ドル高リラ安続く中でドル円の反落により4.40円割れへ失速
〇先週のトルコ円、世界連鎖株安後のドル円反騰追いかけ、8/15に4.44まで高値伸ばす
〇8/16夜のドル円失速でトルコ円も史上最安値更新、8/17早朝は4.38へ下落
〇日米の金融政策姿勢、8/23日銀総裁発言とジャクソンホール会合でのFRB議長講演に注目
〇円高再燃の場合、トルコ円も8/5安値4.24へ往って来いとなる可能性に注意
〇8/20トルコ中銀政策会合で先行きの利下げに含みを示された場合、リラ売りのきっかけとなるか
〇対ドル、8/16は概ね33.84から33.45の取引レンジ、取引時間中及び終値の史上最安値更新
〇4.41を下回るうちは一段安余地ありとし、4.40以下での推移が続くうちは安値試しも続きやすい
〇4.41超えからは4.42から4.44を試すとみる
【概況】
トルコリラ円の8月16日は概ね4.44円から4.38円の取引レンジ、17日早朝の終値は4.38円で前日終値の4.43円から0.05円の円高リラ安だった。
ドル円が7月3日高値161.94円から8月5日安値141.69円まで大幅下落する中でトルコリラ円もドル円の急落を追いかけて7月3日安値4.99円から8月5日安値4.24円へ史上最安値を更新し、その後は世界連鎖型の株安が落ち着いてドル円が反騰入りした流れを追いかけて徐々に戻り高値を切り上げてきた。しかし15日夜に4.44円まで高値を伸ばしたもののドル円が16日夜にかけて失速してドル/トルコリラも史上最安値を更新したために17日早朝にかけての下落で4.40円を割り込み4.38円へ下落して取引を終えた。
日足は8月15日の陽線による上昇幅を同規模の陰線で解消、週間では8月9日終値4.38円と同値となり8月15日高値からの反落で「往って来い」に終わった。
【株高再開で38%戻し、日米の金融政策姿勢に変化は?】
8月2日の米7月雇用統計が予想を下回ったことをきっかけとした世界連鎖株安が落ち着き、直近の米経済指標が良好だったことでNYダウや日経平均はV字反騰で8月2日以降の下げ幅を解消し、ドル円も8月2日(高値149.76円)以降の下げ幅をほぼ解消したものの、7月31日の日銀利上げによる7月30日高値155.21円からの下げ幅13.52円に対して8月15日高値149.38円までの戻り幅は7.69円で6割弱の戻りに留まっている。
米国の9月利下げについては0.50%の大幅利下げにはならないとしても0.25%利下げが想定され年内追加利下げの可能性もある一方で、日銀が金融市場の落ち着きを見て追加利上げを検討する姿勢を示す場合には円高を再開しかねないところでもある。8月23日に植田日銀総裁の参院閉会中審議での発言、ジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長講演に注目が集まる。
ドル/トルコリラが史上最安値を更新する中で円高が再燃するようだとトルコリラ円も8月5日安値4.24円へ往って来いとなる可能性もあると注意したい。今週は8月20日にトルコ中銀金融政策決定会合があり政策金利の週間レポレートは50%で据え置かれると衆目が一致しているが、年後半へのインフレ低下を見込んで先行きの利下げに含みを示すようだとリラ売りのきっかけとなりかねない。
【ドル/トルコリラは取引時間中及び終値の史上最安値更新】
ドル/トルコリラの8月16日は概ね33.84リラから33.45リラの取引レンジ、17日早朝の終値は33.66リラで前日終値の33.60リラから0.06リラのドル高リラ安だった。
世界連鎖株安で金融市場全般が動揺する中でトルコリラも売られて8月6日に33.77リラへ取引時間中の史上最安値を更新し終値33.57リラも終値ベースでの最安値となり、世界連鎖株安が落ち着く中で8月6日の高安レンジ内での推移を続けていたが、8月14日終値33.60リラで終値ベースの最安値更新に入り、16日は8月6日安値を超えて取引時間中の最安値を更新し、終値ベースでも3営業日連続で最安値を更新した。
週間では8月9日終値33.48リラから0.18リラのドル高リラ安で3週連続で取引時間中の史上最安値を更新、週足は4週連続陰線でのドル高リラ安だった。
月間では7月31日終値33.14リラから8月16日終値33.66リラまで0.52リラのドル高リラ安となり3か月連続で取引時間中の最安値を更新、月間足は3か月連続陰線でのドル高リラ安となった。
トルコの金融政策正常化と高インフレ抑制のための金融引き締め、財政再建のための緊縮財政政策、リラの信用を高めるための外貨準備高増強等により海外勢のトルコ投資意欲が徐々に回復しているものの年末にかけてリラ安はまだ続くとの見方を払拭できず積極的なリラ買いには至っていない。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月15日夜の上昇で12日夜高値を超えたために16日午前時点では15日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を15日夜から19日夜にかけての間としたが、4.40円割れを弱気転換注意として4.38円割れからは弱気サイクル入りとした。
8月17日早朝への下落で4.38円まで下げたため、15日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして20日午後から22日夕にかけての間への下落を想定する。目先の上値抵抗線は4.41円までとして4.41円超えからは強気転換注意として15日夜高値4.44円試しとする。
60分足の一目均衡表では8月17日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とし、先行スパンを上抜き返すところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月15日夜の急伸時に70ポイントへ迫ってから30ポイント台へ反落したため、50ポイント前後は戻り売り有利として一段安注意とし、30ポイント割れからは20ポイント台前半への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.37円を下値支持線、4.41円を上値抵抗線とする。
(2)4.41円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.40円以下での推移が続く内は安値試しも続きやすいとみる。4.37円割れからは4.35円、4.33円を順次試して行く下落を想定する。
(3)4.41円超えからは4.42円から4.44円を試すとみるが、4.43円前後は戻り売り有利としてその後に4.40円を割り込むところから下落再開注意とする。
【当面の主な予定】
8月20日
20:00 トルコ中銀 金融政策委員会 政策金利 (現行 50.0%、予想 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 8月16日時点 グロス (8月9日時点 923.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 8月16日時点 ネット (8月9日時点 469.0億ドル)
8月22日
16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 75.9)
20:30 週次 外貨準備高 8月16日時点
8月23日
17:00 7月 海外観光客数 前年同月比 (6月 4.95%)
注:ポイント要約は編集部
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