『トルコ経済のリセッション入りを嫌気する形で約1カ月半ぶり安値圏へ下落』
〇今週のトルコ円、週初4.50まで上昇後、週末にかけ4.30まで急落
〇ドル円急落、トルコ国内指標の悪化とリセッション入り等が重石
〇トルコ円、主要テクニカルポイント下抜け、買いシグナルが消失、地合い悪化
〇ファンダメンタルズはトルコへの資金流入期待、トルコ中銀利下げ後ずれ観測等がサポート
〇引き続き、トルコリラ円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.20ー4.50
今週のレビュー(11/25−11/29)
今週のトルコリラ円相場は、週初4.48円で寄り付いた後、(1)一部メディアによる「イスラエルとヒズボラの停戦合意が近づいている」との観測報道や、(2)次期財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏による「自身の政策上の優先事項はトランプ大統領のさまざまな減税公約を実行すること」「世界の準備通貨としてのドルの地位を維持する」との見解発表(ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)、(3)トルコ11月設備稼働率(結果76.1%、前回74.9%)の良好な結果、(4)トルコ11月景気動向指数(結果103.4、前回102.2)の良好な結果が支えとなり、週明け早々に、週間高値4.50円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)ドル円相場の大幅下落(トランプ次期政権による関税引き上げリスクと米感謝祭前のポジション調整を引き金にドル円急落→トルコリラ円連れ安)や、(6)テクニカル的な地合いの悪化、(7)短期筋のロスカット(円キャリートレードの巻き戻し)、(8)トルコ11月経済信頼感(結果97.1、前回98.0)の冴えない結果、(9)トルコ10月貿易収支(結果59.1億ドル赤字、予想57.0億ドル赤字)の市場予想を下回る結果、(10)トルコ7ー9月期GDP(結果+2.1%、予想+2.5%)の市場予想を下回る結果(2四半期連続マイナス成長→トルコ経済がリセッション入り)が重石となり、週末にかけて、週間安値4.30円(10/8以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/30午前5時40分現在)では、4.31円前後で推移しております。
来週の見通し(12/2−12/6)
トルコリラの対円相場は、11/15に記録した約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約1ヵ月半ぶり安値となる4.30円(10/8以来の安値圏)まで急落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、90日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けしたことや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」が消失したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの悪化を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)外国人投資家によるトルコアセットへの資金流入期待(格付会社S&Pは11/1にトルコの長期ソブリン債格付けの引き上げを決定済み)や、(2)トルコ中銀による利下げ開始時期の後ずれ観測(インフレ加速を背景に、トルコ中銀による利下げ開始時期は来年以降にずれ込む公算大→トルコ中銀カラハン総裁は11/27に金融引き締めスタンスの継続を強調)、(3)円キャリートレードの継続期待(トルコリラと日本円の金利差に着目した根強いリラ買い・円売り圧力)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
来週予定されているトルコ11月イスタンブール製造業PMIが市場予想を上回る場合や、インフレ指標(トルコ11月消費者物価指数、トルコ11月生産者物価指数)が伸び率加速を示す場合には、トルコリラに強い上昇圧力が加わるシナリオも想定されるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想いたします(ここ最近はトルコリラ円相場とドル円相場の連動性が高まっているため、来週はドル円相場の上昇に連れる形でトルコリラ円相場が持ち直すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.20ー4.50
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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