ユーロ週報 上値の重たい展開が続きやすい(3月第4週)

先週のユーロは、週初からFOMC直後までに上げた値幅を全て失い、さらに下押しする一週間となりました。

ユーロ週報 上値の重たい展開が続きやすい(3月第4週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、FOMCのハト派な結果からドル売り・ユーロ買い、EUサミット後はポンド売りとともにユーロ売り、金曜はユーロ圏PMIをきっかけとしたユーロ売りと、週初からFOMC直後までに上げた値幅を全て失い、さらに下押しする一週間となりました。FOMCでの上げはEUサミットの下げで帳消しとなった感じですが、金曜のPMIが思いのほかユーロ売りに繋がった印象です。

今週もユーロ圏の経済指標、またECB関係者の講演が多いのですが、既にFOMCに先立って前回のECB理事会でハト派な結果を示していますので、サプライズは無いと考えられます。ユーロ安に反応しやすい材料であれば一時的に売り材料とされるといった程度にとどまると考えられます。

それ以上に気になるのは、やはりブレグジット問題です。今週金曜29日は英国の当初離脱期限ですが、EUサミットにおいて4月12日までに修正案で合意するか、合意なき離脱を選ぶかを迫られています。4月12日までに修正案で合意できるかどうか、時間との戦いとなってきましたが、それに先立って今週3回目の採決が行われる予定です。仮に合意されれば離脱期限が5月22日まで延期されますが、これまでの経緯を考えると3度目も否決される可能性は高く、そうなると4月12日に合意無き離脱となります。

また英国議会のサイトには離脱撤回の嘆願書が100万人以上から集まり、10万人を超える嘆願の場合には議会での議論対象となるため、こちらもどうなるか、ただ国民投票で離脱が決まった際、離脱希望の票数1741万票(残留希望は1614万票)に比べれば少数であり、野党が再国民投票の材料として使う程度かと思われます。

今のところ英国議会における採決日程は不明ですが、今回も否決されメイ首相が英国議会での合意を諦めた場合には総選挙の可能性もあり、そうなると欧州議会選にも参加し、と現実的にはEU残留と同じようなことになることもあり得ます。EU側の言う、より長期のという言葉にはそうした想定外のことを想定したものと考えて良いのでしょうが、その場合には今の嘆願の状況などから考え離脱が撤回されるということも起こりえます。

今週の英国議会の採決がどうなるのか、そして否決された場合にどうなるのか、英国にとってはもちろんですが、欧州にとっても大きな節目を迎える半月と言えることは間違いありません。そして、ポンドもユーロもそれに左右されるであろうとしか言えないのも事実です。今週はそういう状況下を考え、テクニカルな観点だけからユーロについて見てみることとします。

日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

この日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

年初来高値と1月末高値を結んだレジスタンスラインはFOMC後の上げで上抜けましたが、その後の下げで上抜けを否定されるチャートとなっています。この場合、少なくとも下げのターゲットは3月安値1.1176と3月高値1.1448の押し(赤のターゲット)を考えますが、先週の安値は61.8%押しの水準とも重なり、いったん下げ止まりやすいところです。しかし、すぐ下には78.6%(61.8%の平方根)押しの1.1235もあり現行水準から考えると、この1.1235が目先の下値目途となってきそうです。

一方、上値は値幅計算では決めにくいものの、FOMCで上げる前の水準が1.13台半ばとなっていますので、同水準では売りたい向きも残っているであろうと考えられます。今週のユーロドルは、1.1230レベルをサポートに1.1350レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

今週のコラム

先週金曜のユーロ圏PMIがきっかけとなり、ユーロ円もこれまでの上昇トレンドを下抜けてきました。タイミング的にはドル円と似ていますが、欧州を取り囲む材料を考えると、本来はドル円以上にユーロ円のほうが上値は重たくなりやすいと言えます。

今週はユーロ円の日足チャートを見てみます。

今週のコラム

これまで、ユーロ円は1月3日にフラッシュクラッシュ翌日からのサポートラインとそれに平行なラインとで構成される上昇チャンネル(ピンク)の中での推移を続けていましたが、金曜の下げでこのチャンネルを下抜けしました。

また2月から3月にかけてのサポートとなっていた124円台前半(ピンクの太い水平線)も下抜けテクニカルには一段安を考える状況となってきたと言えます。ここで年初来安値119.06と年初来高値127.50のフィボナッチ・リトレースメント(赤のターゲット)を見ると、半値押しが123.28、61.8%押しは122.28となっています。目先は前者を、その後は後者の122円台前半をターゲットとしやすい流れと見ておきましょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

3月25日(月)
18:00 ドイツ3月ifo企業景況感


3月26日(火)
16:00 ドイツ4月GFK消費者信頼感
16:45 フランス3月企業景況感
16:45 フランス10〜12月期GDP確報値


3月27日(水)
16:45 フランス3月消費者信頼感
16:45 フランス2月PPI
17:00 ドラギECB総裁講演
17:00 オーストリア中銀総裁講演
17:45 プラートECB理事講演
19:00 ラウテンシュレーガーECB理事講演
19:45 デギンドスECB副総裁講演
21:30 米国1月貿易収支
22:30 メルシュECB理事講演

3月28日(木)
18:10 デギンドスECB副総裁講演
19:00 ユーロ圏3月消費者信頼感
22:00 ドイツ3月CPI速報値


3月29日(金)
09:01 英国3月GFK消費者信頼感
16:45 フランス3月CPI速報値
17:55 ドイツ3月失業率
18:30 英国10〜12月期GDP改定値
19:00 ユーロ圏3月CPI速報値


3月31日(日)
 **:** 欧州と英国が夏時間移行

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月18日(月)
ユーロドルは、これまでのユーロ買いの流れを継続してNYの朝方には1.1359レベルの高値をつけました。その後、日計り組の利食い売りが出はじめたところで、英国下院議長の今までと同じ内容ならば離脱修正案の採決をしないとの発言が重なり、いったん東京前場の水準へと下押ししました。引けにかけては若干戻しての引けとなりました。


3月19日(火)
ユーロドルはドル売り・ユーロ買いが先行し、欧州市場では前日高値を若干上回る動きとなりました。NY市場では高値圏でもみあいのまま引けましたが、EUサミットにおけるブレグジット問題の行方を警戒し、わずか27pipsと値幅も狭く様子見の展開となりました。


3月20日(水)
FOMCでは成長見通しを下方修正、2019年の利上げなし、9月でバランスシート縮小終了と予想以上にハト派な内容。その結果を受け、長期金利が下がったことからドル全面安となりユーロドルはユーロ買いの動きが強まり1.1448レベルの高値をつけ、高値圏での引けとなりました。

3月21日(木)
ユーロドルは、注目のEUサミットでEU側が英国の離脱期限延期を却下、大幅に短縮し4月12日までに修正案で合意するか、合意なき離脱を選ぶかを迫りました。これは5月23日の欧州議会選に参加することはEUに残ることとなり矛盾するという点が大きかったようでした。EUの却下を受けポンドは急落、ユーロもその煽りを受け1.1343レベルまで下押ししましたが、引けにかけてはポンドの買い戻しとともに1.13台後半を回復しました。


3月22日(金)
ユーロドルは、東京市場では前日の下げの調整から若干買いが先行していましたが、欧州市場に入りユーロ圏のサービス業PMI速報値が予想より弱かったことから欧州株安となりユーロも下落、その後はリスクオフの動きからユーロ円が大幅安となったことで、上値を抑えられる格好でNYの昼前には1.1274レベルまで水準を下げて、引けにかけてはやや戻しての週末クローズとなりました。

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