トルコリラ円見通し 19円台を維持しきれず持合い続き、週足ボリンジャーバンドは収縮の極致に(11/18)

トルコリラ円の先週は18.80円前後から19円手前までのレンジ内推移にとどまり、10月後半からのやや高値切り下がりでの持ち合いを継続している。

トルコリラ円見通し 19円台を維持しきれず持合い続き、週足ボリンジャーバンドは収縮の極致に(11/18)

【概況】

トルコリラ円の先週は18.80円前後から19円手前までのレンジ内推移にとどまり、10月後半からのやや高値切り下がりでの持ち合いを継続している。シリア情勢がひとまず落ち着き、11月13日の米トランプ大統領とトルコ・エルドアン大統領による首脳会談は諸問題の先送りと協議による解決姿勢を示しただけに終わったが、新たな両国の対立を醸し出すような状況にはならずに市場も両国関係やシリア情勢を意識することを脇に置いて、クロス円全般の流れを見ながら小動きにとどまった。ただ気になるところとしては11月14日や16日未明への上昇では19円に届かずに上値の重さがやや意識されつつある印象となっている点だろうか。

【持ち合い続きによるボリンジャーバンド収縮】

トルコリラ円は8月26日にフラッシュクラッシュで18円割れへ瞬間急落してからの上昇で9月12日に19円台に到達し、その後も10月1日高値19.15円まで戻り高値を切り上げたものの19円台を維持しきれずに10月10日安値18.16円まで下落した。再び反騰に転じて10月28日に19円台を回復、10月30日(31日未明)に19.08円の高値を付けたが10月1日高値に届かず、11月4日夜高値19.05円、11月8日未明高値19.03円と高値ラインが切り下がり、11月14日高値18.95円及び11月16日未明高値18.94円と19円台に届かなくなってきている。

11月に入ってからの安値は11月1日夕18.84円、11月7日昼18.85円、11月14日夕18.79円、11月15日未明18.77円とわずかに切り下がりつつも18.80円割れは切り返してきている。
現状は18.80円前後から19円超までのレンジでのほぼ横ばいのボックス型持ち合いといえるが、19円台に届かなくなりつつあり、安値もやや切り下がり気味に入っている。「持ち合いは持ち合い放れにつけ」が鉄則であり、やや切り下がりで19円台に届かなくなっている現状から19円台回復へ戻せば高値切り下がりライン突破としてこの間の高値である10月31日未明の19.08円超えから持ち合い上放れへ進む可能性が高まると思われるが、19円に届かない状況から11月15日未明安値を割り込む場合は持ち合い下放れへ進む確率が高くなるのではないかと懸念される。

ボリンジャーバンドは相場の変動率を標準偏差で示すものだが、8月26日のフラッシュクラッシュ以降はバンドの縮小がかなり目立つ。ここ数年では収縮度合いは最も収縮した状況にある。
相場は変動と休息を繰り返す。上げ下げ休みの繰り返しである。持ち合いは強弱の力関係が拮抗していることを示し、強弱バランスが崩れるところから持ち合い放れに入り、上昇トレンドないしは下降トレンドへと活況を回復してゆく。それゆえ、持ち合いは上下いずれかへ大きく動きだす前夜情勢といえるが、その前夜情勢としての持ち合いも週足で数か月続いてボリンジャーバンドの収縮が極致に来ると、煮詰まりのストレスが相当程度にたまっていることを示し、バンドが収縮から膨張に転じるときにはストレス解放により変動率が大きくなるものとして注目される。

【中勢は40週前後と80週前後の底打ちサイクル】

【中勢は40週前後と80週前後の底打ちサイクル】

以前に指摘した通り、2013年以降の週足では概ね40週前後(34週から50週のレンジ)の底打ちサイクルと、このサイクルが2セットでの80週前後の底打ちサイクル(71週から88週のレンジ)で推移してきた。直近では2017年4月14日底から71週目となる2018年8月13日安値(米・トルコ対立によるリラ暴落)で80週サイクルの底をつけている。

40週前後のサイクルでは、8月13日安値から39週目となる2019年5月9日安値で底をつけたが、その後は8月26日の一時的なフラッシュクラッシュを除いて持ち合いに入っており、10月1日高値から戻り高値が切り下がってきている状況を踏まえると、すでに26週を経過しているために40週サイクルの戻りが一巡して下落期に入る手前で持ち合いとなっている印象を受ける。フラッシュクラッシュも先行きへの予兆という意味合いもあると思う。

【トルコ10年債利回りとトルコリラ円の逆相関】

トルコは高金利通貨国であるが、最近では2018年8月にトルコリラが通貨危機的に暴落した際には指標の10年債利回りは21.53%まで上昇した。また2019年5月のトルコリラ急落時にも20.31%まで上昇したが、その後は低下傾向を続けており、10月16日に15.39%へ小反発した後の下落で11月15日時点では12.1%まで低下して2018年4月以来の低水準となっている。

メジャー通貨においては、金利差が騰落の重要要因となり、ドル円においては日本の10年債利回りがほぼフラットなため、米10年債利回りが上昇すればドル高円安に、低下すればドル安円高に反応することが基本になる。しかし政情不安や通貨危機リスクを抱えているトルコにおいては、通貨防衛のために金利を引き上げに追い込まれる局面で10年債利回りも上昇し、政治経済情勢が落ち着けば通貨も落ち着くために利下げが可能となる。

このためトルコ10年債利回りが低下傾向を続けている状況はリラ暴落不安が後退していることの反映となり、トルコリラ円はトルコ10年債利回り低下局面で上昇し、利回り急上昇局面で売られるという逆相関となっている。
10月24日にトルコ中銀(TCMB)が政策金利を14.0%とし、従来の16.5%から引き下げたが、市場予想の15.5%を下回るところまで利下げしたのは、それだけ当面する通貨危機感が薄れているため、市場予想を超える利下げでもトルコリラ相場への動揺はないだろうという中銀の判断を反映したものと言える。

シリア情勢及び米国との対立も11月13日の首脳会談で諸問題を先送りしたものの落ち着いている中で、金融市場全体における最重要テーマの一つである米中通商協議が順調に進むならトルコリラを取り巻く情勢も全体的なリスクオン心理の恩恵を受けることもあると思う。しかし米中協議が暗礁に乗り上げる等して金融市場全体がリスク回避へ急旋回する場合及びシリア情勢で再び緊張が高まる場合は、最も弱いところにリスク回避の影響が集中するためにトルコリラの動揺を生み、10年債利回り上昇と逆相関してリラ安が発生するという流れにもなりかねないと常に注意したい。

【当面のポイント】

(1)引き続き持ち合い相場中だが、持ち合い放れもそろそろ発生してもよい時間帯に入っていることを念頭に置き、当初の下値支持線を11月15日未明安値18.77円とし、19.00円を上値抵抗線とみておく。
(2)概ね3日から5日周期の短期サイクルでは11月15日未明安値でサイクルボトムを付けて戻しに入っているところと思われるので、15日未明安値を割り込まないうちは上昇余地ありとみる。19円に届かない状況が続いているので19円乗せへ進めないうちは18.90円割れからの下げ再開警戒とするが、18.90円を割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、16日未明高値18.94円超えからは19円試しとする。19円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、リスクオン全開となって円安が進む場合は19.05円前後まで上値目途を引き上げる。ただしその後は19円割れへ向かうとみる。

(3)15日未明安値割れからは持ち合い下放れへ進む可能性も踏まえて18.70円試しとする。18.70円割れからは持ち合い下放れと仮定して18.50円前後まで下値目途を引き下げ、先行きはさらに続落してゆく可能性が高まるとみる。

【最近の主な経済指標結果】

11月12日
16:00 9月経常収支 24.8億ドル(8月 26.8億ドル)
11月14日
16:00 9月鉱工業生産 前年比 3.2%(8月 -2.7%)
11月15日
16:00 8月失業率 14.0%(7月 13.9%)
16:00 9月小売売上高 前月比 0.6%(8月 0.4%)
16:00 9月小売売上高 前年比 2.7%(8月 -4.2%) 

【当面の主な経済指標等の予定】

11月20日
23:30 10月中央政府債務 (9月 12億3920億ドル)
11月21日  
16:00 11月消費者信頼感 (10月 57.0)
11月25日
16:00 11月景況感指数 (10月 100.9)
16:00 11月設備稼働率 (10月 76.4%)

【最近のトルコ・シリア情勢推移】

10月14日 米国がトルコに経済制裁発動
10月23日 トルコが米国提案の恒久的停戦を受け入れ、米国のトルコ制裁解除
10月27日 トランプ大統領、IS指導者バグダディ氏殺害を報告。
10月29日 米下院によるトルコ制裁決議可決
11月01日 トルコとロシア、シリア北東部の合同巡回開始
11月11日 トルコ政府、IS戦闘員の本国送還を開始
11月13日 トランプ米大統領とエルドアン大統領がワシントンで首脳会談

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