ユーロ週報「もみあいながらも一段安の流れ」(7月第2週)

ユーロドルは上値の重たい一週間となりました。ドル円は週を通して行って来いの動きでしたが、ユーロは週初と週末に2回に分けて下げを演じた格好となりました。

ユーロ週報「もみあいながらも一段安の流れ」(7月第2週)

今週の週間見通しと予想レンジ

ユーロドルは上値の重たい一週間となりました。ドル円は週を通して行って来いの動きでしたが、ユーロは週初と週末に2回に分けて下げを演じた格好となりました。基本的にドル高の動きの中で、欧州経済やECBの金融政策等、ユーロ売りにつながりやすい材料が目立ち、まったく動かない週半ばの3日間を挟んで160pips強を下げた格好です。

今週は先週と違って欧州関連では目立った材料が少ないのですが、欧州を取り囲む環境自体にも変化が無いため、そういった視点では引き続きユーロは売られやすいと言えます。しかし、気になる材料として、今週は日本、ドイツ、中国と米国の監視リスト上位3か国の貿易収支が発表されるため、その数字次第ではトランプ大統領があらためて通貨安けん制の発言をする可能性があるというところでしょうか。

また、ドル円週報に書きましたが、今週は日柄的に振れやすく、テクニカルなポイントも効きにくい時間帯に入ってきますので、素直な動きではなくダマシを繰り返すような流れとなる可能性があり、そのあたりも注意して起きたおところです。そして、テクニカルな観点では、金曜の下げでいったん5月安値から始まった上昇トレンドが終わったと見られ、こちらのほうが今週は材料視しやすいと見ています。

早速、日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

直近で最も確度が高いレジスタンスライン(青)を上抜けたことで上昇トレンドへと転じていましたが、金曜の下げで5月末からのサポートラインを下抜けてきたことがわかります。これまでもユーロドルはラインを抜けたと思ったらまた戻すといったわかりにくい動きを繰り返してきたのですが、それはユーロ買いの方向でのダマシであって、弱い欧州という材料に反する動きであったからと後講釈をすることもできます。逆に材料に沿った方向の動きの場合、比較的ダマシとなりにくいのでは、ということになります。

ここで、5月安値と6月高値とのフィボナッチ・リトレースメントを見ると現在の水準は61.8%押しの水準と重なっていますので、いったん止まりやすい水準ではありますが、その下78.6%(61.8%の平方根)押しの水準は1.1172と6月安値の1.1160レベルとも近い水準です。今週はまず同水準を試す流れがあり、動き次第では年初来安値の1.1107レベルを視野に入れてくる動きとなりますが、後者は来週以降のテーマでは無いかと思います。

一方戻しは、先週の金曜に下げ始めた水準である1.1265水準(3日安値圏)が上値が重くなってくると考えられますので、今週は1.1170レベルをサポートに、1.1270レベルをレジスタンスとし、もみあいながらもやや上値の重たい流れを見ておきます。

今週のコラム

今週のコラム

ユーロ円日足

今週もユーロ円のテクニカルです。
先週はドル円もユーロドルもドルが強かったことからユーロ円は週初の下げ以降はもみあいを続けました。またより長い目で見るとチャート内にピンクのラインで示した緩やかなトライアングル(三角もちあい)パターンの中での動きとなっていると言えます。ただ、ドル円の戻りが鈍く、ユーロは下げやすい地合いとなると、ユーロ円は当然下目線となりますし、トライアングルのサポートまでの距離もそれほど遠くありません。

先週示した上昇余地についてはユーロドルの下げで否定されたと見て、ユーロ円はユーロドルが下げる動きを見せる時には121円台を割り込み、年初来安値方向に向かいやすいという見方に戻したいと思います。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

7月8日(月)
15:00 ドイツ5月貿易収支
15:00 ドイツ5月鉱工業生産


7月9日(火)
特になし

7月10日(水)
15:45 フランス5月鉱工業生産
17:30 英国5月GDP
17:30 英国5月貿易収支
17:30 英国5月鉱工業生産
23:00 パウエルFRB議長議会証言


7月11日(木)
08:01 英国6月住宅価格指数
15:00 ドイツ6月CPI
15:45 フランス6月CPI
20:30 ECB理事会議事要旨公表
23:00 パウエルFRB議長議会証言


7月12日(金)
15:00 ドイツ6月PPI
18:00 ユーロ圏5月鉱工業生産

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月1日(月)
ユーロドルは、東京市場では米中首脳会談を受けてのドル高を反映してのユーロ売り、欧州市場以降は実需のユーロ売りとストップオーダーが重なり、前週安値を下抜けてからは売りが強まる展開となりました。NY市場を前にいったん買い戻しも出たものの、日中安値を下回り改めてストップを引っ掛けながら1.12台後半へと入り込んでの引けとなりました。


7月2日(火)
ユーロドルは、あまり方向感がはっきりしない一日でした。欧州市場では前日安値を下回り売りが先行したものの、ドル円のドル売りに引っ張られる形で買い戻しが入りました。NY市場では米国とロシアのヘッドラインによるリスクオフの動きがユーロ円の売りとして反応したため、売買が交錯しての引けとなりました。

7月3日(水)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場序盤に前日安値を下回るとストップオーダーが見られ売りが目立ちましたが後には続かず、方向感がはっきりしない流れのままNY市場に入りました。トランプ大統領が改めてユーロ安懸念を示したことで一時的に買い戻しが見られたものの、すぐに安値圏へと押し株高ドル高の流れの中でユーロもまた上値の重さを感じさせての引けとなりました。


7月4日(木)
米国市場が休場となること、金曜には雇用統計を控えていることもあり、ユーロドルもドル円とともに終日膠着状態が続きました。ユーロドルは1.1285を挟んで上下10pips程度とまったく動意の見られないままで引けました。


7月5日(金)
ユーロドルは、東京市場ではドル円同様にドル買いの動きから上値が重たいスタートを切りましたが、欧州市場序盤に週間安値を更新し、ユーロ売りの流れに傾きました。NY市場では強めの雇用統計を受けユーロが一段安、1.1208レベルまで下押し後にやや戻しての週末クローズとなりました。

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