豪州中銀総裁の下院・経済委員会での証言
豪州準備銀行のロウ総裁は豪州下院の経済委員会で以下内容の証言を行いました。
注:豪州中銀HP記載の証言要旨を概略し、和訳したものであり、詳細はHPの本文をお読みください。
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前回の証言以降、豪州経済は正しい方向に進んでいる。
直近のデータではGDPは3.1%、インフレは2%前後、失業率は5.5%以下になっている。
インフレは目標水準に向かい、より制御できると思っている。
企業状態はポジティブで、非鉱山関連投資は上昇の過程にいる。公共インフラ整備も経済を下支えている。資源輸出も拡大。
大きな懸念の1つは東部豪州の干ばつである。幾つかの農産物価格は上昇している。
世界経済はポジティブで、先進国の成長はトレンド以上の早い拡大を続けている。
現状は幾つかの不確実性がでてきている。
その1つ目は世界貿易の緊張である。
世界的拡大の路線から脱線しないと思われるが、幾つかの国で企業投資が遅れ始めている。もしこれが顕在化すれば、世界経済のポジティブな状況には打撃を受けるだろう。
2つ目の不確実性は米国のインフレが予想以上に大きくなる可能性である。
米国経済はかなりの財政刺激策を実施した。同時に、金融市場はインフレのもたらすものに、まだゆったりと構えている。もし、この刺激策により、高水準の稼働率を越えるような事が起き、更に現状の予想を超える引き締めがあった場合に問題が起きる可能性がある。
3つ目の不確実性は、国独自に根ざした構造的な問題などを抱えている国である。
例えば、アルゼンチン、ブラジル、イタリア、そしてトルコなどである。
4つ目はCPIインフレの動向である。
現在は2.1%でここ2〜3年では高い水準にある。しかし中期的な平均の伸び以下である。小売業界の強い価格競争力により、商品価格の下げ圧力や賃金上げの下方圧力になっている。
国内では住宅市場と家計債務の問題がある。
更に国内で賃金の伸びが緩やかであることが中銀の金融政策委員会で注目している。もし賃金の上げがあれば、いくつかの面で歓迎すべき事態がある。インフレ目標の中間値に近付く動きとなり、家計債務問題も緩和される。それにより政府の財政にも恩恵がある。
但し、賃金の伸びは今後も伸びていくと予想している。まだ稼働率に上昇余地があり、パートタイム労働者の労働時間が増えていることなどがある。
御承知の通り、2016年8月以降、中銀は政策金利を1.5%のまま据え置いている。
この措置で経済成長を下支え、失業率低下やインフレは中間目標値に向けた動きに繋がっている。
金融政策で強調したいことは、まず第1に正しい方向に行っていることである。我々は完全雇用やインフレ目標値中間に辿りつくように進展している。
第2に、もしこの進展が続いていけば、次の金利の動きは上げである。中銀のシナリオ通りに最近の動きは辿っているが、もしこの動きが続けば、次の金融政策は利上げの方向で、利下げではない。前回の上げは2010年末が最後だった。もしこれが起きれば、多くの人には劇的な変化になるだろう。
第3は、この進展が緩やかになった場合である。この見込みでは近々に金利調整を行う強いケースにはならないことである。
委員会はおそらく、暫くの間経済は安定的と予想している。我々はベンチマークに置いている指標が明らかに改善していると解るまで現行の金融スタンスを維持することにしている。
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以下、中銀の債券発行などの関連証言は略します
(2018年8月17日13:00、1豪ドル=0.7269米ドル)
オーダー/ポジション状況
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