ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、レンジでの取引を継続しやすいと考えもみあい「7.65レベルをサポートに、大台8.00をレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.59レベル、高値が7.96レベルと予想レンジより若干低いレートの一週間となりました。
先週のランド円は、週前半は高値圏で比較的静かなもみあいを続けていましたが、24日に新財務相から南アフリカの予算に関する演説が行われ、これをきっかけにランド売りの動きとなりました。新財務相のムボウェニ氏は元中銀総裁ということで市場からの信認はあるのですが、同氏が南アフリカの予算について財政赤字が拡大する方向を示したことがランド売りの動きとなりました。特に対ドルでのランド安が目立ちました。
これは、いったん見送られたムーディーズの格付けに対して悪影響を及ぼす可能性があるという思惑によるものですが、現状では引き下げ回避がコンセンサスではあるものの、予算演説後に別の格付け会社フィッチが南アフリカの経済成長に対して否定的な見通しを示しています。ムーディーズがどのように判断するかはまだわかりませんが、今までよりは若干引き下げリスクが高まっているような感じです。
今週は、南アフリカの材料としては失業率と貿易収支がありますが、弱い数字により反応しやすいと言えるでしょう。また先週は世界的に株価が下げる動きとなり、ドル円も円高の動きとなっていたことを考えると、先週後半の下げは驚くほどではないでしょう。引き続きダウも含めて株式市場には弱気ムードが漂っていますので、リスクオフによる一段の円高の動きが出てくるのかどうか、また最大の貿易国である中国の株価と景気動向も気になるところです。
今週ではありませんが、来週6日は米国中間選挙です。現状は民主党が優勢ではあるもののラストスパートに向けてトランプ大統領が通商問題に関して中国にせよ日本にせよ何か言ってくる可能性は否定できません。実際に週末には円相場への影響は見られなかったものの日本車の関税について言及しています。金曜には米国雇用統計と同時に米国の貿易収支も発表されますので、円に関しては円高方向の動きにより注意が必要と言えるでしょう。
ちなみに中国の株価指数とドルランドを比較すると方向性は同じ(下げ)であるものの、日々の動きとしてはそれほど相関が高いわけではありません。中国の代表的な株価指数である上海総合株価指数とドルランドを比較してみましょう。
上段が上海総合の日足、下段がドルランドの日足です。下段のランド安は上方向がランド安となりますので、上段の上海総合を上下反転させて表示したのが赤のラインです。大きな方向性はどちらも下げということはわかりますが、中国の景気鈍化懸念による株安と、南アの国内要因によるランド安とこうして見ると要因は別で単に最大の貿易国という先入観がムスにつけている可能性も否定できず、あまり中国株とランドの動きは結び付けない方がよいような気がしました。
それでは、いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)もご覧ください。
ランド円、ドルランド、ドル円 四時間足
下げてはいますが、それでも3週前の安値7.51には届いていません。しかし今後の動き次第では次のターゲット兼サポートとされやすい水準です。いっぽうで上値に関しては予算の演説が行われる前の安値がここ3週間のレンジの半値と重なっています。同水準では上値が重たくなってくると考えられます。今週のランド円は、戻り売りが入りやすい週を考え7.75レベルをレジスタンスに、7.50レベルをサポートする週を見ておきます。
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