トルコ中銀は追加利下げを実施。実質金利はマイナスに転じる
今週のレビュー(1/13−1/17)
今週のトルコリラ円相場は、週初18.64円で寄り付いた後、@トルコ・11月経常収支(結果▲5.2億ドル、予想▲4.2億ドル)の赤字幅拡大や、Aトルコ・11月鉱工業生産(結果+0.7%、予想+1.0%)の冴えない結果、Bリビア停戦協議が合意に至らなかったこと(リビア国民軍LNAが停戦合意文書への署名を見送ったこと)等が重石となり、週央にかけて、安値18.62円まで下落しました。
しかし、C米中第1段階合意署名を受けたグローバルなリスク選好ムードが支えとなると、週末にかけては、約5週間ぶり高値18.85円まで反発しました。もっとも、一目均衡表雲上限付近では戻り売り意欲も根強く、引けにかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、18.68円近辺で推移しております。尚、トルコ中銀は1/16、5会合連続となる追加利下げを決定しました(結果11.25%、予想11.50%)。先日発表されたトルコ・消費者物価指数の伸び率が市場予想を上回るペースに上昇していたことから、今回は利下げ幅が小さくなる(或いは見送られる)との見方もありましたが、結果として、トルコ中銀がエルドアン大統領の利下げ圧力に忖度した形となっております。
来週の見通し(1/20−1/24)
今週のトルコリラ円相場は、一時5週間ぶり高値圏へ上昇するも、引けにかけて値を崩し、結局200日移動平均線の下側での越週となりました。テクニカル的にみて、「上値の重さ」を意識させるチャート形状となっております。ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、Bトルコ中銀の追加利下げ観測(※政策金利の引き下げと、インフレ率の上昇を受けて、実質金利がマイナス転)、C経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、Dシリアを巡る地政学的リスク、Eロシアからの武器購入やジェノサイド、リビア派兵を巡る、米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念、F中東情勢の緊迫化(米イラン関係の悪化)など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。トルコ中銀による相次ぐ「利下げ」を受けて実質金利(名目金利ーインフレ率)がマイナスに転じていることも、潜在的なトルコリラ売り圧力として今後重くのしかかってくると考えられます。来週は、中東を巡る地政学的リスクや、1/23に予定されているトルコ・1月消費者信頼感指数の結果を睨みながらも、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):18.35ー18.85
トルコリラ円日足
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