいるが、その一方でドル円におけるドル高円安も継続しているため、トルコリラ円は板挟みにより持ち合い推移に止まっている状況だ。しかし新興国通貨売りが一段と加速する場合はリラ安が円安に勝って持ち合いを下放れしかねない状況にあると注意したい。

ドル円は3月9日安値からの上昇基調が続いており、直前の暴落に対する3分の2戻しを超えてきている。3月19日未明には3月14日高値を超えている。ドル全面高がクロス円での円高よりも勝っている状況だ。

ドル/トルコリラは3月9日から16日まで6連騰のドル高リラ安となり、3月17日にトルコ中銀による利下げの前倒しから6.4980リラまで高値を更新した。その後は新たな高値更新へ進んでいないが、3月18日は1.22%高と上昇して終値ベースではこの間の高値を更新している。

為替市場はドル全面高であり、メジャー通貨、資源輸出国通貨、新興国通貨は総じて下落している。英ポンドは1.18ドル台に下落して1985年のポンド危機以来の安値となり、豪ドルは0.5699ドルまで下げて既に2008年リーマンショック時の安値を割り込み2003年以来の安値水準となっている。ブラジルレアルやアルゼンチンペソは3月18日も対ドルでの最安値を更新、南アランドやアジアの下落も暴落的となり始めているため、新興国通貨の全面安の加速で対ドルでのリラ安が一段と加速しても不思議ないところと思われる。

【トルコ国内の感染拡大と経済活動停滞も徐々に深刻化】

イスタンブール100株価指数は3月16日に前日比8.07%安の大幅下落となった後も17日に1.26%安、18日も1.38%安と続落している。週間ベースでは先週が前週比12.77%安だったが、今週は3月18日時点で10.49%安となっている。
新型コロナウイルスの感染拡大がトルコにも波及しているが、感染者は3月18日時点で前日から93人増えて191人、死者2名となっている。トルコ政府は3月18日に総額1000億リラ(約1兆6000億円)規模の経済対策を発表した。国内線の航空運賃にかかる付加価値税を従来の18%から1%へ減額し、小売業者等への社会保障費や税の納付期限を延長した。また年金増額による生活支援策も表明している。
エルドアン大統領は国民に対して外出を控えるよう要請し、飲食店や娯楽施設などで営業停止を行っている。トルコは年間5000万人の外国人訪問のある観光大国だが、世界全体での渡航制限の拡大により今後は甚大な被害も懸念される。またトヨタ自動車が英国等での工場操業の停止を発表したが、その中にはトルコの完成車工場も含まれる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月9日午前安値から4日目の3月13日早朝安値で直近のサイクルボトムをつけて反騰入りしていたが、16日の反落により13日早朝安値に迫るところまで下げたため、3月17日午前時点では3月14日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。17日夜に反発した後はジリ安推移だが、3月9日以降はややレンジ縮小型での持ち合いが続いているため、3月17日深夜高値16.84円を超えない内は19日の日中から20日にかけての間への下落余地ありとするが、17日深夜高値を上抜く場合は強気サイクル入りと仮定して19日の日中から23日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では持ち合い相場が続いているため遅行スパンは実線と交錯を繰り返しており方向性に乏しいが、19日早朝安値を割り込むとこからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、17日深夜高値を上抜くところからは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は持ち合い相場のために50ポイントを挟んで前後10ポイントの推移となっている。60ポイントを超えて続伸の場合は上昇感がやや強まると思われるが、40ポイント割れからは下げ再開感が強まると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月19日朝安値16.53円を下値支持線、3月17日深夜高値16.84円を上値抵抗線とみておく。
(2)16.53円以上での推移中は上昇余地ありとし、17日深夜高値を超える場合は17円試しを想定するが、3月11日から戻り高値が切り下がり気味となっているので17円以上は反落警戒とし、その後に16.70円を割り込むところからは下落再開と考える。
(3)16.53円割れからは3月9日安値16.26円試しへ向かう流れとみる。世界連鎖株安が強まる場合、円高が再燃するか対ドルでのリラ安が加速する場合は16.00円試しへ下値目処を引き下げ、先行きはさらに安値試しが続きやすくなると考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月23日
 16:00 3月消費者信頼感指数 (2月 57.3)
 17:00 2月観光客数 前年比 (1月 16.1%)
3月25日
 16:00 3月景況感指数 (2月 106.9)
 16:00 3月設備稼働率 (2月 76.0%)
3月26日
 20:00 トルコ中銀MPC議事録
3月27日
 16:00 3月経済信頼感指数 (2月 97.5) 

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