トルコリラ円見通し 5日ぶり反落、ドル円は確りだが、対ドルでのリラ高に一服感
〇トルコリラ円、7/4は概ね4.97から4.93の取引レンジ、連騰がストップ
〇トルコリラ円は米雇用統計を通過しながら、ドル円の騰落を追いかける展開となるか
〇対ドル、7/4も終値ベースでは7営業日連続のドル安リラ高となったが、日足は陰線に終わる
〇7/5午前序盤に32.69へ下落するなど、リラ売り再開の気配も
〇トルコ中銀総裁、引き締め継続姿勢を強調、昨日発表された外貨準備高は減少
〇4.93を上回るうちは、4.96超えから4.98前後への上昇を想定する
〇4.93割れからは下落継続とみて、4.91から4.90にかけての水準を試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の7月4日は概ね4.97円から4.93円の取引レンジ、5日早朝の終値は4.94円で前日終値の4.96円から0.02円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラにおけるリラの連騰とドル円の上昇により6月28日から7月3日まで4連騰として4.96円まで高値を伸ばし4.90円台序盤にあった4月29日以降の上値抵抗帯を突破して一段高に入っていたが、ドル円が7月3日夜に続いて4日夜に161円を割り込み、ドル/トルコリラも7連騰でリラ高としたものの高値から失速したことでトルコリラ円の連騰がストップした。
今夜は米6月雇用統計があり、非農業部門就業者の増加数が予想を下回りインフレ指標の平均時給伸び率が鈍化する場合には米国の9月利下げ期待度が増すことによるドル売りでドル円も下落する可能性があるが、中長期的なクロス円全般における円の独歩安基調は継続するとみて突っ込んだところは買い拾われやすいとみる。
トルコリラ円は米雇用統計を通過しながらドル円の騰落を追いかける展開となりそうだが、対ドルでのリラ売り再開感が強まってドル円も下げる場合にはいったん4.80円台後半へ向けた下落期に入ることを警戒し、ドル円が上昇反応ならトルコリラ円も5円を目指して行く可能性があると考える。
【対ドルでドルトルコリラは7連騰だが32リラ台維持で反落気配も】
ドル/トルコリラの7月4日は概ね32.59リラから32.33リラの取引レンジ、5日早朝の終値は32.51リラで前日終値の52.53リラから0.02リラのドル安リラ高だった。
6月28日に一時的な急落で33.04リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新したものの、日足終値ベースでは6月26日から7月3日まで6営業日連続のドル安リラ高となり32.30リラへ高値を伸ばしてきた。4日は高値更新へ進まなかったものの終値ベースでは7営業日連続のドル安リラ高となったが、4日の日足は高値32.33リラから終値32.51リラへ下落したことで陰線(ドルから見れば陽線)に終わっており、7月5日午前序盤に32.69リラへ下落するなどリラ売り再開の気配も見られる。6月の月間足(33.04リラから31.95リラ)の範囲内にあるため、当面は6月の高安レンジを上下いずれかへ抜けないことには中期的なトレンドの方向性も定まらないと思われる。
【トルコ中銀は引き締め継続姿勢を強調】
7月4日に トルコ中銀のカラハン総裁は通信社インタビューに答えて、「高騰する物価と戦う決意を固めており、一連の積極的な利上げが続く中で厳しい政策スタンスを辛抱強く維持していく」と述べた。「我々は引き締め政策を維持し、データと予想がデフレーション路線に沿うようになるのを待つ。この点ではまだ道のりは長いと考えている」とし当面は引き締め姿勢を継続するとの認識を示した。
7月3日に発表されたトルコの6月CPI(消費者物価指数)上昇率は前年同月比71.60%となり5月の75.45%から鈍化し、コアCPIの前年同月比も5月の75.0%から71.4%へ鈍化したため、市場は当面のインフレピークを超えたとみて先行きの利下げ期待も出ていたが、利下げ判断はまだ暫く先となりそうだ。
7月4日にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は6月28日時点のグロスで848.3億ドルとなり6月21日時点の885.0億ドルから減少し、ネットでは394.0億ドルとなり6月21日時点の448.5億ドルから大幅に減少した。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月28日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして7月3日午前から5日午前にかけての間への上昇を想定していたが、7月3日夕刻へ高値を伸ばしてから深夜に反落したために4日午前時点ではすでにサイクルトップを付けた可能性があるとして3日深夜安値4.94円割れからは弱気サイクル入りとした。
7月4日夜に4.94円を割り込んだために3日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして5日の日中から6日早朝にかけての間への下落を想定する。強気サイクル入りは4.96円超えからとし、その際は8日午後から10日夕にかけての間への上昇を想定するが、戻りは短命の可能性もあるので強気転換した後に3日夕以降の安値を更新する場合は新たな弱気サイクル入りとして9日夜から11日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では7月4日夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、その後に先行スパンから再び転落する場合は下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は7月4日夜の下落時に30ポイントに迫ってから下げ渋っているので、55ポイント超えからは上昇再開とみて60ポイント台への上昇を想定するが、50ポイント以下での推移が続く内は下向きとして次の40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.93円を下値支持線、4.96円を上値抵抗線とする。
(2)4.93円を上回るうちは4.96円超えから4.98円前後への上昇を想定する。4.98円以上は反落注意とするが、4.96円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急伸する場合は4.99円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)4.93円割れからは下落継続とみて4.91円から4.90円にかけての水準を試す下落を想定する。4.91円以下は反騰注意とするが、4.93円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月5日
23:30 6月 財務省現金残 (5月 2347.43億リラ)
7月10日
16:00 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -4.9%)
16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -0.7%)
16:00 5月 失業率 (4月 8.5%)
7月11日
16:00 5月 小売売上高 前月比 (4月 -1.8%)
16:00 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 10.2%)
20:30 週次 外貨準備高 7月5日時点 (6月28日時点 848.3億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 7月5日時点 (6月28日時点 394.0億ドル)
7月12日
16:00 5月 経常収支 (4月 -52.9億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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