シリア情勢を巡る神経質な展開。来週はトルコ中銀の利下げ幅に注目
今週のレビュー(10/14−10/18)
今週のトルコリラ・円(TRYJPY)相場は、週初18.407円で寄り付いた後、@シリア情勢の悪化(シリア北部への軍事作戦決行)や、Aそれを受けた対米国、対NATO同盟国との関係悪化懸念(トルコ制裁リスクの高まり)が重石となり、週明け早々、週間安値となる18.197円まで急落しました。しかし、先週10/10に記録した直近安値18.196円付近で下げ止まると、B米中部分合意や、C英合意なき離脱リスクの後退を受けたグローバルなリスク選好ムードが下支えとなり、週央以降、急速に持ち直す動きとなりました。週末にかけては、D「トルコがシリア北部での軍事作戦を休止することで合意」と報じられたことで、10/3以来、約2週間ぶり高値18.878円まで急伸する場面も見られました。もっとも、E停戦合意から1日立たずして、トルコとクルド人部隊の再衝突が報じられると再び反落。結局18.720円付近まで押し戻されての越週となっております。
来週の見通し(10/21−10/25)
今週のトルコリラ・円相場は、シリア北部での休戦合意報道を契機に急伸する展開となりました。地政学的リスクをバックにトルコリラを売り込んでいた向きによるショートカバーが相場を押し上げた格好です。この間、一目均衡表転換線や、一目均衡表基準線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表雲下限及び上限を軒並み突破するなど、テクニカル的にみて「続伸リスク」を強く意識させるチャート形状となっております。もっとも、3/27高値20.939円と、7/31高値19.696円を結んだ長期レジスタンスラインの突破は失敗に終わり、引けにかけてはやや長い上髭を残す形で反落しました。一目均衡表雲上限も再度割り込むなど、来週は一巡後の反落リスクに警戒が必要でしょう。
ファンダメンルズ的に見ても、@シリア情勢の先行き不透明感(シリアへの攻撃を再開するリスク)や、A米国及びNATO同盟国との関係悪化懸念(ひとまず落ち着くも再燃リスクが燻る)、B外貨準備急減を背景としたリラ安防衛能力への不信感、Cトルコ経済の先行き不透明感、Dエルドアン大統領による中銀への介入懸念と求心力低下、E経済的な結び付きの強いドイツ経済の悪化懸念など、不安材料は山積みです。
以上の通り、トルコリラ・円相場は、テクニカル的に持ち直しの動きが見られるものの、ファンダメンタルズ的な不安要素が続伸を阻むと予想されます。尚、来週は10/24に予定されているTCMB(トルコ中銀)金融政策決定会合に注目が集まります。先日発表されたトルコ・9月消費者物価指数が前月比で大幅に鈍化したことから、トルコ中銀は躊躇なく追加利下げに踏み切ると考えられます。市場が予想する2%を超える利下げ幅であれば、トルコ株高を通じてトルコリラを一時的にサポートしそうです(※トルコ金利の低下は一時的に株高→トルコリラ高を演出しつつも、一巡後はトルコ金利の低下→資本流出→トルコリラ安に繋がるリスクを孕んでいる点に留意が必要です)。一方、市場予想に届かない利下げ幅の場合は、株式市場の失望を誘う形で、トルコリラに下落圧力が加わると予想されます。来週は、シリア情勢を巡る続報や、TCMB金融政策決定会合を睨みながらも、やや反落リスクに警戒が必要でしょう。
来週の予想レンジ TRYJPY 18.20ー18.90
トルコ円日足
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