ランド円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、ランド円は緩やかな下げを継続すると考え「8.05レベルをサポートに8.40レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.88レベル、高値が8.25レベルと、週初からランド売りが先行し上値を試すことなくあっさりと8円の大台をも割り込む展開となりました。その後、週央からは買い戻しも出て週初の水準に戻して引けました。
先週のランドは、週初に大きく下げる展開となりましたが、主要因は米国による対中貿易摩擦が世界的に懸念材料となっていることによるリスクオフの煽りを受けたと言ってよいかと思います。もちろん国内電力会社のストライキ問題といったニュースもありましたが、ドル円やクロス円と下げる時間帯が一致していることから、リスクオフの円買いがあったこと、またもうひとつの問題としては今後の米国の引き締めもあります。
特に週前半の下げは、ドルランドにおいてもランド売りが見られましたが、これは南アフリカの貿易相手において輸出入ともに中国が1位となっている影響が大きいからです。日本語の資料としてはジェトロのサイトに毎年の南アフリカ共和国の概要が掲載されていますので、そちらを見ていただくと良いと思います。ちなみに2017年の概要は以下のレポートにまとめられていますので、目を通しておくことをおすすめします。
ジェトロ(南アフリカ共和国)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/gtir/2017/56.pdf
上記レポートでは、2016年度の数字として中国への輸出が全体の8.8%で第1位、輸入が同18.2%で第1位と、それぞれ第2位のドイツに比べ安定的に第1位となっています。先週の段階では、米国は中国への更なる追加関税として2000億ドル規模の報復調査をUSTRに指示しましたが、今朝のWSJでは中国による対米投資に対する制限に言及していて、母液戦争だけでなく、一歩間違うと全面的な経済戦争へと突入する懸念さえ出てきました。
そうなると、中国の景気に与える影響が南アフリカにも影響しと、これまでのラマポーザ大統領への期待?落から現実に目が向く中、さらなる悪材料となる可能性があります。先のG7財務相会議でもG7サミットでも米国を除いたG6が一致して米国の保護主義に対して反対している大きな理由は、自分たちの問題にとどまらず世界的な問題へと波及していくリスクを懸念していることも大きいわけです。
ましてや米国は年内にあと2回、来年前半にも1〜2回の利上げを想定していますので、米国の引き締め局面での悪材料として、新興国通貨危機を招く潜在的なリスクも考量していると言えそうです。
さて、今週の南アフリカですが、経済指標では28日にPPI、29日に貿易収支があります。先週発表されたCPIはコンセンサスとは逆に低下と南アフリカにとっては改善方向の数字が出ましたが、単月の数字では判断しかねる面もあり、今週のPPIも注目される可能性はあるでしょう。また貿易収支も米中貿易摩擦が悪化する中で数字によってはランド売り懸念へとつながるリスクはあります。
次にテクニカルな点ですが、先週はドルランドこそ高値13.9147と14の大台乗せはありませんでしたが、ランド円は一時7.88円と昨年11月以来の安値をつけました。ただテクニカルには8円の大台を割っても昨年11月安値7.78を割り込まない限りにおいては、調整の範囲内と見ることも出来ます。
週足チャートをご覧ください。
ランド円週足
ランド円の最安値は2016年6月につけた6.42、そしてその後の高値はラマポーザ大統領期待によるところが大きいのですが、今年2月の9.29です。この半値が7.86(赤のターゲット)となっていてまさに先週安値とほぼ一致していることがわかります。テクニカルにはちょうどいい調整が入ったとも言えるわけです。しかし、11月安値をも割り込んで来ると2年近くかけての反転パターンのネックラインを割り込むこととなり、更なるランド安懸念がテクニカルには湧いてくることとなります。先週は反発しましたが、今後も11月安値7.78を明確に割り込むような動きには相当な注意が必要でしょう。
いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)も見てみましょう。
ランド円、ドルランド、ドル円四時間足
上下しながらも着実な下げトレンドを続けていますが、2〜3週前の安値圏となっていた8.25レベル(青の水平線)が、現状では上値を抑えられやすい水準となっています。また下値はいったん8円の大台を割り込んで反発したことから今週は8円の大台がサポートとなりやすいと言えるでしょう。11月安値をトライするリスクは残るものの、今週は8.00円の大台をサポートに8.25レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
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