トルコの金利とスワップ金利
本日の編集人K氏のコラム「トルコ中銀貸出レート引き下げ」にもある通り、昨日トルコ中銀は「いわゆる政策金利」は7.50%で現状維持となりましたが、貸出金利は50bp引き下げて9.5%としました。
トルコ中銀の発表する政策金利には3種類のレートがありますが、いわゆる政策金利と呼ばれているものは1週間物のレポ金利(現在7.50%)で、残りの2つはオーバーナイトの短期金利となる翌日物貸出金利(現在9.50%)と翌日物借入金利(現状7.25%)となっています。これら後者2つの金利を通常コリドー上限金利と下限金利と呼び、その幅(現状7.25%〜9.50%)の中に市場金利を推移させる金融政策手法です。
コリドーとは廊下を意味し、時系列でみた際に短期市場金利がコリドー上限とコリドー下限の間の中で推移している様子が見て取れます(トルコ中銀のサイトでも表示可能なインタラクティブな機能が備わっています)。
http://www.tcmb.gov.tr/wps/wcm/connect/TCMB+EN/TCMB+EN/Main+Menu/MONETARY+POLICY/Interactive+Charts
さて、そうなると皆さんが気になるのは、トルコリラ円のスワップ金利は何のレートがベースになっているかという点だと思われます。これは、FX業者のカバー先であるインターバンクが日々の取引の中で使われているレートですから当然、短期市場金利ですが、翌日物ではなく、Tom Next(トムネクスト)と呼ばれる翌日〜スポットの金利がベースとなるスワップ金利です。
一例として、インターバンク取引に近いスワップ金利を提示しているFX業者から買い持ちの受け取りと売り持ちの払いの平均を出してみます。昨日のベースで1万トルコリラあたり受け取りが96円、払いが103円となっていましたので、平均は99.5円です。この99.5円をベースにトルコリラ円レートを36.80円、円金利を0.0%として、逆算すると使われているトルコの金利は9.78%です。
昨日の利下げ前の段階ではコリドーが7.25〜10.00%でしたから収まっているのがわかると同時に、スワップ金利に使われているレートはコリドー上限レートに近いということがわかります。例えば本日の東京17時ベースで考えるとトルコリラ円のレートは37.40で、トルコ金利9.5%、円金利0.0%で計算してみましょう。
正確には違うのですが、スワップ金利のように1日だけの金利計算であれば、以下の簡易式で計算しても問題ありません。
スポットレート×金利差÷365
金利差と言っても円金利は0(ゼロ)で構わないので、そのままトルコ金利(%→小数)を入れると、
37.40×0.095÷365 = 0.9734 =1通貨あたりのスワップ金利
1万トルコリラであれば、1万倍して97.3円、これが中央値ですから、受け取りが94円、払いが101円と2円くらい下がった水準が妥当ということになります。
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