『良好な南ア経済指標を背景に約1ヵ月ぶり高値圏へと急上昇』
〇今週の南ア円、週初の安値8.29から週後半にかけ8.65まで急伸、8.57前後で推移
〇日銀による年内追加利上げ観測の後退からのドル円急伸、南ア指標好調、インフレ鈍化傾向等が背景
〇南ア円、主要テクニカルポイント軒並み上抜け、強い買いシグナルも成立、地合い好転
〇ファンダメンタルズも南ア、中国の経済復調期待等がサポート
〇目先は上記テクニカル的な強さと、ファンダメンタルズ的な強さを材料に上値余地を探る展開か
〇南アランド円相場の見通しをベア(弱気)からブル(強気)へと変更
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.45ー8.75
今週のレビュー(12/9−12/13)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.32円で寄り付いた後、早々に週間安値8.29円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)中国共産党指導部による「2025年に金融緩和と財政支出の拡大を進める」との方針発表(中国共産党・中央政治局は来年の金融政策について、従来の「穏健」から「適度に緩和」に変更した他、財政政策についても、従来の「積極的」から「より積極的」へと方針転換)や、(2)上記1を背景とした中国経済の復調期待(経済的な結び付きの強い南アフリカ経済にとってもポジティブ要因)、(3)日銀による年内追加利上げ観測の後退(対主要通貨で円売り再開→ドル円急伸→南アランド円連れ高)、
(4)南ア11月SACCI景況感指数(結果118.1、前回110.2)の良好な結果、(5)南ア10月製造業生産(結果+0.8%、予想+0.3%)の市場予想を上回る結果、(6)南ア10月小売売上高(結果+6.3%、予想+2.0%)の市場予想を上回る結果、(7)南ア11月消費者物価指数(結果+2.9%、予想+3.1%)の市場予想を下回る結果、(8)南ア11月消費者物価コア指数(結果+3.7%、予想+3.8%)の市場予想を下回る結果、(9)南ア10ー12月期BER期待インフレ率(結果+4.6%、前回+5.1%)の伸び率鈍化、(10)南ア11月生産者物価指数(結果▲0.1%、予想+0.2%)の市場予想を下回る結果、(11)上記7ー10を背景とした南ア中銀による追加利下げ観測(南ア経済の下支え要因)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値8.65円まで急伸しました(対ドル相場も11/11以来となる約1カ月ぶり高値圏へと急上昇)。
週末にかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/14午前0時20分現在)では、8.57円前後で推移しております。
来週の見通し(12/16−12/20)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、12/2に記録した約2ヵ月半ぶり安値8.18円(9/20以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、一時8.65円(11/11以来の高値圏)まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南ア経済の復調期待(今週発表された南ア経済指標は総じて良好な結果。CPI・PPIの低下が進んでいることも南ア中銀の追加利下げ観測を通じて南ア経済を下支え)や、(2)経済的な結び付きの強い中国経済の回復期待(中国共産党指導部は今週、2025年に金融緩和と財政支出の拡大を進める方針を発表→南ア経済の押し上げ要因)、(3)円キャリートレードの再開期待(日銀による年内利上げ見送り観測を背景に日本円と南アランドの金利差に着目した円キャリートレード再開)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。
トランプ次期政権下での関税リスク(来年9月末に有効期限を迎えるAGOAから南アフリカが除外されるリスク)や、西側諸国との関係悪化リスクなど、幾つかの懸念要因は残っているものの、目先は上記テクニカル的な強さと、ファンダメンタルズ的な強さを材料に上値余地を探る展開(11/7に記録した直近高値8.86円への全値戻しを試す展開)が続くと予想されます。以上を踏まえ、当方では南アランド円相場の見通しを、これまで掲げていたベア(弱気)からブル(強気)へと変更いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.45ー8.75
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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