主役はドル円、ユーロはもみあい(週報7月第3週)

先週のユーロドルは、週初から全体的なドル高の流れに沿って週末に向けてじり安の展開を辿りました。

主役はドル円、ユーロはもみあい(週報7月第3週)

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、週初から全体的なドル高の流れに沿って週末に向けてじり安の展開を辿りました。月曜にはそれまでのユーロ高の流れを継続して1.18近い水準にまで買いが出たものの、その後は連日じりじりと水準を下げ、金曜には1.16台前半にまで水準を切り下げました。大きな動きとしては、それまでのユーロ高に調整の売りが入ったという流れです。

ユーロの材料的には好悪双方あったと思いますが、ドル高の影響が大きかったこととなります。ユーロ円に至っては週初から押しを挟みながらも129円台半ばの安値から金曜には131円台半ばまで水準を切り上げていますので、それだけドル円におけるドル高・円安の勢いが強く、ドル円主導のドル高相場になっていたことがわかります。ドル円は週報にも書いた通り、2015年からのレジスタンスを上抜けするという長期的なトレンド転換と考えざるを得ない動きをしましたので、それが周辺のドル相場にも影響したことになります。

今週はユーロもテクニカルな観点から分析を加えることとします。いつものユーロドルの日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

ユーロドル日足

*日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

6月下旬からのユーロ高相場折り返したことで、現状では5月中旬高値と7月高値とを結んだレジスタンスラインが引けることとなりました。いっぽうで、サポートラインは強くは無いものの6月後半の安値2点を結んだラインによるラインが引けます。こうして見ると6月以降はそれまでの大幅安に対する踊り場としてトライアングルを形成していることがわかります。

これはドル円の月足チャートでも出てきたパターンですが、基本はそれまでのトレンドに対する調整として改めてトレンド再開に繋がりやすいコンティニュエイション(継続)パターンとなっています。つまり、今後6月安値を改めて下抜ける動きが出てきた場合にはそれまでのユーロ安相場を継続しやすい流れになると考えられます。

ただ、現状ではトライアングルのもちあいとなっているため、短期的には上下ともに値動きが限定的となるもみあい相場の段階と言えるでしょう。現在、上下のラインはそれぞれ、1.1600レベルと1.1750レベルに位置しています。今週の上下のレンジもこれらの水準で考えておくとよさそうです。

今週のコラム

ドル円の上昇とともにクロス円もリスクオンの買いという一週間になりましたが、ユーロ円も上昇を続け131円台乗せとなってきました。ユーロ円もテクニカルな観点からのみ見たいと思いますので、日足チャートをご覧ください。

今週のコラム

週初からいきなりピンクのレジスタンス(2月高値と4月高値を結んだライン)を上抜け、力強い上昇相場となりました。4月高値と5月安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しが、131.59とほぼ現在の高値圏と一致しているため、いったんは調整相場入りしやすいのですが、ユーロドルはもみあいでもドル円がいまだ高値追いをしやすいことを考えると、ユーロ円は底堅い動きを続けやすいと考えざるを得ません。

5月安値と6月高値、その後の安値を3点とするN波動を考えると100%エクスパンションが132.38、つまり132円台前半から半ばをターゲットとしやすい流れにあると言えるでしょう。ドル円の動き次第では4月高値の133円台半ばも視野に入れる可能性があります。

今週はドル円の週報もユーロ円の週報もテクニカルな観点だけで書きましたが、ドル円の長期レジスタンス上抜けは、正直なところ想定外でした。こういう時には、もっとも冷静に客観的な判断を下せるテクニカルだけで行った方が皆さんのためにニュートラルな意見を示せるだろうと思ったためです。内心は、いまだに今回の円安相場を疑っている自分がいます・・

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

7月16日(月)
**:** 東京市場休場
08:01 英国7月住宅価格
18:00 ユーロ圏5月貿易収支

7月17日(火)
17:00 英中銀総裁講演
17:30 英国6月失業率
22:15 米国6月鉱工業生産、設備稼働率
23:00 パウエルFRB議長上院議会証言

7月18日(水)
17:30 英国6月CPI、PPI
18:00 ユーロ圏6月CPI改定値
18:00 ユーロ圏5月建設支出
23:00 パウエルFRB議長下院議会証言
27:00 ベージュブック

7月19日(木)
17:30 英国6月小売売上高

7月20日(金)
15:00 ドイツ6月PPI
17:00 ユーロ圏5月経常収支

7月21日(土)
 **:** G20(〜22日)

前週のユーロレンジ

        始値  高値  安値  終値

ユーロドル 1.1752 1.1790 1.1613 1.1685
ユーロ円  129.78 131.53 129.69 131.31

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週のユーロ

7月9日(月)
 ユーロドルは前日の流れを受けて買いが先行し、NY朝方には1.1790レベルまで水準を切り上げました。英国閣僚がEU離脱相に続いて外相も辞任と伝えられるとポンドが急落し、ポンドの下げがユーロにも波及、引けにかけては1.1750レベルへと押して引けました。

7月10日(火)
ユーロドルは、東京市場では動きは見られなかったものの、欧州市場に入り発表された経済指標が弱かったことをきっかけにユーロ売りの動きに。その後はドル円のドル高の動きも手伝って1.1690レベルの安値をつけました。しかしNY市場ではダウが強かったことからユーロ円の買いも目立ち、ユーロドルは売られる前の水準へと戻して引けました。

7月11日(水)
ユーロドルは、NY市場まではドル高の流れの影響を受けユーロじり安の動きでNY市場入りとなりました。しかし、ECB理事会内部で早期利上げを考えるメンバーもいて意見が割れているとのニュースに一時1.1758レベルまで急騰。その後はドル円とともにドル買いの動きへ戻り1.1666レベルまで反落し、そのまま安値圏での引けとなりました。

7月12日(木)
ユーロドルは、ドル円同様にドル買いの動きとリスクオンによるユーロ円の買いの動きとで相殺する一日となりました。欧州市場では一時的に下押しする場面もありましたが、すぐにレンジへと戻し一日の値幅も1.16台後半を中心として50pips弱にとどまって方向感のはっきりしない一日となりました。

7月13日(金)
 ユーロドルは、ドル円同様に欧州市場序盤まではドル高の動きからユーロ売りが先行しました。ブレグジット に関連してメイ政権が示した方向性については業界によって賛否分かれていたものの、為替市場は素直にポンド売りで反応したこともユーロの上値を重くする要因となりました。しかし1.1613レベルの安値を見た後は週末前の買い戻しも出て1.1688レベルまで上昇し高値引けの週末となりました。

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