トルコリラ円見通し 17.20円台へ失速、トルコとロシアはシリア停戦で合意(20/3/6)

ドル円が3月6日早朝に106円を割り込む中でトルコリラ円も17.20円台まで下落した。

トルコリラ円見通し 17.20円台へ失速、トルコとロシアはシリア停戦で合意(20/3/6)

【概況】

トルコリラ円は2月26日未明安値で17.83円まで下落して1月6日安値17.94円を割り込み、2月21日から28日までは世界連鎖株安の拡大によるリスク回避的な売りに押されて3月2日朝には17.08円まで安値を切り下げた。その後は世界連鎖株安一服でリスク回避感が緩んだために持ち直して3月3日深夜には17.81円まで戻した。この間は3月2日朝安値から2日夜安値、3日夕安値、4日午前安値と安値を切り上げてきたが、3月3日深夜高値17.81円の後は新たな高値更新へ進めずにいた。
3月5日の日中は上値が重い中で小動きだったが、5日夜からは欧米への感染拡大を嫌気してNYダウが大幅下落となってリスク回避的な動きが強まり、ドル円が3月6日早朝に106円を割り込む中でトルコリラ円も17.20円台まで下落した。
3月2日安値割れには至っていないが、戻りに勢いがつかないまま失速し始めており、感染拡大を嫌気して株安が進むとクロス円全般の円高とともにトルコリラ円にも売り圧力がかかりやすい状況も続くという印象だ。

イスタンブール100株価指数は2月27日から28日への2日間で8%以上の暴落となり、3月2日から3日にかけては4.87%の反発となった。4日は0.38%安と下落し、5日は前日のNYダウ反騰を受けて0.93%高と上昇して終了したが、5日のNYダウが千ドル近い大幅下落となったことにより、6日のイスタンブール市場では再び売り圧力が強まりそうだ。

ドル/トルコリラは3月2日に6.2615リラの高値を付けた後はドル高一服で3月2日から4日まで3日間の続落=ドル安リラ高となっていたが、5日は0.46%高とドル高リラ安がぶり返している。週足ベースで見れば前週が2.4%のドル高リラ安、今週が2.20%のドル安リラ高であり、前週分のドル高をいったん解消したものの3月5日からはドル高リラ安が再開し始めているところと思われる。
リスク回避感が強まれば株安とともに新興国通貨への売り圧力も高まるところだが、新興国通貨売りは最も弱いところに集中するため、ブラジル・レアルは連日の史上最安値更新となっており、ラテン通貨の下落が新興国通貨全般へ波及しやすくなってきていることに注意したい。3月5日は南アランドやタイバーツ等も総じて下落している。

【シリア情勢、ひとまず停戦合意】

ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は3月5日にモスクワで会談し、シリア北西部イドリブ県で3月6日から停戦することで合意した。2月3日からシリアのアサド政権軍とトルコ軍が軍事衝突を繰り返し、両国正規軍同士の全面戦争化への懸念が強まっていた。
アサド政権を支援するロシアによる空爆等でもトルコ軍及びトルコの支援する勢力へ被害をもたらしてきたため、天然ガスパイプラインのトルコストリームやロシア製ミサイル等の調達で友好関係にあったトルコとロシアの亀裂も深まっていた。またトルコの支援するシリアの反体制派やアサド政権に反抗しつつトルコとも敵対する武装勢力や、米国等の支援する武装勢力も入り乱れて衝突を繰り返していた。大量の難民も発生し、トルコがギリシャ国境を開放してEUへ難民が流入してゆく懸念も広がっていた。
今回のロシアとトルコの停戦合意により、シリア情勢もいったん落ち着くかもしれない。しかし従来の停戦合意が反故にされたことで2月3日からの衝突が始まっているため、その実効性や安定性には疑問符も付くところだ。今のところはトルコ市場への影響は限定的だが、引き続き注視してゆきたい。

【感染拡大問題】

今のところトルコでの新型コロナウイルスの感染は発生していないが、国境を接するイランでは感染者3513人、死者107人が発生しており、ギリシャで31人、イラクで38人(死者2人)、ジョージアで3人の感染者が出ている。その他中東の感染者としてはクエートの58人、バーレーン50人、UAEで28人、イスラエル17人、レバノン15人、パレスチナ7人、サウジ5人等となっている。またトルコは中国・イラン・韓国・イラク・イタリアとの旅客機運航を停止、イランとイラクとの国境を封鎖している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月24日夜安値を割り込んで底割れによる弱気サイクル入りとなってきたが、3月2日朝安値からの反発が続いたために3月3日午前時点では3月2日朝安値を直近のサイクルボトムとしてリバウンドに入っているとした。
3月3日深夜へ戻り高値を切り上げてから反落していたため、4日午前時点では既にサイクルトップを付けた可能性があるとしたが、4日朝時点では2日朝安値から3日を経過したために3日深夜高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は3月5日朝から9日朝にかけての間と想定した。
3月6日早朝へ下落し、その後の反発も鈍いため、17.50円以下での推移中は一段安警戒とする。ただし前回サイクルボトムから4日を経過したので17.50円超えからは強気転換注意として3日深夜高値試しを想定する。

60分足の一目均衡表では、5日深夜の反落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。このため遅行スパンが悪化中は安値試し優先とし、遅行スパン好転からは強気転換注意とするがその際は先行スパンが戻りの抵抗となりやすいとみる。

60分足の相対力指数は5日深夜の下落で30ポイント割れへ低下したが、まだ売られ過ぎ警戒感には至らないため、50ポイントまでを抵抗とし、30ポイント割れからはもう一段安へ進みやすいと注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、17.25円を下値支持線、17.50円を上値抵抗線とみておく。
(2)17.50円以下での推移中は一段安警戒とし、17.25円割れからは3月2日朝安値17.08円試しを想定する。17.10円以下は反発注意とするが、3月2日朝安値を割り込む場合は17.00円から16.90円にかけてのゾーンを試し、週明けも続落しやすいと考える。
(3)17.50円超えからは強気転換注意として17.70円前後への上昇を想定するが、17.65円以上は反落注意とし、その後に17.25円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月10日
 16:00 12月失業率 (11月 13.3%)
3月11日
 16:00 1月経常収支 (12月 -28億ドル)
3月13日
 16:00 1月鉱工業生産 (12月 8.6%)
 16:00 1月小売売上高 前月比 (12月 1.1%)
 16:00 1月小売売上高 前年比 (12月 11.0%)

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