トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、下降チャンネル内での動きを考え「20.50レベルをサポートに、20.95レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が20.69レベル、高値が20.97レベルと予想よりも狭いレンジではあったものの方向性は正しかったようです。
先週のトルコリラ円は、米中通商協議が最終合意に近づいているとの思惑から週初はドル円が上昇した動きを受け、底堅いスタートとなりました。その後は上値が重たいながらもドル円、ドルトルコリラともにドルの動きが中心となったことで方向感がはっきりしないもみあいを続けていました。3月末の地方選に向けて徐々にエルドアン大統領率いる与党AKPの動きも出始めましたが、選挙自体は3月31日とまだ期間があるため、相場の材料にはしにくい様子でした。
そうした中で、エルドアン大統領は2日地方選のための遊説中にインフレ率は6〜7%になるとの見方を示しましたが、具体的な方策を示したわけでもなく単に表稼ぎのためのプロパガンダであるとの見方でよさそうです。そして、今週は本日2月CPI、6日にトルコ中銀の政策金利発表があります。CPIは前回よりも低下し20%を割り込むとの予想となっていますが、この程度で中銀が動くことは考えられず、政策金利自体は現状維持がコンセンサスです。
ただ、トルコ中銀は16日に預金準備率を引き下げ、実質的にはこれまでの緩和をやや後退させたイメージはありますが、中銀の声明では金融政策の変更を示さないとのことですから、このことも今回の会合での変更は無いだろうと見る要因となっています。しかし、地方選に向けエルドアン大統領がCPIについて発言していることもあり、来月以降どうなるかについては中銀の声明に変化が見られないかどうか要チェックであるとは思います。
他には目立った材料がありませんので、今週も基本はもみあい、テクニカルには上値が重たいという先週の流れは継続すると見ていますが、今朝のブルームバーグに興味深い記事が載っていました。カナダのTD(トロント・ドミニオン)証券の調査レポートにおいて、トルコリラが9月末までに40%下落するとの分析がされているというものです。同レポートにおいて、トルコ中銀は今後も利上げをせざるを得ない状況に追い込まれると、市場の見方とは全く逆の見方をしています。
たぶんにポジショントークも含まれていそうな感じはするのですが「1つの危機から次の危機へと向かうのがリラの典型的なパターンで、現在は危機と危機の間の一時的な落ち着きにある」との見方は同意できるものがあります。
過去10年程度のトルコリラの動きを見ると顕著なので月足チャートをご覧ください。
ドルトルコ月足
1年を四角で囲んでありますが、2008年初には1.14台だったドルトルコリラは、昨年2018年には一時7.20台となんと6万pips以上!もの通貨安を演じています。そして、その間一時的なトルコリラ高を挟みながらも確実にリラ安の道を歩んでいます。おそらくTD証券の見方もベースはこうした超長期の動きに基づいていると考えられますが、テクニカルにはさすがに昨年のドル高値・リラ安値は伸び過ぎた感があり、今年超えることは難しいのではないかという印象です。
ただ、皆がトルコリラの安定とCPI低下による将来的な金融政策の緩和転換を考えているというのも注意が必要かなという点で、あまり楽観的になることに対して注意を促しているレポートと考えるとちょうど良いかもしれません。
それでは、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
ドルトルコ四時間足
中銀のサプライズが無ければ、今週はピンクの下降チャンネルの中でのじり安傾向を続けやすいでしょうから、20.60レベルをサポートに20.95レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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実際のレンジは安値が20.68レベル、高値が20.99レベルと予想よりやや低い水準かつ狭い値幅での取引となりました。
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