5月生産者物価指数を横目に反落リスクに警戒か
今週のレビュー(6/17−6/21)
今週の南アフリカランド・円相場(ZARJPY)は、@財政危機に陥った国営電力会社エスコムへの追加支援を巡る報道や、A南アフリカ5月消費者物価指数(結果4.5%、予想4.4%)の伸び率上昇、B一般教書演説でのラマポーザ大統領による「国営電力会社エスコムへの財政支援の前倒し」発言、C欧米中銀のハト派化を受けて、金利差拡大の観点で南アフリカランドへ資金流入が促されていること、D南アフリカの主要産物である「金」価格が急騰したこと等を好感する形で、週後半にかけて5/28以来、約3週間ぶり高値となる7.598円まで急伸しました。もっとも、ボリンジャーバンド上限で伸び悩むと、引けにかけては再び反落。結局、7.491円まで押し返されての越週となっております。
来週の見通し(6/24−6/28)
南アフリカランド・円相場は、1/3安値と3/28安値を結んだサポートラインのブレイクを契機に下げ足を速め、6/7には、一時9ヶ月ぶり安値となる7.148円まで急落しましたが、今週は、41営業日ぶりにボリンジャーバンドのミッドバンド(7.395円)を上抜けした他、一目均衡表転換線(7.428円)や一目均衡表基準線(7.430円)の突破にも成功しました。テクニカル的にみて、南アフリカランド・円相場の地合いが「弱気」から「中立」へ変化した可能性が考えられます。とはいえ、@南アフリカにおける景気後退リスク(リセッション入り)の高まりや、A国営電力会社エスコムを巡る負債問題、B政府による中銀への干渉を受けた南アフリカ中銀(SARB)の独立性に対する疑念、C根強い利下げ観測、Dラマポーザ大統領の政治献金問題、E米中貿易摩擦の激化を背景に、南アフリカの最大の貿易相手国である中国の景気下触れ懸念が強まっていることなど、ファンダメンタルズ的な不安要素を考慮すれば、南アフリカランドの上値余地は乏しいでしょう。
来週木曜日(6/27)に予定されている南ア5月生産者物価指数が市場予想を下回った場合、「インフレ鈍化→政府によるSARBへの利下げ圧力の高まり」を通じて、次回7/18に予定されている南アフリカ準備(SARB)銀行理事会での「利下げ」が急速に織り込まれる可能性もあります。事実、クガニャゴSARB(南ア準備銀行)総裁は先週、「利下げの可能性」を示唆する発言を行いました。足元では、欧米を始め主要先進国のハト派化を受けて、相対的に金利の高い南アフリカランドに資金流入する動きが見られていますが、7/18の理事会が近づくに連れて、SARBの利下げを見越した南アフリカランド売りが再開すると考えられることから、こうした動きは長期化しないと予想されます。大阪サミットで予定されている米中首脳会談を前に最大の貿易相手国である中国を巡る先行き不透明感もくすぶる中で、来週は、南アフリカランド・円相場の反落リスクを警戒いたします。(来週の予想レンジ ZARJPY 7.150ー7.650)
ランド円日足
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