『米国との関係悪化懸念を背景に約2年3カ月ぶり安値圏へ急落』
〇今週の南ア円、「米国が南アのロシアへの武器供給を非難」との報道等に週末にかけ6.90まで急落
〇南アフリカランド、対ドルでは史上最安値更新
〇南ア円、主要テクニカルポイント下抜け、強い売りシグナルも成立、地合いは極めて弱い
〇ファンダメンタルズも南ア経済悪化懸念に加え、南アの対露武器秘密供給による対米関係悪化が重石に
〇南アランド円の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):6.85ー7.15
今週のレビュー(5/8−5/12)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.32円で寄り付いた後、早々に週間高値7.38円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)国営電力会社エスコムによる「1発電ユニットの再稼働に45日間の遅れが生じる」との議会報告(計画停電がもう一段悪化するとの警戒感)や、(2)米地銀を巡る金融システム不安の再燃、(3)上記2を背景とした世界的なリスク回避ムード(株安→市場心理悪化→新興国通貨下落)、(4)英フィナンシャル・タイムズ紙による「米国は南アフリカがロシアに武器を供給していることを非難している」との記事公開(ブリゲティ米大使は、南アフリカが昨年12月にロシアに秘密裏に武器や弾薬を提供したと発表→南アフリカと米国との関係悪化懸念)が重石となり、週末にかけて、年初来安値6.90円(2021年2月以来、約2年3カ月ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/13午前0時30分現在)では、6.99円前後で推移しております。尚、対ドル相場は週末にかけて史上最安値を更新しました。
来週の見通し(5/15−5/19)
南アランドの対円相場は、5/2に記録した直近高値7.50円をトップに反落に転じると、今週末にかけて一時6.90円(約2年3カ月ぶり安値圏)まで急落しました。主要テクニカルポイント(90日移動平均線、21日移動平均線、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上下限、ボリンジャーミッドバンド)を軒並み下抜けしたことや、3/20安値7.02円や2021年11月26日安値6.93円を下方ブレイクできたこと、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「弱気のバンドウォーク」が成立したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南ア経済の更なる悪化懸念(深刻な電力不足が南ア経済の重石)や、(2)南アフリカで広がるインフレ加速懸念(直近で発表された南アCPIは市場予想を上回る結果→南ア中銀がインフレ抑制を優先して利上げに踏み切れば南ア経済に下押し圧力が加わるため南アランド売りに繋がる公算大。
一方、南ア中銀が利上げを見送った場合も実質金利低下を通じて南アランド売り繋がる可能性大)、(3)米国との関係悪化懸念(南アフリカが昨年12月にロシアに秘密裏に武器や弾薬を提供したとの報道→米国と南アフリカの貿易がリスクに晒されるとの思惑)、(4)南アフリカ国内の政局不透明感(与党アフリカ民族会議の支持率低下)、(5)南アフリカ国債の格下げリスク、(6)米国で広がる金融システム不安(世界的なリスク回避ムード→新興国からの資金流出圧力増大)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南ア第1四半期失業率や、中国の主要経済指標(鉱工業生産、固定資産投資、小売売上高など)に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.85ー7.15
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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