ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、基本的にもみあい横方向への動きを考え「7.23レベルをサポートに7.43レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.30レベル、高値が7.46レベルと、ほぼもみあいとなったものの思いのほか底堅い印象の一週間となりました。
先週のランド円は、週初はスローなスタートを切りましたが22日にエスコムに対する追加支援が決まったことからややランド買いが入った格好です。その後は特に目立った材料も無かったことから上がった水準でのもみあいを続け、高値もみあいのまま一週間を終えています。
そして今週は南アにとって大きな材料が2つあります。ひとつは30日の中期財政計画発表ですが、補正予算だけでなくエスコムをはじめ国営企業改革案も提示されます。内容次第ではランド買いにも売りにも動ききっかけを作ることとなります。
そしてもうひとつは、いよいよ11月1日にはムーディーズの格付け見直しがあります。
これまで他の格付け会社が南アを投資不適格(ジャンク)としてきた中で、ムーディーズだけは唯一ジャンクとせずに、南アの状況を見た上でと格付け維持を続けてきました。今回も格付けは維持されるという見方がコンセンサスとなっていますが、こうした重要なイベントに影響が出そうな財政計画を出すとも思えないため、逆にムーディーズ発表前の財政計画は好ましいものとなる可能性が高いのではないかとも思えます。
南ア材料としては中期財政計画でややランドが買われ様子見の状態で週末突入、発表される時間にもよりますが、おそらく予想通りに格付けは維持されると思います。そのため、金曜のNY市場、もしくは週明け早朝市場では安心感から買われる、こうした動きが最も可能性の高いシナリオであると考えられます。
ムーディーズとしても、自社の格付け引き下げがジャンク債に直結するとなると、かなりの金額の資金流出を引き起こすこととなり、逆によほどの状況でないと下げることも難しいというのが正直なところでは無いかと思います。そうした点ではどちらの重要イベントもランド買いにバイアスがかかりやすいと言えるでしょう。
他の材料としては米国のFOMCがありますが、米金利低下は新興国通貨にとっては好材料です。そして、これはまだ最終結果は先のことですが、米中通商協議は米国の発言を見ている限り進展していますので、これも中国が最大の貿易相手国である南アにとって、いい話が出てくれば好材料として捉えられます。総じてランド買いの材料の方が多い週と考えて良いでしょう。
一方で悪材料が出てくるとすれば財政計画の内容のうち、エスコムに対して南アの財政問題を悪化させるような内容となること、米中協議がやはり難航といったあたりです。しかし、前者は上述の通りかなり考え難いですし、米中間の協議も早ければ11月のAPEC時に合わせて米中首脳会談で合意を目指すことが出来れば、それが最も望ましいと考えているため、これまでのようにいきなり決裂といったことはないのではないかと楽観的に考えている向きが多い様子です。
ただ、これまでの経緯がある以上まったく油断はできません。
テクニカルにも見てみましょう。まずは、日足チャートで大きな流れをご覧ください。
8月以降はピンクの細線で示した上昇ウェッジの中での動きを続けていると考えられますが、2018年高値からの長期レジスタンス(ピンクの太線)が今週末には7.51レベルへと水準を下げてきますので、同水準はいったん上値を抑えられやすいと言えます。
いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)もご覧ください。
上段のピンクのラインが日足チャートにおけるウェッジですが、上値については長期レジスタンスの水準(7.51)だけを気にしておけばよいでしょう。いっぽう下値は底堅いであろうという前提で考えると、先週の安値7.30があげられると思います。
今週はよほどのサプライズが無ければ基本的にランドが底堅い動きを続けやすく、7.30レベルをサポートに、7.50をレジスタンスとする週を見ておきます。
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