ユーロ週報 今週は年初来安値を更新か(8月第3週)

現状ではユーロ売りイベントの方が先に来るため、流れとしてはユーロ売りトレンドは継続しやすいと見るべきでしょう。

ユーロ週報 今週は年初来安値を更新か(8月第3週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、週初こそ高く始まったもののその後は高値、安値ともに切り下げる一週間となりました。週初からの傾向として、市場参加者はユーロの戻り売りをベースに考えていて、上がったところでは戻り売り、下がったところでは新規ストップでも売りという流れでしたが、材料としてはダウの急騰もその後の急反落も前者はドル買い(ユーロ売り)、後者はリスクオフの円買い(ユーロ売り)と、どちらもユーロ売りの材料とされていました。

ユーロ独自の材料としては、ECB理事会メンバーでもあるフィンランド中銀総裁による9月理事会での緩和を示唆する発言は、前回のECB理事会の内容とも反しないため、まずは今週22日に公表される前回理事会の議事要旨を見た上で、9月12日の理事会に向けて一段の緩和思惑が広がっていく可能性があります。これは素直にユーロ売り要因となります。

また新たな材料として、ドイツのシュピーゲル紙が景気後退の時には財政出動という記事ですが、同記事では、首相府と財務省は景気低迷により税収が落ち込んだ場合、債務を増やすこともいとわない、としています。しかし、現在のドイツではマイナス成長となったことで、マイナス成長下の債務増加は法律が禁じていますので、まだまだハードルは高いと見るべきですが、このニュースはユーロ買い要因です。

単純に言うと、ドイツ国債の発行による供給増加が国債価格低下を招き、裏を返せば利回り上昇=ユーロ買いという連想ですが、上記の通り法改正を伴うものであることや、その前にECB理事会がありますので、現状ではユーロ売りイベントの方が先に来るため、流れとしてはユーロ売りトレンドは継続しやすいと見るべきでしょう。

また、イタリアの総選挙も10月に実施されそうですが、イタリアの政局が流動的となり、一時期のようなポピュリズム政党の勢いが弱まっている動きが、今後他の欧州諸国に与える影響も無視できず、こちらもどちらかというとユーロ売り要因として見られやすいと言えます。

そして、なんといっても先週の日々の動きが示すように、ユーロドルは8月1日につけた年初来安値1.1027レベルまで、金曜安値からわずか39pipsと至近距離にあり、年初来安値更新と1.10という大台をつけにいくことを望んでいるチャートとなっていることです。
日足チャートをご覧ください、

今週の週間見通しと予想レンジ

ユーロドル日足

先週のラインをそのまま残してありますが、6月高値からのレジスタンスラインがよく効いています。月初の反発以降はこのレジスタンスに沿って高値を切り下げ、先週の連日の下げにつながりました。レジスタンスは今週は1.1200から1.11台後半を降下していきますので、1.11台後半をレジスタンスとしながら、年初来安値をいつ試してもおかしくないチャートと言えます。

今週のユーロドルは、大台1.1000レベルをサポートに1.1170レベルをレジスタンスと、上値が重たく安値を更新しにいく週を見ておくこととします。

今週のコラム

今週のコラム

今週はDAXの日足です。紫の四角は1か月です。

基本的に中段に示したNYダウと似たような動きをしていますが、下段のダウ・DAX比(ダウ÷DAX)を見ると5月末以降は比率が高くなっている(NYダウの価格が高めに推移している)ことがわかります。

欧州にとっての悪材料が米国よりも多いからにほかなりませんが、こうした動きも為替市場でのユーロ売りを催促しているように思えます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

8月19日(月)
17:00 ユーロ圏6月経常収支
18:00 ユーロ圏7月CPI


8月20日(火)
15:00 ドイツ7月PPI
18:00 ユーロ圏6月建設支出


8月21(水)
27:00 FOMC議事録公表

8月22日(木)
16:15 フランス8月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ8月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏8月製造業・サービス業PMI速報値
20:30 ECB理事会議事録公表
23:00 ユーロ圏8月消費者信頼感速報値
**:** ジャクソンホール(〜24日)

8月23日(金)
23:00 パウエルFRB議長講演

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月12日(月)
ユーロドルは、東京が休場でアジア時間はやや底堅い印象も小動き、欧州市場に入りユーロドルが朝方の安値を下抜けると、ストップオーダーを巻き込みながら急速に水準を下げ、1.12台前半から1.11台半ばへと下落、しかし特段の材料があったわけでもなく、その後は急速に買い戻しが入り、NY市場では1.1231レベルと日中高値を更新し、底堅い動きの中で引けました。


8月13日(火)
ユーロドルは、東京から欧州市場では売りが先行後に買い戻される動きとなっていましたが、基本的には動意薄の展開。NY市場では対中制裁関税第4弾の一部延期によるドル円でのドル買いの動き同様にユーロ売り。しかし、リスクオフの巻き返しから、ユーロ円の買いがユーロドルの上昇幅を抑える結果となりました。

8月14日(水)
ユーロドルはNY市場までは底堅いながらも積極的に買いが入ることもなく方向感がはっきりしない展開が続きました。NY市場ではダウ急落の動きがユーロ円の売りとなり、ユーロドルはユーロ円に引っ張られる形で1.1130レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。


8月15日(木)
ユーロドルは、NY市場までは動きが鈍いながらもじり高の展開となっていましたが、フィンランド中銀総裁が9月のECB理事会で大規模な緩和を実施する必要があると発言したことをきっかけに急速に水準を切り下げ、NY昼前には一時1.1092レベルの安値をつけ、その後引けにかけては1.11台を回復してのクローズとなりました。

8月16日(金)
ユーロドルは上値が重たい中、欧州市場序盤に前日安値を下抜け、NY市場の朝方には一時1.1066レベルの安値をつけました。しかし直後にドイツ紙が景気後退時には財政出動との記事にドイツの金利が上昇、為替市場ではユーロドルが反発する動きを見せました。しかし上値の重さは変わらず引けにかけてユーロはじり安の動きで引けました。

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